今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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PEN-W+PEN-FT(B)

2011年07月08日 22時40分12秒 | インポート

Dscf2782641 PEN-WとPEN-FT(B)というペンファンなら羨ましい機種とレンズ(これまた20mm他)が来ています。黒いのがお好きなんですねぇ。で、PEN-W #1057XXから見て行きますよ。最初は未分解の個体だと思ったのですが、シューカバーを外してみると・・あれ~、頭の大きな皿ネジが、トップカバー横に使われているビスに替えられていますね。しかも瞬間接着剤で固定してあります。そりゃ、ビスの規格が違いすぎるので、留まらないのは当然でしょ。駒数ガラスは少しクラックが入りかけています。シャッターは全く開かない。

Dscf278376 貴重なフィルター(東芝製)が付いているのですが、フィルターが付いている個体に多い不具合は、固着したフィルターを外そうと無理な力を掛けるとシボリリングが正規のストッパーを超えて回ってしまってシボリ位置(クリック)と指標が合わなくなってしまいます。この個体はどこまでも回っちゃいますね。

Dscf278415 分解するとこのようになっています。左のナットを締め込んで留めているだけなので、大きな力を掛ければ回ってしまいます。そうなると分解して締め直さなければ治りません。クリック機構はPEN-Sとは異なっているのが分かります。

Img_195964 と、ここまで画像を撮ったところで、長年使っていたファインピックスが壊れました。グスン、2台目だったのに・・・そこで、それよりは新しく高性能なキヤノンに換えましたが、同じ条件でも全く写りが違いますね。私は、特別な照明無しで自然な印象に写ってくれる初期のファインピックスが良いです。中古探そうっと。(1000円以下です) で、洗浄した本体にO/Hを済ませたシャッターユニットを組み込みます。特に問題はありません。

Img_196059 トップカバーです。しかし、変な写りだなぁ。どうして自然に写らないのかなぁ・・私は多少ピンが甘くても画角が固定でもファインピックスがいい。PEN-Wとしては、中々きれいなカバーじゃありませんか。

Img_1964331 ほぼ組み上がっていますけどね。シューの皿ネジがおかしなことになっていた時から気になっていたのですけどね。要するにこのシューはこの個体の物ではないのですね。多分、PENの中期までの部品でしょう。基本寸法は同じなので付くことは付くのですが、ビス孔位置が微妙に変わっていまして(公差の変更かロット間の差)取付位置がずれるのです。シューをよ~く見てくださいよ。微妙に左に倒れているのがお分かりでしょうか? ビス孔の関係でどうしてもこの位置になってしまうのです。レールの部分がへこんでいたりして、PEN-Wですから高く売るために交換されたものでしょう。どうせならPEN-Sのものを使ってもらえば良かったのにね。皿ネジはオリジナルを使用して組立ましたが、ここも孔位置がずれていてセンターに留まりませんね。それが原因でビスを変えて接着したものかも知れません。怖いでしょう。状態を見ればみんな分かってしまうのですね。

Img_196588 微妙に曲がっていますね。指摘されると気になるでしょ。組立はこのような部分にも気を使って組んでいるのです。メカは快調、レンズは後玉にバルサム周辺剥離が始まっています。

Img_1969771 PEN-Wはフードも製作しますが、平行してPEN-FT(B) #2834XXを見て行きます。この個体は輸出されたものを里帰りさせたものです。セルフタイマーのボタンがスリ割り式に改造されていますね。トップカバーのボタン孔周辺にタッチアップをした形跡がありますので、かなり苦労してボタンを外したようです。外人の動けば良いという修理ですな。

Img_197087 セルフタイマーレバーを分解してみたところ。幸い、右端のボタンホルダーのねじ山は生きていましたので、ボタンのみブラック用を作ります。

Img_197315 塗装前のPEN-WフードとPEN-FT(B)セルフボタン。このPEN-Wのシボリリングの直径は少し大きめに出来ていましたので、それに合うように調整をしておきます。

Img_198278 平行してFT本体の組立をしておきます。里帰り機ということで少し心配はありましたが、特に改造などは見当たりません。返って湿気の少ない場所にあったために光学系などの状態は非常に良いと思います。ピンセット先のアイドルギヤはスプール軸の取付け位置によってスプロケット軸のギヤとのクリアランスが変わりますので適正なクリアランスを保つようにします。

Img_198498 暑い一日でした。関東地方は早くも梅雨明けとなりました。今年の梅雨はまとまった雨が降らなかったようで、ダムの貯水量は大丈夫だろうか? 九州地方は集中豪雨が続いているそうで、被害に遭われた地区の方々にはお見舞い申し上げます。

PEN-W用のフードを塗装しました。塗装作業は久しぶりではありましたが、目の方は特に問題はありませんでした。しかし、夏季の焼付塗装作業は高温の中で長時間掛かりますので、なるべく控えたいと思います。

Img_198524PEN-FT(B)の方はここまで組んであります。この個体は、シャッタースプリングが強く、非常に力強く作動しますね。セルフタイマーボタンは塗装をして完成しています。仮組みで作動の様子を見ているところ。

Img_199015 レンズは38mmと20mmが付属してきました。20mmはねぇ。まずは分解されているんですね。曇りが発生している個体が多数ですので分解をされるのでしょう。曇るレンズはこれですね。画像は白濁を清掃した状態。曇ってから長い時間を経過したものはガラス自体が侵されて清掃できません。この個体のように一見清掃出来たように見えても、再び曇る可能性が高いので、じつはあまり作業をしたくないのです。

Img_199167 分解レンズの場合は、シボリクリック用の1/16スチールボールが欠落しているものがありますが、この個体も無くして来ましたね。分解された方は落下したこともご存知無いのだと思います。追加しておきます。

Img_199297 後ろ側を見るとね。カニ目孔から工具を滑らせた後がありますね。ここまで盛大にキズを付けるのは至難だと思います。自信の無い方はやらないで頂きたいのです。タッチアップ塗装をしておきます。

Img_198852 はい、今回のスレの最後です。ペンファンの方には垂涎の的の2台でしょう。2台とも調子は最高でご希望のフードも付いてタイマーボタンも治っています。ではこれで完成としましょう。