今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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SEIKO 52KSスペシャルなんだがの巻

2018年03月02日 21時36分35秒 | ブログ

セイコー機械式時計の末期に発売されたKSスペシャル(5246-6000)で、個体数が少なく市場価格は高めのモデルです。しかし、状態はよろしくないですね。カットガラス風防が付いていますがオリジナルではないのでは? 内部に繊維片が混入していますので、過去の作業は、あまり良い作業ではないみたいです。

 

カットはこの角度で合っているのかな? 手巻きが重いとのご指摘ですが、この機械は重いのですね。常用ではなくエマージェンシー用です。

 

 

私の嫌いなワンピースケースですね。リング付の風防ガラスは金メッキ仕様ですから、本来は金ケース用でしょう。

 

ケースも傷だらけというコンディションです。

 

 

ベゼルリングもかなりひどいです。

 

 

小型の機械を生かした小さめなワンピースケースです。裏面は腕に馴染むようにラウンドしています。

 

機械のオーバーホールの前にケースを研磨しておきます。極力研磨量を控えたいので、ここまで全て手磨きです。

 

裏面サイドも研磨しました。これから仕上げ磨きをして完成させておきます。

 

 

今日は新宿にいました。寒さも緩んで朝から気持ちの良い青空でした。東急ハンズに材料を入手したかったのです。

 

週末になると大きなトランクを押した海外旅行者が目立ちますね。

 

 

中央線ホームには「かいじ」のE257系が止まっていました。私はブルーリボン賞受賞の183系の方が好きだったな。

 

立川駅の青梅線ホームでは、新しくスーパあずさに投入されるE353系の展示イベントが行われていました。

 

青梅線の発車間際だったので適当にパチリ。おぅ、高運転台を採用したのは良いけど、貫通扉が目立って、イマイチのデザインだなぁ。まぁ、見慣れれば馴染んでくるのでしょう。

 

札幌のご常連さんと食玩の艦船モデルについてお話していたので、昔に作った1/700ウォーターラインシリーズの駆逐艦「陽炎型1番艦」製作当時はメガネ無しでこれぐらい作れたんだよね。今は無理。ということで、ケースを研磨したのみです。

 

分解洗浄をしましたが、ベンジンが褐色に変色するぐらい汚れていました。そもそも、ネジが規格外のところが多く、あまり良い作業を受けていないようです。

 

二番車、ガンギ車、秒針規正レバーを取り付けて行きます。バネが飛ばないうちに二番受を付けないと・・

 

手巻きが重いとのことですので切換伝エ車などには注意して注油をしておきます。

 

 

一番受を付けて伝エ受を取り付けます。あ~、諏訪の設計に慣れていると亀戸は組みにくい・・

 

表側。亀戸は性能は良いのだけど、小さな部品が多過ぎて・・

 

 

日曜車の止ネジは4本のうち2本が規格外。上は細すぎで留まらない。下は材質違い。

 

 

ワンピースケースなので、外部緩急ネジがあります。

 

 

あとは曜車を付ければ完成ですけど、ガンギ車への注油とタイムグラファーに掛けるのでこの段階では付けません。

 

手巻きの重さは改善方向ですね。さて、ここから調整をして行きます。

 

 

曜車を外す時に丸穴部分をピンセットで当てて塗装を剥離されていますね。基本的な注意が出来ない作業者です。この部分ロディコで清掃は厳禁。印刷文字が剥がれます。触ってはいけません。

 

 

文字盤にも不注意のキズが目立ちます。ロディコで繊維片を取り除いていると、KSがくっついて来ましたよ。裏側からの接着も弱くなっているのです。再接着をしておきます。

 

針も汚れにより曇っていて、多少ヨレっていますので清掃修正をしました。KSの針は中央に黒線の印刷がありますので、強く擦ると剥離しますから慎重に・・

 

風防のゴムパッキンは新品が無いので再使用するしかありませんが、前回の組立ではパッキンを噛み込んだまま圧入されていました。また、繊維片が大量に付着していました。このゴムの材質は多少粘っていて、付着した繊維片は中々取り除けません。中性洗剤とブラシで洗浄後、ロディコできれいにします。

オーナーさん曰くカットガラスに金メッキリングはオリジナルとのことですが、良く分かりません。リングの1ヶ所に切り欠きがあるので、ここが0時に合うのかなぁ? まっ、そういうことで。

 

ベゼルリングのキズを研磨していますので、いつも圧入はヒヤヒヤです。強度が落ちているのと、何度も開け閉めしているので、金損疲労によりクラックが入る危険があるからです。今回は事なきを得ました。

 

中々良いですね。外部からの歩度調整は6時側のラグ間にあるメクラネジを外す必要がありますので、この時点ではSSベルトは付けません。ワンピースケースの場合、ケースに機械を固定すると機械の地板に歪が出て、歩度の調整が変わることがあるので、ケーシング後に再調整をします。

 平置きではなく、腕に嵌めて日差+4秒ぐらいですかね。もちろん個体差もありますが、56系のKSよりは精度は良い印象です。カレンダーも瞬時に切り替わり、亀戸のキングセイコーは伊達じゃないということですね。

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