今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

知人から譲られたPEN-Fが変ですよ

2014年08月02日 14時13分16秒 | インポート

Img_475426知人から譲られたというPEN-F #1645XXですがミラーボックスの中がすごいことになっていますよ。付属のレンズもカビが多いです。










Img_475132あら~、すごいことに・・。この連載は長くなりそうな予感がします。問題はリターンミラーが再接着をされていますが、接着が浮いているのですね。ピント調整をされた形跡がありますが、調整範囲は非常に狭いですから、ミラーは正規の板厚でホルダーに正確に貼られていないと調整範囲を超えてしまうのです。





Img_475588トップカバー内は手を付けられていないようです。












Img_475667

まず、前板のリターンミラー関係を仕上げます。プリズムは、典型的な黒点の腐食はないのですが、残念ながら一か所だけ腐食があります。では、すべて分解・・










Img_476055ミラーが二か所欠けていますね。こじって剥がそうとした? だって剥がれていたんでしょ。











Img_476199

ミラーを分離しました。観察すると、2回接着をされています。まず、オリジナルの接着剤を除去せずにエポキシで接着をして、その後に、ゴム系で接着をしています。それによって、密着も平行度も滅茶苦茶になっています。








Img_476226古い接着剤をすべて剥離したところ。ホルダーの黒塗装も剥離しています。












Img_476311あ~、この調子では画像が何枚あっても終わりそうもありませんね。少しはしょって行かなくては・・では、工程は飛ばして。ホルダーを再塗装をしてから新品のミラーを貼りましたとさ。









Img_478555ミラーユニットと汚れが激しいスクリーンを超音波洗浄をして組み立ててあります。これで前板ASSYは完成。











Img_476685なんですか、リペイントをご希望とのことで、夏場の暑い時期は避けたいと思っていたのですが、最近、リペイントのご依頼が多くて・・では、駒数ガラスを分離します。ここは、ゴム系接着をされていますが、接着剤の溶剤が樹脂を侵していますので無傷で剥離することは非常に(溶剤は使えません)困難なんですね。これが出来る方は、私の知る限りMazKenさんだけです。





Img_478788完成したシャッターユニットを本体に組み込みます。調子の良いユニットです。












Img_478817ファインダーのピント調整を終えてメカの組立は一先ずここで止めておきます。












Img_479056
先に38mmレンズを仕上げておきます。ヘリコイドグリスの流化と絞り羽根への付着とレンズのカビがあります。












Img_479257カビが多いです。













Img_479346
こちらも。













Img_479629_2

レンズを装着してのテストは巻き上げもスムーズで快調です。上下カバーと小物のクロームメッキを剥離してニッケル状態としたところ。上品なシャンパンゴールドですね。どなたか、この仕様で使われてみては?






Img_480072

今日、関東地方は最高の暑さだそうで、36℃ぐらいとか言ってたね。こんな日に塗装なんて殺人的です。熱中症が怖いので、小間物を塗って止めましたので画像は1枚です。






Img_480379

結局、今日も暑かったね。水分を補給しながら塗りましたよ。塗装の終わったトップカバーに色入れとシンクロターミナル、駒数ガラスを取り付けて完成です。









Img_480481 カバーを本体に取り付けて完成。レリーズボタンはFTとは構造が異なり、塗装仕様とすると作動不良が発生ることがありますのでメッキのままとしてあります。黒メッキをすれば良いのですけどね。その他、全反射ミラーも交換してあります。最初はどうなるのかと思う個体でしたが、メカも安定しており、きれいに仕上がったと思いますね。ただし、猛暑の時期はちょっとつらいです。このカメラを使用するのは初めてとのことで、では、お盆休みにでも撮影を楽しんでくださいね。
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/








国鉄永年勤続効績者表彰のセイコー・スーパー

2014年08月01日 22時54分31秒 | インポート

Img_476885暑いですね。作業はしていますが、UPはサボりました。初期のセイコー・スーパーを復活させています。スーパーはセイコーが1950年に発売した秒針がセンターにある本中三針の初めての機械。戦中の航空時計なども秒針がセンターにありますが、これは歯車を追加してセンターに持って来たもの。このモデルは2003で1955年6月に製造されて国鉄の永年勤続効績者に総裁表彰記念として授与されたもの。国鉄退職者は多いので、このモデルも比較的良く目にしますね。過去に私も2つ入手しています。製造年と同じお歳で鉄ちゃんには打って付けの個体ですね。画像編集ソフトが不調のため、途中まで画像サイズは大き目でUPします。
Img_477068 上の時計は私が愛用中の全く同じ(国鉄)モデル。但し製造は1954年1月です。すべて分解洗浄したところ。文字盤にカビ汚れが目立つのは惜しいところ。別デザインの新品文字盤は所有していますが、これも歴史なのでこのまま使用します。不動の原因はゼンマイ切れ。それによって早くに使用を止めたようで、機械の摩耗は少ないです。但し、松ヤニのように固着した油が気になりました。どんな油を使用したのでしょう。


