明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(181)原発再稼働問題に揺れるマスコミと、玄海1号機等の脆弱性について

2011年07月03日 09時00分00秒 | 明日に向けて7月1~31日
守田です。(20110703 09:00)

原発再稼働問題について、毎日新聞が、マスコミ大手各社の論調を取材
し、社説として発表しています。このところ、脱原発の姿勢を鮮明にし
始めた毎日新聞、各社との違いを際立たせています!

これによると、朝日新聞は

「老朽化した原子炉など「リスクが大きいものは再稼働を認めないとい
った仕分け」を求め、玄海に関連して、安全性の検討や周辺自治体を含
む地元の理解を得る努力の不足を理由に「再開に踏み切るのは拙速に過
ぎないか」と述べた。」

とされており、原発推進から、危険なものは止めるという方向に転換し
てきていること点が指摘されています。

支持を表明しているのは産経新聞です。

「これに対し、再稼働に明確な支持を表明したのが産経だ。運転再開は
地元自治体の了解というより政府の判断で行うべきだとの考えを示し、
玄海の再稼働に向けた動きを「歓迎したい」と評価、「ひとつひとつ再
稼働を実現させていくことが、政府の責務である」と強調した。」

態度をあいまいにしているのが、読売新聞と日経新聞

「読売、日経は、安全確保と運転再開を両立させる必要性を論じたが、
安全宣言や玄海の再稼働要請の是非に関する評価はなかった。」

揺れるマスコミ各社の動向を的確にとらえた分析ですね。ここには世論
が大きく転換しつつあることに対して、いかに対応しようとしているの
か、大手マスコミが態度を変えつつあることが反映されている。つまり
マスコミが世論を作っているのではなく、世論を後追いしているのがマ
スコミであることがよくあらわれています。

もっと脱原発の声を強めて、朝日新聞をはっきりとした脱原発に、読売
新聞と日経新聞も脱原発にと動かしていきましょう。


続いて、脆弱化が懸念される玄海原発1号機について、佐賀新聞が詳しい
解説記事を載せているので紹介します。

「運転開始から36年が過ぎた九州電力玄海原子力発電所(佐賀県東松
浦郡玄海町)1号機の原子炉圧力容器の劣化を判断する指標となる「脆
性(ぜいせい)遷移温度」が大幅に上昇、大学の研究者らは異常として
問題視し、最悪のケースとして容器破損の可能性にも言及している。九
電や国は「安全性に問題ない」と反論。研究者は検証のためのデータ開
示を求めるが、九電は「業界規程に基づいて適正に検査しており、検証
しても結果は同じ。40年目の高経年化評価時にデータを公表する」と
している。

鋼鉄製の原子炉圧力容器は中性子を浴びるともろくなる。電力各社は老
朽化を把握するため容器内に同じ材質の試験片を置いて取り出し、緊急
冷却した場合などに容器が壊れやすくなる温度の境目となる脆性遷移温
度を測っている。劣化が進むほど温度は高くなる。」

というものですが、実は僕は(180)の当初の記述で、この現在運転中の
1号機の脆弱性と、再稼働問題を混同してしまいました。友人から指摘を
受けたので、記述を更新しました。現在停まっていて再稼働がなされよ
うとしているのは、2号機、3号機です。お詫びして訂正します。


この玄海原発1号機に顕著な老朽化は、長年による中性子照射によって、
圧力容器の鋼鉄が脆くなることで深刻化しています。応力腐食割れとい
う現象が起こりやすくなっているのですが、実はもともと原発を設計し
たときには、この応力腐食割れはまだ知られていなかったのでした。

この点について、もっとも雄弁にこの危険性を語っているのは、現原子
力安全委員会委員長の斑目氏です!この、ある意味で非常に説得力のあ
る発言は、映画『六ヶ所ラプソディー』予告編の中で語られているもの。
前にも一度、紹介したのですが、斑目さんの人となりもよく出ているも
のなので、再度、紹介します。まだ見てない方はぜひご覧ください。

なおこの斑目さんの発言を、ある方が自身のブログで文字起しされてい
たのでそれも貼り付けさせていただきました。
ともあれこの映像を見ると、ますます原発は一刻も早く停めなければい
けないことがはっきりします。どうか多くの人とご覧ください。

