日本人の主食である「お米」の価格が異常な暴騰を示す中で、備蓄米の放出がようやく決まったようです。
消費者物価指数が発表されるたびに50%、60%、70%といった前年比の上昇率になり、卸段階では2倍でも品物がないなどと言われるようになって、ようやく放出が決まり、3月末には何とか店頭に並ぶとのことです。
しかし、放出量はかなり少ないようで、農水省は「様子を見ながら」「後から買い戻す」などと言っているようで、市中ではまともな価格に下がることは考えられないといった見方が一般的なようです。
・グラフ資料出所:「全国のスーパーでお米5kg1袋の値段は?」.jpmarket-conditions.com.
(このグラフをご覧になって、これは通常の経済活動の結果のグラフと思う方は多分おられないでしょう。天変地変か、国の政策の大変化か何かがあったといった印象を与えます。)
昨年の作柄は平年並みで、前年より22万トンほど増加と言われていますから、報道される流通段階の抱え込みの状況も、結局は古米、古古米を増やすことになる可能性もあるわけです。
こんな時に「逐次少量」放出は最悪の対策で、当然「一挙大量」放出の姿勢で米価高騰の思惑を粉砕するというのがとるべき方策でしょう。
しかし、日本中の家計が困っていることも、米価に触発される諸物価の高騰が日銀の金利正常化政策にも影響し、日本経済の成長の障害にもなろうという事も解っているはずの政府機関である農水省が、あたかも米価の高騰を望んでいるような態度だという事は一体何ゆえでしょうか。
もともと日本の米価は高く、かつてはウルグアイラウンドで安い外国産のコメを買わされているのです。(それは低品質で加工米や飼料になっています)
では、日本のコメは高いのかというと、ご承知のように日本のコメは高級食材として、毎年3割以上も輸出が伸びているのです。はっきり言ってしまえば、日本のコメは、本気で生産性を上げれば国際競争力を持ちうる時代に来ているのではないでしょうか。
農地法、農振法、減反政策といった現状を変えずに、農家の高齢化の中で、生産性向上政策に背を向け、「生産性向上」ではなく「価格上昇」によって、主食である「米」の生産を維持しようという、農水省の怠惰な政策の結果が、米価暴騰を齎しているというのが現状の最も適切な説明のような気がします。
今必要なのは、全国民と国を挙げての本格的議論だと思っています。
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