Img_477175超音波洗浄だけでは固着した油は落ちないので刷毛で洗浄しました。この頃のゼンマイは鋼製なので切れやすいのです。手持ちから交換してあります。香箱と二番車をセットしたところ。









Img_477275最近はブログをご覧頂いている方から腕時計の組立が出来るようになりたい。とのお言葉も頂いています。情熱があればやられたらよろしいと思いますが、サイズがカメラの比ではありませんので、かなりの根気は必要だと思いますよ。 この頃はまだ工作精度が良くありませんので、三角の受けの3つのホゾが中々合ってくれません。無理をすると歯車のホゾを折ってしまいますから甘締めで慎重に追い込んで入れました。



Img_477365 天真の摩耗は少なめで快調に目覚めました。特徴的に大きなリュウズのローレットも摩耗は少ないので実使用も少なめだと思います。ケースは軽く研磨しただけで良好。風防は黄ばみはあります。サイズのあう新品もありますが、ドームの形状は、やはりオリジナルが良いので再使用とします。





Img_477421 針の金メッキが腐食気味ですので軽く研磨をします。メッキが薄いので、ほどほどで止めないと真鍮地が出てしまいます。出たらメッキをしますけど。









Img_477557 文字盤に針を着けました。針がドーム状に曲がっていますので、針同士やインデックスと干渉しないように注意をします。












Img_477635 組んだままで調整なしで測定すると+75秒程度と進み加減です。油切れ状態で歩度調整を繰り返したのかもしれません。










Img_477751 ベルトはモレラートをチョイスしました。ベルトの規格は16mmですが、ケースのラグ幅は15.5mm。当時の規格は良く知りませんが、中途半端な規格があったのか? それともインチ? 6.1も変ですね。私の愛用個体のラグ幅を測定すると15.85mm。このぐらいなら16mmのベルトは全く問題ありません。やはり、ケースの仕上げ精度の違いでしょうか?




Img_477864 合わせてみるとこんな感じです。まぁ、似合っているんじゃないでしょうか。











Img_478029

2つ並べた画像。左の秒針は私の好みで茶に塗装してあります。精度的にはそこそこですが、充分実用に耐えます。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/


久しぶりのPEN-FT(B)の巻

2014年07月26日 21時37分55秒 | インポート

Img_472966最近来ないよねぇ。ご常連さんが入手をされたPEN-FTブラックの35万台という良い頃の個体ですね。フィルムの圧板の留め部が2点に簡略化されています。露出計不動であればFV化とのご依頼でしたが、露出計は生きていますね。最後期に近い個体は殆ど大丈夫です。







Img_473157一見、未分解機かな?と思いましたが分解はされていますね。ファインダーのピント調整もされています。後期の個体の多い、巻き上げフィーリングの悪化。「ガクガクガクッ」という例のやつです。







Img_473355 後期なので特に問題はないと思ったのですが、テンションハンマーの留めネジがいけません。不用意な分解はお勧めしたくないので書かないことが多いのですが、このネジは左ネジですが、緩めるつもりで締め込んだような形跡があり、ドライバーで緩めようとすると、ポロッと頭が折れてしまいました。軸の中に残ったネジを取り去ることはまず不可能なので、交換すことにします。しかし、後期型ですので、メインスプリングが長いタイプですので、スプリングを入れ替えて使用することにします。しかし、スェーデン鋼で硬い熱処理が入っていますから、不用意に曲げると折れてしまいますので注意が必要です。
Img_473577
スプリングを入れ替えたところ。










Img_473658

完成したシャッターユニットを本体にセットします。









Img_473711



前板関係を中心にいじられていますね。リターンミラーの奥端にカケがありますね。スクリーンの同一個所にも傷があります。








Img_473968

M接片が変に曲げられていますね。意味不明。余計なことはしなくてよい。









Img_474031


オリジナルに修正をしておきます。









Img_474161



それでは光学系も清掃をして組み立てますよ。接眼プリズム部のモルト。古いモルトを完全に清掃して貼り直してある個体を見たことがない。オリジナルと同じに作業をしていきます。









