tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

四半期GDP:3期連続プラスですが・・

2025年02月17日 15時22分10秒 | 経済

2024年の10-12月の四半期GDPが発表にいなりました。

マスコミでは、このところ3四半期連続プラス成長で、10-12月期は0.7%成長、年率にして2.8%の成長と、何か日本経済は順風満帆のような見出しですが、実態はなかなか難しいようです。

表に掲げたのは、GDPを構成する主要項目です。タイトルにありますように「対前期比(季節調整済)」の実質上昇率です。対前期比は、このところの期毎の動きですから3期連続プラスという事は、4-6月以降は、それまでの2期下がっていたのが3期続けて前期より成長しているということですから順調に推移していると言っていいでしょう。

ただ、1-3月期というのが、理由がはっきりしないのですが家計消費が異常に落ち込んだ時期で、その前期もマイナスなので4-6月期に0.7%上昇しても、漸くその前の水準に戻った程度という事です。

その後2期、成長が続いていますから希望は持てますが、2024年の賃上げが33年ぶりの高さで、ボーナスも満額回答の企業続出といった結構な状況がもう少し反映されていてもいいのではという感じもします。

しかし、昨年の夏は、日銀の金利政策の変更もあり急に円高あになって、日経平均が暴落したりコメの値段が上がり始めたり、経済は天候不順で、増えたボーナスもあまり使われずに貯蓄に向かったようです。

この時期は、円高予想もあって、企業も慎重になり設備投資も伸びず、成長スピードも落ちましたが、10-12月期になって伸びたのが外需で、これは自動車などの輸出ではなくインバウンドの消費(外国旅行者の飲み食いは輸出だそうです)が伸び、コメや生鮮食品の値上げ利で物価上昇に食われた家計消費を補って、回復した企業設備投資もあって0.7%になったという事のようです。

同時に発表された2024暦年の成長率は僅か0.1%で、かろうじてプラス維持という状況です。家計消費が順調に伸びないと安定した成長路線には乗らないという事でしょう。

春闘賃上げも、節約志向と消費者物価上昇に食われて頼りになるのはインバウンドというのでは、些か情けない日本経済です。

参考までに2024年1年間の対前年同期の四半期別成長率を順に並べますと

-0.8,-0.8,0.6,1.2(%)=2023年10-12月期~2024年10-12月期=

でしり上がりに良くなっています。インバウンドに加え、1年前に比べると昨春闘の賃上げが下支えにはなっているという見方も可能でしょう。

今春闘も交渉期に入っていますが、一般家庭の家計簿がホッと一息つけるような賃上げになってくれることを期待しています。