もう大分前から、今のアメリかは、世界の最先進国と、ずっと遅れた発展途上国が併存している国だと感じることが多くなっていました。
1960年代までは、まだ第二次大戦後のアメリカの栄光、世界で最も豊かな国、広範な科学、技術から芸術、スポーツ、サブカルチャーや国民生活まで、世界で最も優れた国というイメージを維持していたと思います。
きっかけは1970年代に入っての、ドルのペーパーマネー化、変動相場制への移行だったと思います。
これは戦後25の間に、その繁栄を謳歌する中で、国力以上の活動、戦争を含む経済力の浪費を続けたことによるのでしょう。
それに引き換え西ドイツ、日本などは急速に生産力をつけ生産性の向上を実現して、消費生活を謳歌するアメリカをマーケットにして経済力を増してきていました。アメリカの国際比較上の経済力の低下はその後のドルの切り下げで明らかです。
さらにその後の二度にわたる石油危機への対応を、欧州諸国と共にアメリカも誤り、1980年代初頭まで続くスタグフレーションに陥ったことは、周知のとおりです。
さらにその後も、アメリカは中国の生産力を利用した結果、中国の追い上げに苦しむことになりました
しかし、アメリカは覇権国としての政治力、その背後にある軍事力を保持し、そのプライドは変わらずに維持されて来ましたから、国民はそのプライドと現実のギャップに強い違和感を感じてきているという状態ではないでしょうか。
以前「ガンホー」という日本の自動車メーカーのアメリか進出を題材にした日米合作(?)映画がありましたが、日本企業の経営を徹底的にカリカチュア化したものでした。
その背後で、アメリカの鉄鋼産業、自動車産業などは競争力を弱め、いわゆる「ラスト・ベルト」も生れていたのでしょう。
気持ちは世界一、現実は競争力喪失のギャップがアメリカ人の中に次第に違和感から不満感、さらには被害者意識を増幅していたのでしょう。
こうして今のアメリカは、上半身は世界も羨む先進国ですが、下半身は途上国の状態に近づくということになったと私は見ています。
ここで大統領選は「トランプ候補が当確」というニュースが入ってきました。「やっぱり」という感じです。このところのインフレもあり、アメリカでは下半身が過半になったようです。
トランプ候補は、決して理論的ではありませんが、「わたしが『アメリカを再び偉大に』する」と主張し、知識や理論ではなく、今やアメリカ人の過半を占める下半身のやり場のない不満感、被害者意識といった感情を鷲掴みにしたのでしょう。
これはアメリカ人の中で、「知」の部分より「感情」の部分で行動する人が増えたという事を志田示すように思われます。(トランプの踏むステップに熱狂する支持者の映像)
前のトランプ政権の4年間を見れば、今後の4年間、アメリカの迷走は続くでしょう。
相対する日本のリーダーが誰になるのかは解りませんが、またトランプの盟友になるのでしょうか。日本国民は、ますます冷静になる必要がありそうです。