Img_474346

露出計ユニットの点検清掃。情報窓用の光路を丁寧に清掃します。この個体は#3563XXで1970年6月の製造ですが、露出計ユニットも同月に製造されたもので、この頃になると、先行での生産はあまり多くなかったようです。尚、製造は二社購買の可能性もありますが、自動車電装などで有名なスタンレー電気も担当したようです。





Img_474422 この個体はシャッターダイヤルのガタが多く出ています。この個体の場合は、カム軸とのジョイントの嵌合にガタが大きめが原因ですが、他に多いのはツマミを留めるビスの緩みです。








Img_474641 改良型のセルフタイマーユニットで不具合は、タイマーレバーがロックしないという現象。これはクラッチの3つのコロがスムーズに動かない(油付着)のが原因。その他、アンクル不調につき止まりもあるので、すべて分解して組み直してあります。







Img_474531 で、いつものようにお決まりの画像。












Img_474852
外装を取り付けて完成です。巻上げのギヤ鳴りは完全に補正できませんでしたが、スムーズにはなったと思います。シャッターユニットの動きは非常にスムーズで、ミラーユニットのギヤが良くないのです。








Img_474988
おまけ画像。あら懐かしや、水銀電池のH-Dが入っていました。これも懐かしい東芝のロゴです。
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/
































ベトナムミリタリーとセイコー7Sミリタリー風の巻

2014年07月22日 21時48分02秒 | インポート

Img_470845本物のミリタリーとセイコーミリタリー風が来ています。まずは本物から。WESTCLOXというメーカーがアメリカ軍に1970年に納入したMIL-W-46374Aとうモデルですね。プラ製のワンピースケースで使い捨てという感じの兵隊用の腕時計でしょうか。風防は爪で外れる状態で文字盤と針の状態は非常によろしくないです。この頃は放射性物質が塗布されているので、あまり触りたくないです。




Img_470024ムーブメントは地板と受けは表面処理もされていない状態。D-407 (7石)となっています。









Img_470115


すべて分解をして洗浄をしたところ。手巻きでカレンダー機構もありませんので、部品点数は少ないです。分解前の測定では、片振りがあり得ない状態です。








Img_470252 幸い、致命的な欠点はありませんので、サクサクと組み立てて行きます。アンクルをセットして、最後にテンプを載せます。









Img_470315
表側です。カレンダー機構がないので、非常にシンプルです。軍用の装備品ですから壊れないのが大前提ですからね。









Img_470412

あら、液晶画面が見えませんね。+10秒程度で安定しています。










Img_470733

針はクネクネ(お隣の大統領ではありません)状態で接触をするので修正をしながら取り付けます。秒針は、穴が拡大して固定されない状態ですので、締めてあります。表示の時間は合っていますよ。







Img_470966 ケースは汚れていましたので、変質に注意をして中性洗剤で超音波洗浄しました。しかし、表面は少し白っぽくなりましたね。拭き上げて艶を復活させます。裏面の表示。








Img_471022

当時、グリーンベレーっていう映画も見たけど、とてもこの時計で川の中を進軍するような時計ではないと思うのですけどね。風防は、新品の組立の1回だけは防水効果はあるのかもしれないけど、リュウズにはOリングさえ入っていない。風防の圧入部分は、すでに樹脂が荒れていて全く防水能力はないですね。






Img_471182この風防は新しいのでオリジナル部品ではないでしょう。良く観察すると、サイズが大きいので、熱ゴテのようなもので凹ませています。サイズぐらい合わせればよいと思いますけど・・









Img_471299付属の新品ベルトを装着して完成。良く見るとチープですね。兵隊も消耗品扱いというわけですかね? 兵役が2年で、戦地は1年とすれば、その期間耐てばよいということでしょうか? ベトコンにも武器と一緒に略奪されたのでしょう。アメリカ軍の撤退が73年でサイゴンの陥落が75年ですね。この手のミリタリーは、本国アメリカにもファンが多いようですが、私も嫌いではないのですが、ベトナム戦争を知っている世代なので複雑な気持ちもありますね。



Img_471533次は現在でも逆輸入品として安価に入手が出来るセイコーAUTOMATIC 21石でセイコー5として売られている製品と同じ7S26を搭載しています。ベルトを外しますが、バネ棒が錆ついて外れません。新品当時からのベルトでバネ棒も純正のはずですが、こんな腐食するバネ棒も少ないです。







