明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(858)原発事故が起こったらあなたはどうする?(長谷川うい子さん児玉正人さんと鼎談します!)

2014年05月27日 22時00分00秒 | 明日に向けて(801)~(900)

守田です。(20140527 22:00)

連日、あちこちを駆け回っています・・・。

5月25日に大阪市西成区で、飯舘村の長谷川健一さんと一緒に講演し、対談をさせていただきました。
手前味噌でごめんなさいですが、素晴らしい会になったと思っています。
感想を書かなくてはですが、今日はとりあえずIWJの方が撮影して下さった内容のアーカイブのリンク先をご紹介しておきます。

アーカイブは二部構成。第一部は長谷川健一さんの講演です。第二部が僕の講演と長谷川健一さんとの対談、会場との質疑応答になっています。
ぜひ長谷川さんのお話だけでもお聞きください。

第一部
http://www.ustream.tv/recorded/47995676
第二部
http://www.ustream.tv/recorded/47997448


さて、この前日ですが、京都で行われた「いのちを守る避難計画はできるのか 最新の交通工学とシュミレーターから探る」という企画にも一聴衆として参加してきました。
「脱原発をめざす首長会議」の主催で、事務局長の上原公子さん「元東京都国立市長」が企画をコーディネートし、京都のグリーン・アクションのアイリーン・スミスさんが京都での受け入れ事務を一手に引き受けてくださったそうです。
これまた素晴らしい企画でしたので少し紹介します。

まずは各自治体からの報告。発言者は以下の方たちです。
中山泰 ・京都府京丹後市長
西牧成通・兵庫県篠山市・市民安全課長(酒井隆明市長代理)
平尾道雄・兵庫県米原市長
三好幹二・愛媛県西予市長
石橋寛久・愛媛県宇和島市長

それぞれに原発事故に対する対策を策定中、または避難計画を作成した自治体で、話に非常にリアリティがありました。
もっとも特徴的だったのは、愛知県西予(せいよ)市長の三好さんの発言です。西予市は伊方原発のすぐ南に位置し、市の半分が原子力規制庁によって避難計画を策定せよという指定されている30キロ圏内に入ります。
以下、アウトラインを紹介します。

*****

三好幹二・愛媛県西予市長

安全神話が無くなった中で、私たちには東電が原発の危険な実態を封印していたことが見えてきた。
実際には原発は危ない。動いていようが停止していようが危ない。このことを私たちは分からなくてはいけない。そのためにはやはり避難計画は作っておく必要があるということで作った。

しかし避難訓練は有効に機能するのかというアンケートが今回あった。これは非常に難しい問題だ。このことを言うことには忸怩たる思いがあるが、矛盾を抱えているのが避難計画だ。
私の西予市は、伊方原発の南側にあって東西に長い。原発から10キロ15キロに1500人が住んでいる。15キロから20キロに8700人。
20キロから25キロで17000人。25キロから30キロに2800人。西予市の人口の7割が30キロ圏内に住んでいる。
この計画の中に情報伝達をどのようにするかだが、当然ながら原発からの距離によって対応が違ってくる。しかし防災無線でそれぞれの地域に分けて連絡しても混乱を生じてしまうと思う。

避難道路にも問題がある。海岸はリアス式。海に山が迫っている。そういうことの中で大混乱が起こる可能性がある。道は片道一車線だ。車がガス欠を起こしたり、故障を起こしたら大変なことになる。
さらに私たちのところには南海トラフの大地震の可能性がある。台風の大水害は毎年起こっている。それと原発が複合事態になったらどう逃がすのか。これは非常に困難だ。
実のところ、このことを計画に入れると、計画は作れないという矛盾を秘めている。私たちは複合災害を考えては計画は作れないのだ。このことをしっかりと頭に入れておかないといけない。

防災訓練では、住民を最も安全なところに送ることを考えなくてはいけない。しかし、今、やっている避難訓練は日中のシナリオだ。どこも夜の広域避難訓練などやってないと思う。
しかし実際に夜中に事故があって、電気が切れて、真っ暗闇で、さらに道路が寸断したりするとどうか。非常に難しい。私も市長として避難指示を出すことが本当にできるのかなと思う。だから避難訓練も非常に厳しく考えなくてはならない。

他の市町村との関係で受け入れのことだけれども、福島の事態を見えても一時的ではなくなる。生活が変わってしまう。しかし今の避難計画は一時的なもので長期的な避難を想定してはいない。どこもそうだと思う。一時的な避難計画でしかない。
住民を避難させた後、地域をどう管理するのかということも抜け落ちている。今の計画地域もゴーストタウンになる。そのことも計画には入ってない。本来はそういうこともいれた計画を立てなくてはいけない。