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社説:論調観測…原発の再稼働問題 安全宣言に疑問と支持

毎日新聞 2011年7月3日 2時30分
定期検査などで停止中の原発の再稼働に海江田万里経済産業相が「ゴー
サイン」を出し、手始めに九州電力玄海原発2、3号機の運転再開につ
いて地元首長に理解を求めた。

この再稼働を目指す政府の姿勢が議論を呼んでいる。まず、安全性の問
題だ。経産相の「安全宣言」は福島第1原発事故の教訓を十分に反映し
た判断なのかどうか。経済や国民生活への影響を考えれば原発の再稼働
を完全否定するものではないが、リスクを極小化する対策と体制の実現
が前提となるのは言うまでもない。

また、政府のエネルギー政策の方向性もはっきりしない。今後、原発へ
の依存を減らすのかどうか、老朽化している敦賀原発1号機や美浜原発
1号機を再稼働させるかどうかについても方針は不明のままだ。

再稼働は「安全」と「経済」をてんびんにかけ、後者を優先させる旧態
依然の姿勢ではないか。こう受け止められるようでは国民を納得させら
れない。

経産相の「安全宣言」から玄海の運転再開要請に至る経緯を踏まえ、毎
日、朝日、東京は再稼働に疑問を投げかける社説を掲載した。毎日は安
全宣言について、緊急対策の有効性への検証に疑問があるうえ、中長期
対策までの「リスクの評価も不透明」で、「老朽化した原発や立地場所
ごとのリスクも考慮されていない」と述べ、説明不足で時期尚早と主張
した。また、玄海に関連して、「規制機関である(原子力安全・)保安
院が原子力推進の立場にある経産省に属することの弊害」を指摘、経産
相とともに保安院が再稼働を要請する行動は「安全確保の信頼感を損な
う」と批判した。

朝日は老朽化した原子炉など「リスクが大きいものは再稼働を認めない
といった仕分け」を求め、玄海に関連して、安全性の検討や周辺自治体
を含む地元の理解を得る努力の不足を理由に「再開に踏み切るのは拙速
に過ぎないか」と述べた。東京も安全性を問題視した。

これに対し、再稼働に明確な支持を表明したのが産経だ。運転再開は地
元自治体の了解というより政府の判断で行うべきだとの考えを示し、玄
海の再稼働に向けた動きを「歓迎したい」と評価、「ひとつひとつ再稼
働を実現させていくことが、政府の責務である」と強調した。

読売、日経は、安全確保と運転再開を両立させる必要性を論じたが、安
全宣言や玄海の再稼働要請の是非に関する評価はなかった。

【論説委員・岸本正人】
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110703k0000m070091000c.html

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玄海原発1号機 想定以上に劣化進行か

佐賀新聞 2011年07月01日
運転開始から36年が過ぎた九州電力玄海原子力発電所(佐賀県東松浦
郡玄海町)1号機の原子炉圧力容器の劣化を判断する指標となる「脆性
(ぜいせい)遷移温度」が大幅に上昇、大学の研究者らは異常として問
題視し、最悪のケースとして容器破損の可能性にも言及している。九電
や国は「安全性に問題ない」と反論。研究者は検証のためのデータ開示
を求めるが、九電は「業界規程に基づいて適正に検査しており、検証し
ても結果は同じ。40年目の高経年化評価時にデータを公表する」とし
ている。

鋼鉄製の原子炉圧力容器は中性子を浴びるともろくなる。電力各社は老
朽化を把握するため容器内に同じ材質の試験片を置いて取り出し、緊急
冷却した場合などに容器が壊れやすくなる温度の境目となる脆性遷移温
度を測っている。劣化が進むほど温度は高くなる。

九電によると、運転開始時の1975年の脆性遷移温度は零下16度。
これまで4回取り出した試験片の温度は、35度(76年)、37度
(80年)、56度(93年)と推移し、2009年は98度に大幅上
昇した。

