今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

トプコンRとKallo Wの修理とメンテナンスの巻

2014年08月24日 21時51分42秒 | インポート

Img_492015東京光学と言えば陸軍の光学兵器を作っていた軍需企業なのかな? 家にも父が除隊の時に持って来た照準器が有ったような・・で、ペンタプリズム式一眼レフの初期に発売されたトプコンRというカメラですね。なんでも、巻き上げが出来なくなってしまったとのこと。構造的に、巻き上げレバーはフィルムカウンターによって抑えられており、それが緩むとリターンスプリング(ゼンマイ)やらが外れてセッティングがひっちゃかめっちゃかになってしまうのね。

Img_492115_2点検のところ、シャッター幕は劣化ぎみですが作動はしますね。但し、幕速が上がらないようです。逆転防止バネなどの位置合わせをして巻き上げレバー座を組み込んでいます。








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スクリーンとコンデンサーにカビが生えていますので清掃をします。












Img_492864カバーを付けてシャッターダイヤル、巻き上げレバー、フィルムカウンターを取り付けます。ペンタプリズムも清掃をしてあります。キヤノンF-1と同じスライド式なんですね。しかし、巨大なボディーです。









Img_493267レンズが面白いですね。半自動絞りで、シャッターを切った後は絞り羽根は自動で復帰せず、レバーで解放する方式。











Img_493387レリーズボタンを押すとピンセット先のレバーが解除されてシャッター幕より早く絞りが作動します。しかし、過去にレバーの動きが悪く、お父様の行きつけのカメラ屋さんでいじったら調子が悪くなったということでしたが、真鍮が削られていますね。安易に部品を削ることは慎むべきだなぁ。原因が他にあるはずですから・・






Img_493487レバーの作動不良は原因が二つありそうです。一つは内部のリンケージの問題。もう一つはレバーのカシメが外れていること。画像は正規の位置にしたところで、絞りダイヤルとは干渉していない。









Img_493524レバーを動かすとカシメが外れているので絞りリングと接触してしまうので、ゴリゴリッとした感触になるのです。











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見えるかなぁ? レンズの外側部分でカシメが外れていますね。












Img_492934 さすがに兵器メーカー。作りはがっちりとしていますね。ニコンと同様、元が民生品メーカーとは違うところ。戦闘中に壊れたら使い物にならないですからね。









Img_494182_2KOWAのKallo W。こちらも巻き上げの不確実や距離計のズレなどがあるようです。なんと、巻き上げレバーを巻くと、無垢の真鍮角棒がのそっとスライドしてシャッターをチャージしていますね。非常に原始的な機構でガタも多いようです。








Img_494225距離計のズレをご指摘頂いていましたので調整をしていきます。古い松脂のようなネジロックをゆっくり溶かしてからの作業です。無理は禁物・・










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各レンズとミラーも清掃しておきます。ハーフミラーはメッキの劣化があるので慎重に作業をします。










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巻上げでミスするような感じになる時がある。とのご指摘。シャッター羽根の張り付きも考えられるので清掃をします。その他、巻き上げテストを繰り返していると、チャージレバーが外れる現象が発生しました。レバーの接触部分が少ないのが原因です。







Img_494576取りあえずシャッターのメンテナンスから始めます。












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こんな感じです。シャッターレバーの板厚の半分しか掛かっていません。しかも、ガタがあるので、力が掛かると接祝部分が逃げて外れてしまうのです。










Img_494718熱処理の入っている部品ですから曲げることも出来ません。何とかガタ量を減らす以外に方法がありません。











Img_494977何とか搭載して、リンケージのグリスUP、ファインダーのカバーが失われていますので、想像で作って接着をしておきます。











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巻き上げ軸とレバーの取付け部は華奢な構造で、工場で加工したものか、4か所にポンチを打って軸を拡大させて固定を強化してあります。ピンセット先のリン青銅片も入っていましたので、同様に挟んで固定します。






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こんな感じで完成です。













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各部を磨いておきますよ。本体側のデザインのリブ部分が酸化していますので、研磨剤で磨いて光らせています。

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SEIKO・エクストラフラットをレストアするの巻

2014年08月20日 22時48分34秒 | インポート

Img_488722連休の間に頑張りましたので、ちょっとサボっていました。カメラの予定もあるのですが、気分転換に手持ちの時計をレストアすることにします。SEIKO EXTRA FLAT というスモセコ最後のモデル。機械は新10Bで亀戸製です。新10Bの製造開始は1948年ですから、戦後復興の最初の時計というところでしょう。このエクストラフラットはケースが大型化していますので50年代に入ってからの製品でしょう。すでに中三針のスーパーが1950年に発売されていますから、しばらくは並行で生産されていたものと思われます。で、状態は不動で点検のところ天真が折れています。

