今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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かなり厳しいなぁ、PEN-S 2.8

2011年07月21日 20時14分03秒 | インポート

Img_205293 カメラの前にね。最近UPしていませんでした腕時計ですが、このモデルはSEIKO ベルマチックと言いまして、ベルが鳴る自動巻き腕時計なんですね。1967年から約10年間も生産されたビジネスマン向けの時計です。これ以前にはシチズンからも発売されていましたが、そちらは外国製のコピー的製品で手巻き時計です。どうやって操作するかと言うと、時計自体の動力はセイコーお得意のマジックレバー方式による自動巻きで手巻き機構は省略されており、3時の位置のリューズはベルに動力を与えるもので、2時のノブを引いておくと画像では6時付近にあるダイヤルリング▲の時刻になるとベルが鳴る仕掛けです。

Img_205046 裏蓋を外して内部を見たところ。普通の自動巻き機構の他に、ピンセット先のものがベルのハンマーで、時刻になるとこれがケースの内周に沿っている鐘を叩き、約10秒間鳴り続けます。音はベルというよりは、現在の携帯のバイブ機構のような振動ですね。先日セイコーが製作した高級機械式時計では、ベルの音に拘って、南部鉄器の材質から鐘を製作するところをテレビで見ましたが、南部風鈴に近い澄んだ音色をしていました。それとは比較になりませんが、60~70年代のビジネスマンに目覚まし時計などに重宝されて長く生産された腕時計です。ベル機構を収めるため、通常の自動巻き時計よりさらに厚みが厚いのはご愛嬌。当時の標準はステンレスベルト付きですが、厚めのワニ皮ベルトなどが似合いますね。からくり時計として所有していると楽しいですよ。海外には、熱烈なファンが存在しており、このようなサイトを作っている方もいらっしゃいます。

http://www.bellmatics.com/

Img_204465 で、本題ですが、このPEN-S 2.8 #267XXは1962-6月製とかなり古い個体ですが、ご覧のように塗装やメッキ部分にかなりの腐食が発生しています。じつは、オーナーさんからはリペイントをご依頼頂いていたのですが、すみませんね。今はご要望にお応え出来ないのです。メカも推して知るべしで非常に悪い。まぁ、出来るだけ頑張って修復しますので・・・

Img_204555 かなりひどかったですけどね。一つずつ部品を磨き上げて組立てています。保管が良かったら、それほど悪い個体じゃないんだけどね。救いは大きな欠点や問題点がないことでしょう。ひたすら、セッセと部品を磨く手間だけですよ。

Img_204688 この頃のシヤッターは性能が安定しないものが多いのですけど、この個体は意外に磨耗は少なめで調子は悪くはありません。充分、実用としてお使い頂ける信頼性はあります。今回は、実用性重視でクラックの入った駒数ガラスなどは交換していません。