tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「財源のない政策を打ち出す」の怪

2023年04月28日 16時39分56秒 | 政治
自民党の人気も得票数も長期的なトレンドは低下傾向のようですが、公明党は与党という地位と引き換えに自民党全面支持の様相です。他にも与党入りしたい野党もいるようです。

一方、健全野党という党も沢山あるようですが、問題は沢山あるという事でしょう。野党が沢山あると野党の候補者は増え、票の取り合いになって、野党の当選者は増えません。

そんな中で、岸田政権は維持されているという事のように見えます。
岸田政権の強みは、国民の支持よりもアメリカの指示だなどという変な意見もあるようですが、確かに、ロシアのウクライナ侵攻、中国の台湾併合の可能性などを背景に、アメリカは日本に最接近のようです。

それなりの理由があって事でしょうが、岸田政権は、それが嬉しいのか防衛費を今後5年間で43兆円にすることを決め、その財源確保に税外収入などすべての余裕資金を掻き集める法案を閣議決定したりしていますが、まだ足りないようです。

防衛費というのは、ことが起きなければ、不良在庫になるものを買う金で、いったん事が切れば、多くの人命とともに、空や海の藻屑になるので、国民の役には立ちません。

戦争を知らない世代だから、そんな無駄をやるのでしょうが、心配している国民も大勢います。戦争を知らない世代でも、少し情報を集めれば、たちどころに解る事です。

嘗ての大失敗を日本はもうしないようにと平和憲法があるのですが、岸田総理は「憲法違反になるような武力の行使はしない」と言っているとのことです。

憲法には「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と書いてあだけですから、政府は放棄した武力の行使の中から、放棄しない部分を無理に作り出して、その部分にだけ使う武力ですという理屈を考えているようです。
日本語が正確に読める人でしたら、多分納得しないでしょう。

こうした無理の部分に43兆円を使おうというのですから、大部分の国民は「それならもっと使ってほしい所がありますよ」という事になります。

それを言わせないようにというのでしょうか、先回りをして「異次元の少子化対策」というスローガンを考えたようです。

然し、防衛費で余裕資金は全部使ってまだ足りないのですから「異次元の少子化対策」をやろうにも使う金がありません。
それなのに、出産費用から育児の援助、児童手当て拡充、所得制限撤廃、授業料は高校まで無料とか実現すれば国民が喜びそうなものを並べたようです。

財源がないわけですから増税という事になるのですが、増税というと支持率が下がるので、社会保険の中でとか仄めかしたり、「今の時点では言えない」とか、「こども未来戦略会議」を作って議論してもらうとか、まるで無責任です。

大体、私共の若い頃は「出産は病気ではないから、健康保険からはカネは出ない」という事でしたが、合計特殊出生率は1.5~2.0でした。国民が将来に希望を持って、楽しい家庭を創ろうと考えていたからでしょう。

今は、みんな子供や孫の世代はどうなるのだろうなどと心配しています。
家族も個人も何となく孤立化して、居場所のない人が増えている。将来にもあまり希望は持てないし、そのうちミサイルが飛んでくるかもしれない「新しい戦前」の予感がする、まさか核戦争にはならにと思うけど、子や孫は可哀想・・・

そうした経験からすれば、「異次元の少子化対策」と言葉を飾りながら、結局はカネの話になるというのは、とんだ見当違いと言わざるを得ません。
多分政治のいちばん基本になる「人間についての理解」が迷路に入っているのではないでしょうか。