Img_488987風防の劣化がすごいことになっていまして、文字盤がよく見えない状態でしたが、意外に文字盤の程度はこの時代の個体としては悪くはないのはラッキーでした。28.2mmのトキライトが手持ちにないので、ベゼルを磨いて汎用の風防をセットしたところ。現在、入手可能の風防は角と袴の部分が緩やかなドーム形状ではないので気に入りませんが・・




Img_489065ケースが大型化をしたので、結果的に薄く見えるのが良く分かりますね。ラグの1本が曲がっていました。冷間で修正をすると折れる可能性があるので熱を加えて少しずつ修正をしました。軽く研磨とヘアーラインを入れます。鶴のマークがありますので、純正のケースです。この手のケースは磨く部分が少ないので楽ちんです。







Img_489325では、テンプを分解していきます。まずヒゲゼンマイを分離します。












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振り座を分離します。













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天真を抜きます。












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これで分解完了。天真の上ホゾが折れて下ホゾも摩耗しています。これでは動きませんね。











Img_489851新しい天真と比較します。といっても見えませんね。新品のホゾは長いです。











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ポンス台にて組立をしましたが、画像を撮り忘れていました。(暑いので) 地板に受けでセットしてあがきなどを確認します。非常にスムーズに回転しています。










Img_490162振れ見にセットして、バランスと振れをチェックします。非常に良好です。












Img_490285ヒゲゼンマイを取付けてテンプ完成。ふぅ、あとは普通に組み立てて行くだけですね。











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え~と、ちょっとご連絡を入れさせてください。チュードルの北海道の渡〇さん。メールをお送りしていますが、何かの問題でエラーメールとなって、そちらに届いていないようです。(ご返事がないので)お手数ですが、ご連絡したいことがありますので、一度メールを頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。



Img_490392香箱、輪列に注油をしながら組み立てていきます。石数は少ない割には異常摩耗はなく一安心です。











Img_490776 最後にテンプ周辺を組んでみると・・スムーズに動いてくれない。ヒゲゼンマイの接触などを修正しても改善しない。アンクルを観察してみると、なんとアンクル竿部分が曲げられていることが判明。その他に、テンプ受けも天真の摩耗を修正するために距離を短く曲げられていましたので、それらの辻褄を合わせるために曲げられたのでしょう。昔の修理では良く行われていたようです。左が曲がったアンクル。これを修正します。



Img_490925古い機械ですから、途中の修理でオリジナルを崩す工作をされているケースが多いので一つずつオリジナルのセッティングに直していきます。そしてやっと各姿勢で安定した作動を示すようになってきました。








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風防の状態からすると文字盤は劣化が少ない方ですね。軽く磨いた針を取り付けます。しかし、6時は文字の殆どが見えないデザインは面白いですね。まぁ、分かりますけどね。








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ケーシングをした状態。Cal 新10Bです。チラネジ付の小径のテンプは、ちょこちょことした動きで安定性は今ひとつという感じですね。後のマーベルやクラウンなどでは、大型化されていきます。








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はい、こんな感じになります。やはり風防が少しミスマッチな感じです。











Img_491959 裏側。はまぐりケースって言うのかな? 丸っこい裏蓋は私は好きです。











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お約束のベルトをセットした画像。じつは、この個体にもジャバラベルトが付いていましたが、当時の植木等のステテコ腹巻スタイルには似合っていたのでしょうね。革ベルトにするとぐっと良くなります。セイコー最後のスモールセコンドモデルです。秒針が目立たないので時がゆっくりと流れていくような感じがして、これも捨てがたい魅力だと思いますね。
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紙ヤスリで削られたPEN-FTの巻

2014年08月16日 15時19分33秒 | インポート

Photoお盆休みも後半で、お客様の中でも旅行中の方もいらっしゃいますね。ご苦労様です。私はとうとう仕事漬けでしたね。しかし、関東地方は、一時の猛暑が収まり、雷雨など日が続くようになりました。季節の変わり目なんでしょうか? 北海道のINOBOOさんからは、朝方はTシャツ一枚では寒いとのメールが入っています。写真は、小麦の 収穫だそうです。作業で疲れ目、肩こりの身には、何とも雄大な景色ですね。映画「バルジ大作戦」で丘に戦車が並んで砲撃しているシーンを思い出したりして・・
Img_486588でね。FTが続いたので、この個体は不具合の箇所をUPすることに集中します。まず、トップカバーや小物部品が紙やすりで削られていますね。使い込まれた真鍮地が出た状態を再現したかったのでしょうか?








