守田です。(20110709 23:00)
友人の万太さんが、画期的な新刊本(翻訳本)の情報を流してきてくれました。
僕も既に注文済みの本なのですが、メールはその翻訳者の方から流れてきてい
ます。最後に貼り付けますので、ぜひこの情報の拡散にご協力ください。
『人間と環境への低レベル放射能の脅威-福島原発放射能汚染を考えるために』
というタイトルで、著者はラルフ・グロイブ。アーネスト・スターングラスが
イントロデュースを書いています。
原題は“The Petkau Effect: The Devastating Effect of Nuclear Radiation
on Human Health and the Environment”・・・いわゆるペトカウ効果について
書いた本です。肥田舜太郎・竹野内真理訳で、あけび書房から3990円で出版さ
れています。
このペトカウ効果こそ、内部被曝の脅威を形作る低線量放射線の威力を解き明
かしたものです。肥田舜太郎さんと鎌仲ひとみさんの共著『内部被曝の脅威』
から、肥田さんの解説部分を抜き書きしておきます。
「放射線の人体に対する影響の医学的な解明を阻んでいた壁の一つは、放射線
に対する細胞膜の強大な障壁だった。アブラム・ペトカウは1972年、マニトバ
にあるカナダ原子力委員会のホワイトシェル研究所で全くの偶然から、ノーベ
ル賞に匹敵する次のような大発見をした。即ち、「液体の中に置かれた細胞は、
高線量放射線による頻回の反復放射よりも、低線量放射線を長時間、放射する
ことによって容易に破壊することができる」ことを実験で確かめたのである。
ペトカウ(医師)は牛の脳から抽出した燐脂肪でつくった細胞膜モデルに放射
線を照射して、どのくらいの線量で膜を破壊できるかの実験をしていた。エッ
クス線の大装置から15.6シーベルト/分【許容線量は1ミリシーベルト/年】の
放射線を58時間、全量35シーベルトを照射してようやく細胞膜を破壊すること
ができた。
ところが実験を繰り返すうち、誤って試験材料を少量の放射性ナトリウム22が
混じった水の中に落としてしまった。燐脂肪の膜は0.007シーベルトを12分間
被ばくして破壊されてしまった。彼は何度も同じ実験を繰り返してその都度、
同じ結果を得た。そして、放射時間を長く延ばせば延ばすほど、細胞膜破壊に
必要な放射線量が少なくて済むことを確かめた。こうして、「長時間、低線量
放射線を照射する方が、高線量放射線を瞬間放射するよりたやすく細胞膜を破
壊する」ことが、確かな根拠を持って証明されたのである。これが「ペトカウ
効果」と呼ばれる学説である。」(同書p90~91)
肥田さんはこれに続いて、次のような紹介も行っています。
「ピッツバーグ大学医学部放射線科のスターングラス教授は、ペトカウ説を
基礎として研究をさらに深め、次のような結論に辿りついたという。
1 放射線の線量が非常に低い低線量域では生物への影響はかえって大きくなる。
2 低線量放射線の健康への危険度はICRPが主張する値より大きく、乳児死亡
の倍になる線量は四・五ミリシーベルトである。
3 アメリカや中国の核爆発実験の放射性降下物によって乳幼児の死亡率が増
加した。
4 放射性下降物に胎児期被ばくした子供に知能低下が生じた。
5 スリーマイル島原発事故によって放出された放射能によって胎児死亡率が
増加した。
このようにスターングラス教授は内部被曝による人体への悪影響を認め、アメ
リカの核政策を批判している。」(同書p97~98)
さらに肥田さんは、次のような一文も付け加えています。
「広島・長崎で爆発後市内に入市した多数の内部被曝者を長年継続して診てき
た私は、彼らの経験したいわゆる「急性症状」と、数カ月から数年、十数年後
に彼らに発症したぶらぶら病症候群は、内部被曝による低線量放射線の影響と
診るのが最もよく説明できるので、私はペトカウ効果と、それを基盤にしたス
ターングラスをはじめとする多くの学者、研究者の「低線量放射線有害説」を
支持して疑わない。」(同書p99)
すでに「明日に向けて(186)」で、なぜ内部被曝の脅威が隠されてきたのか
について触れましたが、この書はこの隠されてきた驚異を暴いてくれたペトカ
ウ博士の研究成果を解き明かしたものであり、僕はこの時期に読むべき最も大
事な文献だと思っています。
少々分厚い本ですが、ぜひみなさんで挑戦していきましょう。各地で学習会な
ど行って欲しいと思います。僕も入手次第、読み解いて、ここでも解説を試み
ていきたいと思いますし、必要ならどこにでも解説にも行きます!まさに
「いまここ」に求められている本です!
