tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

コロナ後を見据えた経済政策 7

2021年07月07日 15時41分20秒 | 経済
新技術開発を目指す法人課税の改善
前回まで、コロナ後のSDGsに沿った経済の安定成長を考える中の格差社会化阻止によるサステイナビリティー(持続可能性)についてみてきました。
今回からはSDGsのDの方、開発・発達について考えてみたいと思います。

近年、もう開発や経済成長を求める時代ではないなどという意見もありますが、それは少し違うようです。今までのエネルギー開発や経済成長が、行き詰まっているということは、今と違った社会・経済システムに直さなければ人類社会は持続不可能という事ですから(終末時計ではあと1分40秒)新しい技術開発が必須です。今のままでは駄目なのです。

代表的な技術は化石燃料から自然エネルギーへの転換でしょうか。すでに待ったなしの状態でしょう。

という事で新しい技術開発は必須です。それにはおカネも要ります。同時にホモサピエンスの頭脳の徹底した活用も当然必要です。
そしてそのための政策が、コロナ後の日本経済に確り組み込まれなければならないのです。

現状はコロナ禍の中で、日本のワクチン開発の遅れが問題になり、菅総理が選挙向けかも知れませんが「日本をワクチン開発のセンターに」などと言いましたが、日本の研究開発の遅れは長期不況の中で、中国や韓国に比べると酷いようです。

アベノミクス以来の日本経済では消費不振を企業の設備投資でカバーしての片肺飛行の状態が目立ちましたが、その企業投資も企業レベルですから基礎的な研究開発は政府の消極姿勢もあって、今後はノーベル賞受賞者の出るのは難しいなどと言われています。

しかも政府主導のものは「もんじゅ」が象徴的ですが、ジャパンディスプレーなど所期の成果の出ないものが多く、大学や各種研究機関の予算は、削られたり、殆ど増えないというのが実態だったようです。これは日本の研究開発投資の推移でこのブログでも見て来ています。

先に書きましたように、研究開発には資金が必要です。これはGDPの中から捻出しなければなりません。ゼロ成長の中では資金は出ませんし、その結果、成果も出ないという悪循環になっています。

コロナ後は、この悪循環から抜け出さなければならないのは当然でしょう。当然それには投下する資本の調達が必要です、さいわい、日本企業はコロナの影響は別そして、為替レートの正常化して以来、割合好調な収益率を確保しています。一方、法人税率は下がりに下がっているのが実情です。

プラザ合意以前の基本税率は40%を超えていましたが、長期不況の中で30%まで下げられ、さらに安倍政権になって年々下げられて23.2%になっています。

これは、諸外国が法人税引き下げ競争をしたことの影響もあったのかもしれませんが、過日のG7、G20で国際的に法人席の最低税率15%の方針が合意されています。

日本としては、歴史的な見方からすれば、当然、法人税増税を考えるべき時期に来ていると考えるべきでしょう。

勿論企業サイド(経団連など)からは反対の声が出るでしょうが、これも、単なる増税ではなく、日本企業の投資行動をよりSDGsに向かわせるため、さらに言えば、政府の研究開発投資への消極的姿勢を改め、技術立国日本の政策を本来の状態に戻すたまに必要な法人課税の在り方の改善のためのものでなければなりません。 

ここでも、重要なのは出来るだけレベニュー・ニュートラルの考え方を導入することでしょう。(以下、長くなるので次回にします)