Img_486649トップカバーを開けると・・何やら紙テープが貼ってあります。過去の分解歴があります。










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下ギヤを分離した形跡(ネジロック) 電池室リード線腐食断線、それによりボタンロックが固着しています。










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ホコリの混入も多いです。











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露出計は不動の個体ですが、スプリングの掛かりが外れています。











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プリズムの汚れを拭こうとしてゴシゴシやったらコーティングが剥げて来たのでやめておいたというところでしょう。










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では、洗浄をして組立ます。露出計が作動するかは分かりませんが、電池室のリード線は新製しておきます。モルトを交換して組立。








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シャッターユニットは基本的には悪くはないですね。過去にプーリーの留めビスが緩んで、シャツタースピードが変わらなくなり修理を受けています。スローガバナーの負荷はピンセットで作動させてみれば分かります。






Img_487575 スクリーンの中央にカビがあってピントを合わせずらいとのご指摘有り。プリズムとスクリーンの隙間にカビが発生しています。スクリーンは洗浄します。









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洗浄と清掃が終わったところ。











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露出メーターはコイルは断線していません。メーターは健全でCdsの感度低下です。








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感度が低いのでFV仕様として全反射ミラーと交換しています。電池室からのリード線は、良品のメーターユニットと換装するときのために新製した状態にします。アイビース枠の留めビス部にクラックが入っていましたので補修をしてありますが、そもそも、FやFT初期までは頭に大きなスペシャルビスを使用していたものが、汎用のビスで組まれるようになったために、アイビース枠の取り付け穴が大き過ぎて、ビスを締め込むと頭が潜ってしまうためです。生産現場の判断かは知りませんけど、これは考えればダメなのは分かるでしょ。
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付属の38mmですが、絞りが自動で連動しないとのご指摘。原因は、レバーの腐食による固着。他の部分と違いクロメート処理ですから耐候性は悪いですが、それにしても派手に腐食していますね。処理が悪かったのでしょう。





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色々と問題がある個体でしたが、何とか仕上がりましたね。自動絞りが出来なくて、中央部が見にくいスクリーンでは撮影は大変だったでしょう。今度は楽に撮影できますよ。
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ハミルトン・ミリタリーMIL-W-46374BをO/Hするの巻

2014年08月14日 14時32分40秒 | インポート

Img_485022ミリタリーウォッチは魅力的で私も好きなのですが、このモデルはハミルトンがアメリカ軍に納入した官給品のMIL-W-46374Bで、1982年製です。バネ棒が嵌め殺しなので兵隊用でしょうね。オーナーさんが過去にデッドストック品を購入して使用されていたとのことですが、残念ながら風防にクラックが入っています。じつは、このクラックが成長してしまう失敗をやらかしました。





Img_485246手巻き7石の機械ですが、ハミルトンと言っても機械はスイス、エボーシュのINT7420/4と刻印されています。ドゥローヴェの7420と同じとか?? オーナーさんからは最初から5分以上進んで、ハック機能が働かないとのことでしたが、構造的にハック機能はありませんね。歩度はデータが取れないような滅茶苦茶な状態です。ヒゲゼンマイの絡みを疑いますが、一般的な耐震装置はなく、弾性樹脂が耐震装置の代わりをしているようです。



Img_485499 機械の設計はオーソドックスなもので、特に問題はありませんが、作りはあまり上質ではありません。使い捨て仕様なのかな?輪列を組んでいきます。









Img_485557 コハゼも材質のバネ性を利用したシンプルなもの。角穴車もペラペラですね。











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案の定、ヒゲゼンマイが接触していましたね。一応、作動を開始しました。











Img_485734 一一般的な耐震装置ではないですね。簡略化ということでしょう。











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ヒゲゼンマイの絡みを修正して、まぁまぁの歩度を示してきましたが、片振りは調整しきれません。









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過去に分解歴なしですからきれいな文字盤と針に返って扱いが慎重になります。H3と放射能マーク(長針の陰)は夜光塗料にトリチウムが使われていることを示しています。しかし、現在は殆ど発光しないようです。