以下、翻訳者の竹野内真理さんのアピールをお読みください。
*********************************
通訳、翻訳、ライターをしております竹野内真理と申します。以下の本を翻訳・
出版させていただきました。非常に重大な内容なので、特に行政関係者、子供
を持つ親御さんたちには、早急に読んでいただきたいです。
タイトル
「人間と環境への低レベル放射能の脅威ー福島原発放射能汚染を考えるために」
ラルフ・グロイブ、アーネスト・スターングラス著
肥田舜太郎・竹野内真理訳
あけび書房(http://www.akebi.co.jp/)
03-3234-2571 akebi@s.email.ne.jp
3990円 337頁
子供たちを守る願いを込めて、7月7日たなばたに書店とアマゾンで発売!
(たんぽぽ舎にも10冊ほどあり)
低線量被曝問題をこれ以上につぶさに扱った本は現時点では国内には存在しな
いと確信しています。
共訳者は、広島原爆で被曝した医師である肥田舜太郎さんです。長年被爆者の
治療を行うとともに、国際的な反核活動や低線量内部被曝問題にも数々の翻訳
を通して従事されてきた方です。
低レベルでも恐ろしい放射能による障害を国内外の研究論文も引用しながら、
ICRPを含む、今までの国際機関や政府による放射線防護基準がいかに甘いもので
あるかが科学的に詳述されています。お値段が高いのが難点ですが、それ以上の
価値はあると思っています。
可能であれば、是非本の普及にご協力お願いいたします。
具体的に言いますと、
1.この文章をメーリングリストなど、どこかに転送していただく
2.ブログやTwitterに書き込んでいただく
3.Amazonやニュースレターなど、書評を書ける方は書いていただく
4.周りの人たちに勧めていただく
5.子供たちの被曝対策が十分でない自治体や政府の人たちに読んでいただいた
り、交渉するときに参考資料として活用していただく。
6.お近くの書店や図書館に注文していただく
子供たちを被曝させてはならない根拠が満載です。
ぜひご活用いただき、日本の将来の子供たちの被曝を少しでも減らすことに
つながればと強く願っております。
友人の万太さんが、画期的な新刊本(翻訳本)の情報を流してきてくれました。
僕も既に注文済みの本なのですが、メールはその翻訳者の方から流れてきてい
ます。最後に貼り付けますので、ぜひこの情報の拡散にご協力ください。
『人間と環境への低レベル放射能の脅威-福島原発放射能汚染を考えるために』
というタイトルで、著者はラルフ・グロイブ。アーネスト・スターングラスが
イントロデュースを書いています。
原題は“The Petkau Effect: The Devastating Effect of Nuclear Radiation
on Human Health and the Environment”・・・いわゆるペトカウ効果について
書いた本です。肥田舜太郎・竹野内真理訳で、あけび書房から3990円で出版さ
れています。
このペトカウ効果こそ、内部被曝の脅威を形作る低線量放射線の威力を解き明
かしたものです。肥田舜太郎さんと鎌仲ひとみさんの共著『内部被曝の脅威』
から、肥田さんの解説部分を抜き書きしておきます。
「放射線の人体に対する影響の医学的な解明を阻んでいた壁の一つは、放射線
に対する細胞膜の強大な障壁だった。アブラム・ペトカウは1972年、マニトバ
にあるカナダ原子力委員会のホワイトシェル研究所で全くの偶然から、ノーベ
ル賞に匹敵する次のような大発見をした。即ち、「液体の中に置かれた細胞は、
高線量放射線による頻回の反復放射よりも、低線量放射線を長時間、放射する
ことによって容易に破壊することができる」ことを実験で確かめたのである。
ペトカウ(医師)は牛の脳から抽出した燐脂肪でつくった細胞膜モデルに放射
線を照射して、どのくらいの線量で膜を破壊できるかの実験をしていた。エッ
クス線の大装置から15.6シーベルト/分【許容線量は1ミリシーベルト/年】の
放射線を58時間、全量35シーベルトを照射してようやく細胞膜を破壊すること
ができた。
ところが実験を繰り返すうち、誤って試験材料を少量の放射性ナトリウム22が
混じった水の中に落としてしまった。燐脂肪の膜は0.007シーベルトを12分間
被ばくして破壊されてしまった。彼は何度も同じ実験を繰り返してその都度、
同じ結果を得た。そして、放射時間を長く延ばせば延ばすほど、細胞膜破壊に
