tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

カジノ誘致という情けない根性を嘆く

2023年04月19日 16時54分24秒 | 文化社会
政府と大阪はいよいよ大阪湾の夢洲にカジノ主体のIR(統合リゾート)を作ることを決めたようです。

トランプさんがアメリカの3人のカジノ経営者と共に安倍さんに頼んだ、という話があって始まった事のように聞いていたものです。
トランプさんが大統領でなくなって、北海道は誘致反対を宣言、横浜も誘致賛成の市長が辞めて、立ち消えかと思っていましたが、政府と大阪の合意で、実現という事のようです。

もともとカジノは賭博場で、どう理屈をつけてもそれが健全な人間を育て、付加価値を創る経済活動ではないのですから、私的なものは禁止です。
しかし、政府だけに賭博が認められていて、政府公認の賭博は競馬や宝くじなど存在します。

競馬はスポーツとして認められ(これも少し変ですが)、宝くじは庶民の慈善寄付に楽しみを付けるという意味で、認められているのでしょう。

カジノは純粋の賭博で、これを政府が認めるという事は,その収益の大部分を地方自治体などの収益として確保できる、つまり税金で取れない分の穴埋めとして意味を持つという事でしょう。

確かに、税金で取ろうとすれば、税金が高すぎると反政府運動が起きるでしょうが、ギャンブルで損した人は自己責任ですから文句の言いようがありません。

ただ、日本人は、世界でも数少ない「お金の出自を区別する」人たちなのです。
貴いのは「額に汗したカネ」で「あぶく銭は悪いカネ(悪銭)」と感じるのです。そして「悪銭身につかず」と言うのです。

これは今の経済学でいえば、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の区別で、「キャピタルゲイン」は「悪銭」の仲間です。理由は付加価値を創らない、単に、カネがAさんからBさんに移るだけの活動だからです。

カジノというのは、この「悪銭」を最も原始的な賭博という形で、政治の権限を使って得ようという事ですから、本来日本人の気質から言えば「合わない」ものでしょう。

カジノでは損をする人が殆どで、損するだけではなくギャンブル依存症になって、家族や社会に迷惑をかけ、人間として破綻するような人も多く出るので、今度のIR計画では政府はギャンブル依存症対策に随分気を使っているようです。

そういう犠牲者を出しながら、ギャンブルで上がったカネで例えば「社会保障を充実する」と言っても、すんなり納得する人は多くは居ないでしょう。

こうした問題を孕みながら、経済効果が年に近畿圏で1兆1,400億円、更には大阪府、大阪市の財政が良くなると言われても、もう少しましな、日本の伝統文化を生かすようなインバウンド誘致の政策があるのではないかという市民としての健全な感覚を大切にする、政府、地方自治体であって欲しいとつくづく思うところです。