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ケースに収めて完成。左は民生用のカーキですが、文字盤の数字や針の色は、やはり本物には敵いませんね。風防の傷を研磨しておいたところ、気が付くとクラックが大きくなっていて大失敗です。
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PEN-FTその他ご一統さんの巻

2014年08月07日 14時36分40秒 | インポート

Photo相変わらず今日も暑いですね。みなさんは、もう一息でお盆休みでしょうね。もう一頑張りです。私はリペイントを終わらせてちょっとうだうだしています。そう、少し前に北海道のINOBOOさんから季節の便りが届いていました。ジャガイモの花だそうです。広大な畑に朝靄が掛かって何とも涼しげですね。あ~、北海道に行ってアイスクリーム食べたい。




Img_480651で、まだうだうだです。先日仕上げたセイコー・スーパーですけどね。付属していたジャバラベルトを超音波洗浄をして取り付けてみました。まぁ、すごい油汚れで何度も洗いました。今まで、ジャバラベルトはオヤジのベルトと敬遠して使ったことがありませんでしたが、考えてみたら自分もオヤジの年齢でした。使用感がこれが楽です。バックルがないので、時計が腕の中心にピタッと来て心地よい。締め付けもそれほど感じません。そこで、昭和40年代初めぐらいまでかなぁ。私が子供のころ、夏になると大人が汗止め用に腕に包帯を巻いて腕時計をしていた記憶があって、それが何ともかっこよいと記憶に残っています。姉ちゃんのクラスでも、怪我もしていないのに包帯をアクセサリーにするのが流行ったりして・・坂本九やバラキンの時代です。で、子供のころの憧れをやってみました。う~ん、気持ち良いですよ。これで今から床屋さんに行ってみようかしら・・


Img_480844包帯のルーツは、昔、帝国軍人の将校が同じように包帯の上に腕時計をしている映像があって、当時は防水性能のない時計を劣悪な環境下で使う実践的な知恵だったのでしょう。じゃあ、時計も少し古くして、と言っても、これも戦後の設計の新10Bですけど、同じ10型なので雰囲気は一緒かと・・南方戦線の戦車兵みたいだな。もうすぐ敗戦記念日が来る。





Img_469822では本題です。あら~、3台のカメラを紙袋で送ってこられた方は初めてですよ。大丈夫でしょうか?・・











Img_480951キヤノンⅡDのようです。巻上げダイヤルの回転が極端に重いとのことで、分解をしましたが、逆転防止用のバネが変形しています。何度も分解を受けていますので巻上げダイヤルが緩んで(剣先のイモネジに問題あり)いたところを逆に回して変形させたものでしょう。このバネは変形すると逆転を止められなくなりますよ。






Img_481575巻上げダイヤルの緩みの原因ですが、イモネジの先端が本来剣先に尖っているのですが、何度も締め込んだために先端が平らになってしまい、スプール軸を留めることが出来ないのです。オイルストーンにて鉛筆削りをして修正をします。








Img_481388もう一つの不具合は、駒数カウンターが正確に同調しないとのこと。ここは、ダンパーグリスで固定しますが、水油がつけられている状態。これでは滑りますね。摩耗もあるので、一番硬いグリスを塗布して同調を見ます。 40枚まで正確に同調します。その他、アイレットの曲がりはカシメの修正や彫刻文字の入れ直しその他清掃をしておきます。





Img_481657アイレットも真っ直ぐになりました。スローダイヤルに汗によるメッキの劣化がありますが、きれいな個体ですね。巻上げは軽く、シャッターの調子も良好です。










Img_481748では、次やるニダ。PEN-FT #2760XXですが、何々・・「レンズ脱着の時にごりつきがある?」これはカメラ本体ではなくて、レンズのヘリコイドグリスが抜けてガタが出ているのでしょ。あとは二回巻き上げね。








Img_481915で、分解とセルフタイマーボタンをはずそうとしましたがレンチが滑って外れませんねぇ。面取りを大きく取った部品が使われている頃です。確かにこの方が製品の完成度としてはカッコ良いですけど、あとの分解のことを考えていないよね。幸い、ネジ自体が緩んでいたので、裏ワザで分離をしてボタンを外しているところ。