必要な放射線量が少なくて済むことを確かめた。こうして、「長時間、低線量
放射線を照射する方が、高線量放射線を瞬間放射するよりたやすく細胞膜を破
壊する」ことが、確かな根拠を持って証明されたのである。これが「ペトカウ
効果」と呼ばれる学説である。」(同書p90~91)
肥田さんはこれに続いて、次のような紹介も行っています。
「ピッツバーグ大学医学部放射線科のスターングラス教授は、ペトカウ説を
基礎として研究をさらに深め、次のような結論に辿りついたという。
1 放射線の線量が非常に低い低線量域では生物への影響はかえって大きくなる。
2 低線量放射線の健康への危険度はICRPが主張する値より大きく、乳児死亡
の倍になる線量は四・五ミリシーベルトである。
3 アメリカや中国の核爆発実験の放射性降下物によって乳幼児の死亡率が増
加した。
4 放射性下降物に胎児期被ばくした子供に知能低下が生じた。
5 スリーマイル島原発事故によって放出された放射能によって胎児死亡率が
増加した。
このようにスターングラス教授は内部被曝による人体への悪影響を認め、アメ
リカの核政策を批判している。」(同書p97~98)
さらに肥田さんは、次のような一文も付け加えています。
「広島・長崎で爆発後市内に入市した多数の内部被曝者を長年継続して診てき
た私は、彼らの経験したいわゆる「急性症状」と、数カ月から数年、十数年後
に彼らに発症したぶらぶら病症候群は、内部被曝による低線量放射線の影響と
診るのが最もよく説明できるので、私はペトカウ効果と、それを基盤にしたス
ターングラスをはじめとする多くの学者、研究者の「低線量放射線有害説」を
支持して疑わない。」(同書p99)
すでに「明日に向けて(186)」で、なぜ内部被曝の脅威が隠されてきたのか
について触れましたが、この書はこの隠されてきた驚異を暴いてくれたペトカ
ウ博士の研究成果を解き明かしたものであり、僕はこの時期に読むべき最も大
事な文献だと思っています。
少々分厚い本ですが、ぜひみなさんで挑戦していきましょう。各地で学習会な
ど行って欲しいと思います。僕も入手次第、読み解いて、ここでも解説を試み
ていきたいと思いますし、必要ならどこにでも解説にも行きます!まさに
「いまここ」に求められている本です!
以下、翻訳者の竹野内真理さんのアピールをお読みください。
*********************************
通訳、翻訳、ライターをしております竹野内真理と申します。以下の本を翻訳・
出版させていただきました。非常に重大な内容なので、特に行政関係者、子供
を持つ親御さんたちには、早急に読んでいただきたいです。
タイトル
「人間と環境への低レベル放射能の脅威ー福島原発放射能汚染を考えるために」
ラルフ・グロイブ、アーネスト・スターングラス著
肥田舜太郎・竹野内真理訳
あけび書房(http://www.akebi.co.jp/)
03-3234-2571 akebi@s.email.ne.jp
3990円 337頁
子供たちを守る願いを込めて、7月7日たなばたに書店とアマゾンで発売!
(たんぽぽ舎にも10冊ほどあり)
低線量被曝問題をこれ以上につぶさに扱った本は現時点では国内には存在しな
いと確信しています。
共訳者は、広島原爆で被曝した医師である肥田舜太郎さんです。長年被爆者の
治療を行うとともに、国際的な反核活動や低線量内部被曝問題にも数々の翻訳
を通して従事されてきた方です。
低レベルでも恐ろしい放射能による障害を国内外の研究論文も引用しながら、
ICRPを含む、今までの国際機関や政府による放射線防護基準がいかに甘いもので
あるかが科学的に詳述されています。お値段が高いのが難点ですが、それ以上の
価値はあると思っています。
可能であれば、是非本の普及にご協力お願いいたします。
具体的に言いますと、
1.この文章をメーリングリストなど、どこかに転送していただく
2.ブログやTwitterに書き込んでいただく
3.Amazonやニュースレターなど、書評を書ける方は書いていただく
4.周りの人たちに勧めていただく
5.子供たちの被曝対策が十分でない自治体や政府の人たちに読んでいただいた
り、交渉するときに参考資料として活用していただく。
6.お近くの書店や図書館に注文していただく
子供たちを被曝させてはならない根拠が満載です。
ぜひご活用いただき、日本の将来の子供たちの被曝を少しでも減らすことに
つながればと強く願っております。