大阪のご常連さんは複数いらっしゃいますが、この方はFOCAがお好きなようです。おフランスらしい斬新なデザインのカメラですが、普及クラスの作りですね。この方はいつも食玩を入れて頂いてありがとうございます。エフトイズの双発機コレクションで、箱には100式重爆「呑龍」とドイツのユンカースju88が描かれていますが、中身はユンカースju88でした。
1940年少し前の時代は、戦闘機援護がいらない(戦闘機の航続距離が短く援護できない)高速爆撃機が主流の設計思想となり、試作で500㎞/hを超える高速を出して正式採用になった機体ですね。空気抵抗を極限まで少なくするため、胴体は非常に細いです。日本機を見慣れていると、一見空冷エンジン搭載に見えますが、実は液冷エンジンなんですね。日本はドイツやヨーロッパで成功した設計思想を後追いする傾向にあって、直後に当時としては高速の九七式重爆などが正式採用されていますね。個人的にはハインケルHe111なんかドイツ機らしいなぁと感じます。機体迷彩の下面色を見るとリペイントをしたくなりますね。フランスのカメラにドイツ空軍の爆撃機という取り合わせもシュール・・
で、あまり画像は撮っていないのですが、どうもシャッタースピードが狂っているようだとのことで、予備機まで付けて頂いています。計測すると全速1/250は遅めで1/125が逆に速い。低速側では1/8 1/15が全くコントロールされていない(全速)という状態。しかし、予備機を計測すると、同じような傾向です。全速で遅いのはバネの張力の劣化で仕方がない。逆の速い方は元からという印象。
スローガバナーを洗浄注油で作動を見ますが、特に不具合はありませんね。ピンセット先のネジは取付けネジではなくガンギとアンクルの当たりを調整するための偏心ねじ。
カム板を観察すると、1/125 1/15 1/8のカム山をヤスリで削って調整をした形跡があります。しかし、それが不十分ということのようです。カム山高さの調整は高ければ削る、低ければ潰して山を高くするという調整作業。
レンズのヘリコイド部を特性のレンチで締め込みます。
全速1/250遅いは仕方ありませんが(実測1/180)その他は、ほぼ規定値に入るように調整をしてあります。内部のレンズ側で無限遠調整をした後、ピントリングを取り付けて完了です。
もう一台はFOCAMATICですが、露出メーターのコイル断線でメーターが作動しませんので、部品取りから調達して交換することにします。
メーターは単体で取り出せない構造ですね。ダイカストにマグネットとコイルを圧入して組まれているので分解が出来ません。セレンユニットとセットで移植します。
このように取り付きます。製造国が違えば設計思想も変わるものですね。因みにこのカメラはメカは全て前板に取り付けられていて、本体側は巻上げ機構だけですね。
この軸を中心に露出メーターユニットが動きます。
連結はリンケージをEリングで接続しているだけです。
これでやっとEEカメラとして撮影することが出来ますね。