Img_482116過去に分解修理を受けていますね。露出計の基板は抵抗が交換されています。












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前板の留めビスも1本欠落しているし・・













Img_482324きったないユニットだなぁ。モリブデングリスを塗りたくってありますが、このような着け方をしても意味はないと思います。シャッター自体には手を付けていませんね。取りあえず全て分解洗浄から・・









Img_482565では、いつものように洗浄後に組立をしていきますが、長くなりそうな予感があるので簡単に行きますね。巻上げ系を組んだところ。










Img_482752油と汚れまみれのシャッターユニットを洗浄して点検します。二回巻き上げにしては、歯車の損傷は大きくないようです。スローガバナーも良好です。










Img_482857シャッターユニット完成。これで各部の注油はしてあります。目に見えるほどの油を着ける必要はありません。











Img_483046ミラーユニットも油でギトギトでしたので、すべて洗浄をしてあります。注油も済ましていますよ。











Img_483246ハーフミラーは拭き傷は目立ちますが腐食はないので再使用も可能ですが、オーナーさんのご希望で新品と交換します。











Img_483332この個体はビスやワッシャーが欠落している部分が多いですよ。露出計ユニットを留める3本のビスのうち1本がありません。じつは、最初から2本で組まれている個体もあるのですが、この個体はねじロックから3本で組まれていました。なぜ工場で省略したかというと、この部分はドライバーが真っ直ぐに入らないのです。米谷さんの設計にはよくあることです。それで工程上省略したのでしょう。この個体は正規のビスを追加して組みます。



Img_483411ちょっと、嫌な予感がしていたのですが、セルフタイマーユニットの留めビス2本のうち、右側のビスとワッシャーが欠落しています。なんで?? じつはね。このユニットは、設計変更後のものに交換されているのです。








Img_483557分かりますかね。右のユニットが本来この個体に適合するユニットです。右側のねじ穴位置を見比べてください。左の設計変更後のユニットはねじ穴が右に寄っていますね。これは、マウントを分離せずにセルフタイマーユニットを分離できるように設計変更したためです。サービスさん辺りから「めんどくさい」とでもクレームが入ったのではないでしょうかね。知らないけど・・ ユニットを交換するか、このまま知らないふりをするか?



Img_483728まぁ、いいや。オーナーさんはセルフタイマーは使わないと言われるし、ダイカスト本体に接着で強度を保持させておきます。しかし、なぜ交換する必要があったのでしょう。動かなければ治せば良いだけと思いますけど。








Img_483977少し問題はありましたが巻き上げはスムーズでシャッターの調子も良好。現存の中では90点以上は上げてよい個体です。ただし、オーナーさんからのご要望で、前面の「MP」の上部の色が抜けているとのご指摘。これは、プレスが甘くて落とし込みが足りないために手の摩擦によって剥離したものです。こんなのは珍しいけどね。工場ではかろうじて色入れ出来たけど、使用過程で梨地も磨滅するので、現状の色入れは困難です。一応補修をしてありますけど、すぐに抜けてしまうと思います。深さ0.1mmも無いぐらいですから。
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2台目のPEN-FT #2514XXですが、こちらの個体の方が使い込まれているようです。毎回二回巻き上げになりますね。特に問題が無ければダブるので簡単にUPをします。








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この個体は雨の日に使うことが多かったのかな? 結構ダイカストが粉を吹いていますよ。マウント取付け部も同様でした。










Img_484215 アイビース枠がバラバラになっていました。アクセサリーシューなどを取付けていた個体に良くあります。通常は片方だけが多いのですが、この個体は両端ですので、接着修理をしても強度がないと判断して交換することにします。







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すべて洗浄をしてから組み立てています。電池室のリード線の半田付けが取れましたので再半田をしてあります。










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シャッターユニットの洗浄点検です。ブレーキナットに緩みが発生していました。このナットは緩みやすいです。










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もう一つの問題。シャッター幕のセクターギヤ軸の回転が異常に重いです。じつは、これも結構ある不具合で、シャッタースピードが上がりません。現状は殆ど無給油で作動していますので、摩耗のため軸が荒れてくるのですね。改善させています。







Img_484734 付属の20mmですが、ヘリコイドの回転がスムーズでない。また、ガタもあります。ヘリコイドグリスの劣化と抜けですね。過去に分解を受けていますので、ネジ部もあまり良くはありません。








Img_484826 そんなことで、2台のFTは両方とも良い感じに仕上がりました。1台はパートナーさんの使用機だそうです。最後にⅡDを入れて記念撮影。
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