九電は「試験片は圧力容器よりも多く中性子を浴びる場所に置き、数十
年後の圧力容器の劣化状況を予測するためのもの。98度は2060年
ごろの数値に当たる」と説明。「圧力容器の現在の脆性遷移温度の推定
は80度で、60年間運転した場合でも91度」とし、日本電気協会が
定める新設原子炉の業界基準93度を下回っていることを強調する。
26日の県民説明会でこの問題を質問された経産省原子力安全・保安院
も同様の説明をして「容器が壊れるような状況にはない」と答えた。

ただ、こうした見解に研究者は疑問を示す。九州大応用力学研究所の渡
邉英雄准教授(照射材料工学)は「上昇値は本来の予測値から大きくず
れ、誤差の範囲を超えている。原子レベルで想定外の異常が生じている
可能性がある」と指摘。井野博満東大名誉教授(金属材料学)は中性子
の影響を受けやすい不純物が含まれるなど材質が均一でない可能性を指
摘したうえで、「緊急冷却で急激に温度を下げた場合、圧力容器が壊れ
る可能性がある」とする。

研究者は試験片や検査データが開示されていないため詳しい検証ができ
ないとし、電力各社に情報開示を求める意見も強いが、九電は「今後も
安全な数値で推移すると判断しているので、すぐにデータを提示する必
要はない」としている。
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1968174.article.html

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大失言!【原発儲かる】原子力安全委医長【最後は金】2005年斑目
(映画『六ヶ所ラプソディー』予告編より)
http://www.youtube.com/watch?v=zKwOxJuMhPs

斑目:ともかく分かんないけどもやってみようはどうしてもあります
だめ!危ないと、ちょっとでもそういう兆候があったらそこで手を打と
うと恐る恐るですよ

・原子力もそうなんですね

斑目:原子力もそういうところは絶対にあります
だって、たとえばですね
原子力発電所を設計した時には応力腐食割れSCCなんてものは
知らなかったんですよ
だけどまだいろんなそういう分かんない事があるから
あのー、えーっと
安全
安全率?っていうか・・余裕を沢山持って
その余裕に収まるかな?って思って始まってきているわけですよ
そしたらSCCが出てきちゃった
で・・・チェックしてみたら
まぁ、これはこのように収まった
よかったよかった
今まで良かったよかったって来ています
ただし良かったじゃないシナリオもあるでしょうねといわれると思うん
ですよ
その時は原子力発電所は止まっちゃいますね

原子力発電に関して安心なんてできませんよ
せめて信頼して欲しいと思います
安心なんかできるわけないじゃないですか・・・
あんな不気味なもの・・・

・核廃棄物の最終処分をする事に関して技術的に問題なくても
そこを受け入れる場所が・・・

斑目:無ければ今が困っちゃいますもん

・ないですよね
フランスでもイギリスでもまだ決まっていない

斑目:ないですよ~

・それは大きな問題じゃないですか

斑目:だからーあのーえーーっと
基本的に、その、何て言うのかな・・今の路線で
今の路線が本当に正しいかどうかは別として
今の路線かなんかで甲斐があるだろうと思ってるんですよ
というのは
最後の処分地の話しは
最後は結局お金でしょ?
あのー、どうしてもその、えーっと、みんなが受け入れてくれないと
なったらじゃぁ、お宅にはこの・・じゃぁ・・今までこれこれと言っ
ていたけどその2倍払いましょうそれでも手挙げないんだったら5倍
払いましょう10倍払いましょう、どっかで国民が納得することがで
てきますよ

・それは経済的インセンティブと・・・その

斑目:処理費なんてたかが知れてるから
えー多分そのそこは出さないですね

・今は確か最終処分地を受け入れてくれるボーリング調査をさせてく
れるだけで

斑目:すごいお金流してますよね

・20億円ですよ

斑目:あれがたかが知れてるらしいですよ あの世界は

・そうなんですか

斑目:だから原子力発電なんてすごい儲かっているんでしょうね

・ん~

斑目:そりゃぁそうですよー
原子力発電所を1日止めると1億どころじゃない訳ですよね
だから
そう意味からいくと今動いている原子力発電所を潰す気なんてアメリ
カは毛頭ないし日本も電力会社あるものは出来る限り使いたいのがこ
りゃぁもう本音ですよ
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-344.html
コメント
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