まぁ、なんともキンキラ金の派手な時計ですよ。国産オリエントの製品ですが、曜日の表示がアラビア文字になっていますので、中近東辺りへ輸出したものでしょうか。あちらは金を身に着ける習慣があるようですので、特別にデザインされたモデルでしょうね。文字盤のインデックスも宝石? が入って、これも数えて25石なのでしょうか・・
外観はかなりばっちいです。SSベルトは油脂汚れでベトベトですので外して超音波洗浄に行きました。裏蓋には469468の刻印があります。cal.46941という機械がありますので、それの海外輸出バージョンナンバーかも知れません。とすると1975年以降のモデルと思います。
元々、オリエントの自動巻きはセイコーに似ていますね。現状は不動状態なので、自動巻き機構を取り去りました。マジックレバー式ですのでセイコーの系統です。
不動の原因は、テンプの振り石がアンクルのハコから飛び出してタイミングが狂ってしまったためでした。強い衝撃でも受けたのかな? 分かりません。で、すべて分解をして洗浄をしました。
セイコーに慣れていると組み易い機械です。カンヌキなどに注油をして組んで行きます。
部品の精度は良好で、受ケもピタッと合ってくれます。すでに輪列が終わってアンクルを取り付けます。
耐震装置のバネの形状が非常に厄介です。3か所を同時に抑え込まないとセット出来ない・・セイコーに慣れているからでしょうか? たぶん、専用工具があると思います。
日車の早送りはツヅミ車で駆動しています。
日ノ浦側を組み立てて曜車、日車を取付けました。「アラビア」ってプリントしてありますね。
問題発生。曜車の早送りが途中で出来なくなりました。原因は樹脂製の歯車の1つが磨滅していたため。画像のように早送りレバーが歯車に届きません。
右穴部分の歯車が短くなっています。多分、早送りでレバーが歯車の頂点と衝突したのを無理にプッシュしたのでしょう。交換部品は無いのでこのまま組みます。
金ピカの針を取り付けました。
マジックレバー式の自動巻き受ケとローターをセットしました。ローターには46961と刻印されています。
6振動の機械ですね。片振りを修正して・・素直なデータになります。
超音波洗浄をしたケースにセットしました。
専用ベルトを取り付けたら、さらにキンキラ金。国内ではあまり売れないデザインと思いますけど、キンピカが好かれる国や民族もあるのでしょうね。2時位置のプッシュボタンは曜日の早送りです。セイコーのスポーツマチック5 デラックスの76系が3時位置のボタンで日送りが出来るのに似ています。当時、国内では3番目のメーカーでしたが、東南アジアの空港に降り立つと、オリエントの時計が展示されていたり、頑張っているんだなぁと思った記憶がありますが、輸出に力を入れていたメーカーさんですね。最近の機械式復活で輸出量も大幅に増えているようです。近くの日野市にあった工場は今はなくなっていますけどね。