*****

非常に共感しました。そうなのです。僕も本当にそう思う。リアルに考えれば考えるほど、あらゆる事態に適合できる避難計画など作れない。
だからせめて再稼働させないことがとても大切ですが、しかし動いてなくたって燃料プールがある限り、やはり原発は危険だし、完全廃炉実現までは事故を想定しなくてはいけないし、訓練もしなくてはいけない。
私たちが今、立ってるのはそういう場なのです。僕も、これを知っていれば安心・・・などというものではなくて、何か起こってしまったときに、せめて少しでも被害が少なくなる道を模索する必要があると思って、避難計画を考え続けています。
例えば一車線の道路で車が立ち往生してしまったときに、せめてヨウ素剤は手元にあって飲んでいる状態でいて欲しい。あるいはそんなときに山側に回避するう回路があって欲しい。それやこれや少しでも命を守る可能性を広げておく。

そのことに地域で一生懸命に取り組む。その場合、原発に賛成・反対は問わずに、その場にいる人全体で取り組むことが大事だし、地域の防災への取り組みは自ずとそういう位置を持ちます。これはとても大事な点だと思います。
僕はそれぞれの行政の立場から、可能な限り、警察官、消防隊、自衛隊の隊員たちのことも考えて欲しいと思います。一番、事故現場やその近くに投入されるであろう方たちだからです。
もちろん、指揮系統が上から作られている自衛隊などに、いざとなったときに行政からできることはないでしょう。でも普段の防災訓練のときに、一緒に原発事故の危険性、放射能の危険性、身の守り方を学ぶことはできます。
事前学習で積み重ねた知恵で、いざというとき、少しでもそれぞれで被曝を軽減して欲しい。そのためにできることをコツコツと積み上げておきたいと思うのです。


さてこの日は続いて、青山貞一さん•環境総合研究所前代表、鷹取敦さん•環境総合研究所代表、上岡直見さん•環境経済研究所代表というこの道のエキスパートが連続的に話をしてくださいました。これは凄かった!
たくさんのことを新たに学ぶことができましたが、この報告はまたの機会にさせていただきます。

さて今度は僕自身が原発災害対策のことを再びお話します。
5月31日に京都市内で「たねまきカフェ」に参加し、緑の党共同代表で、友人の長谷川羽衣子さん、「原発なしで暮らしたい丹波の会」世話人の児玉正人さんと一緒にお話します。
はじめに僕と児玉さんがお話し、その後に3人で鼎談の予定です。お近くの方、ぜひお越し下さい!

長谷川羽衣子さんとの対談は、6月17日に宮津市でも計画中。詳しくは企画が決まり次第、お知らせします!

以下、5月31日の企画のご紹介です。

*********

5月31日 京都市

5/31のたねまきカフェは、守田敏也さんと児玉正人さんと一緒に、防災を考える講演会を開催します!ぜひご参加下さい!(^^)!

 =====================================
たねまきカフェ 『京都の防災 大丈夫?!』

もしも、原発震災が起こったら...
14基の原子力施設が100km圏内に存在する京都。
私たちの現状と全ての災害に共通する防災の心得と備えについて考えてみよう。

■ 日時:5月31日(土)午後4:30~6:30
■ 場所:岡崎いきいき市民活動センター 会議室2
    (左京区岡崎最勝寺町2 ※ みやこめっせ北側の細見美術館西側)
■ 参加費:500円以上のカンパをお願いします。

■ 1部:「京都の現状と防災の心得と備え」
     守田敏也さん(フリージャーナリスト)
■ 2部:「関西広域連合の防災」
     児玉正人さん(「原発なしで暮らしたい丹波の会」世話人)
■ 3部:トークセッション「子どもたちを守るために」
     守田敏也さん+児玉正人さん+長谷川羽衣子さん+参加者のみなさん

■ ゲスト プロフィール
 守田敏也さん:フリージャーナリスト。同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローなどを経て、現在フリーライターとして取材活動を続けながら、社会的共通資本に関する研究を進めている。
311以降は原発事故問題をおいかけている。篠山市原子力災害対策検討委員会委員。
 共著:『内部被曝』岩波ブックレット
https://www.facebook.com/hasegawauiko/photos/a.627781580568583.1073741828.614374908575917/865719986774740/?type=1&relevant_count=1&ref=nf

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする