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米中対立:イデオロギー、経済競争と現実

2021年02月11日 17時14分11秒 | 国際関係
米中対立:イデオロギー、経済競争と現実
 第二次世界大戦後の世界では、多くの国が戦後の経済復興に努力する中で、自由主義経済がその長所を生かして世界中が、毎年経済が成長することが当たり前になるような時代を作り出す一方、政治的イデオロギーの分野では鉄のカーテンと呼ばれたアメリカとソ連の対立が地球人類の大きな問題になりました。

 この対立は、自由世界と共産圏の地球上での陣どり合戦のような状況を呈しましたが、1991年に至り、ソヴィエト連邦の崩壊という形で、終わりを告げました。
 原因はいろいろ考えらますが、決定的に重要なのは、共産主義の経済政策では、自由経済圏のように経済成長が確保できなかったことでしょう。結果は、国民や衛星国の不満や離反を統御できなくなったという事でしょう

 一方当時から「竹のカーテン」で自由経済圏から隔てられた、共産主義の大国、中国は、国際環境変化の中で、共産主義的経済手法を次第に自由経済的に手直しを始め、1985年には農業を人民公社から農家請負制に、そして最終的には、鄧小平の社会的市場経済に移行、この間、1980年には1人民元=150円から2000年には13円に10分の1以下に切り下げています。(世界の工場への準備完成)

 こうして見ると、経済発展という視点から見た場合、自由主義経済は、共産主義経済に比べて圧倒的に、経済成長に適したシステムだという事が言えるでしょう。

 米中対立というのは、こんな過程を経て今日に至っているのですが、本来、自由主義経済の本家であるアメリカがあまり経済成長をしなくなって、後から自由経済の良さに気づいて追いかけてきた中国が、 アメリカを追い越そうという段階になっているのです。

 追いかけられて焦るアメリカ、まだまだ発展の余地を残す中国、経済面だけを見れば、それも、人口規模の違いによる経済規模だけの競争と見れば、中国が絶対に有利でしょう。

 勿論1人当たりという質的な状態を見れば、中国がアメリカに追いつくのは大分先の話でしょうし、そこまで中国が順調に経済発展していけるかどうかには、種々問題もありうるでしょう。現に中国が、質的な意味も含めてアメリカを追い越すことは不可能という見方も、アメリカの中ではかなり一般的のようですが、もしそれが当たっているとしても、そこまでの、多分かなり長い時間、米中対立に世界中が振り回されるというのは困ったことというのが現実ではないでしょうか。

 そういう意味で本当に問題の原因になるのは、経済だけでなく、政治体制という事なのではないでしょうか。
 中国は、自ら称するように、社会主義市場経済で、政治的には共産党一党独裁です。そして、困ったことに、独裁政権というのはほとんど間違いなく腐敗していくのです。

 習近平は、終身、中国のリーダーとして君臨する立場を確保しました。共産主義の政治体制は、ほとんど必然的に、 独裁主義に陥ることは既にこのブログでも述べていますが、米中対立の本質は、経済力という事よりも、独裁国家という地球人類社会に往々にして大きな問題を起こす国に対して、自由世界、民主主義社会が、いかに対応するかという問題に他ならないのではないでしょうか。
 
 もっとはっきり言ってしまえば、今、地球人類社会にとって、最も大きな問題は、独裁主義、独裁者に対して、いかなる対応策をとっていくかという問題なのではないでしょうか。