Img_471755どちらにしても再使用はできないので破壊しました。ミリタリー調のデザインは、中々良い雰囲気で私も欲しいと思っていました。ガラス風防(6時に5文字入り)やケースは、高級感があります。








Img_472278機械の基礎は70年代のキャリバーですが、カレンダー機構などは全く別の設計です。曜車には「スペイン」と記載されていますからスペイン語圏向けに作られたのでしょう。しかし、曜車、日車や駆動歯車はみごとにプラ製で、部品はタミヤが作ったのか? という印象。じつは、これでがっかりして組立意欲が減退してしまうのです。






Img_472075あっ、順番を間違えてた。暑いので直さないで行きます。機械を取り出すのに裏蓋を開けようとしましたが、固着をしていて非常に困難でした。一部、錆ついていました。裏蓋がスケルトンのモデルは、回転錘にも化粧文字などが入って高級感を出していますが、このモデルは見えないので極簡素です。






Img_472544確かに基本は70年代の機械と同じなのですけど、ここまで部品のコストを下げられるとね。しかし、精度と耐久性はクリアーしているのですから、ある意味恐ろしいです。一つ一つの部品単価を推測していくと、あ~、これなら数千円で売れるわなぁとも思いますね。結局、機械のコストで極限まで下げて、外観は高級感を出している戦略のように見えます。





Img_472775差し込んであるだけの文字盤に針をつけます。7~8年前に新品で購入したままとのことですが、精度はこれが意外に出るのです。










Img_472861クリーニングをしたケースに収めて完成。6振動ですからね。精度も比較的優秀で、手巻きとそれほどサイズも違わないのに自動巻きは魅力です。60年代の機械を見ていると残念な部分も多いですが、実用としてはコストパフォーマンスは最高のモデルでしょうね。私も、そのうち1つ欲しいと思っています。
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/














ニコンFとキヤノネットG-Ⅲの組み合わせの巻

2014年07月20日 23時33分08秒 | インポート

Img_468425_2ニコンFとキヤノネットG-Ⅲという取り合わせも面白いですね。両方とも、特に故障はないようですが、入手されて点検のご依頼です。疲労の少ないFですが、長期に使われなかったようで、幕に癖がついており、巻き上げの最後で抵抗感が大きいようです。また、巻き上げのゴリつき感が気になります。シャッター速度は1/60は良好ですが高速側が急速に遅くなります。1/250=1/185 1/1000=1/434 さすがに光学兵器 メーカーですから作りは兵器(道具)のそれで分解を考慮した丈夫な部品構成ですね。

Img_468769完全にグリス切れですので、各部の注油とグリス交換をしていきます。












Img_468684
右カバー先端の小片の接着が外れていましたので接着をしてからカバーを取り付けます。










Img_468891
ARリングにグリスを塗布して組み立てます。











Img_468957

巻上げレバーを取り付けて、ペンタ部のモルトを貼っておきます。巻上げはかなりスムーズになりましたね。








Img_469033



私の塗るオリーブ色に似ているので、一瞬、自分の作かなぁと思いました。過去に塗ったことがあるような記憶がないわけでもない?? 手慣れた塗装ですが、私の作業ではありませんね。








Img_469158 バッテリーチェッカー付の接眼レンズの接着が脱落しています。バッテリーボタンにテンションが掛かっているので、確実に接着をしないと剥がれてしまいます。接着剤の硬化具合から、それほど作業から時間は経過しいないのではとも思います。裏蓋はシボ革は剥離せず、マスキングでリンクル様の塗装をしてあります。焼付ではないということ。




Img_469279 内側を見ます。ちゃんとメッキは剥離してありますのでアマチュアではないでしょう。中央付近の塗料が回っていない部分に持ち手を付けて塗装をしたということ。









Img_469364
プロなら焼付塗装かなと思いましたが、ビスを留めた周辺が盛り上がっていますね。これは、完全に硬化していない状態で組立をした証拠。とするとウレタン塗料を使用したものか? 塗装の工程(癖)は作業者よって異なりますが、この方の塗装は、1回塗りで厚めに吹いていることが、窓周辺の盛り上がりで分かります。どれが良いということではありません。その方の感性(流儀)の問題です。


Img_469444 接着には接着力の弱いクリアー接着剤を使用したために剥離をしています。すべて清掃をして再接着をします。










Img_469532
ファインダーを清掃しておきます。












Img_469615

こんどは剥離しないように接着さてありますよ。











Img_469730

関東地方は梅雨明けで暑いので、簡単にUPしておきます。妙な組み合わせの二台ですね。
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/