次はPEN-S 3.5#1504XXですけど、生産は新しいのにずいぶんと汚れていますよ。
ファインダーのハーフミラーが曇っています。これはメッキの内側が曇っているるもので、交換する以外にありません。かなり保管が悪かったようです。
すべて洗浄をして点検しましたが、他の部分に比べて裏蓋の塗装剥離が激しいですね。さて、このままで良いか・・
かなり使い込まれている個体です。距離リングは黒アルマイトの擦れが目立ち、洗浄しても彫刻文字が汚れたように見えにくいです。3.5の頃は赤字以外は彫刻のみで白の色入れを省略されているため、保存の悪い個体はアルミに粉が噴いてしまうのです。
ハーフミラーは交換しました。距離リングもきれいにしてあります。残念ですが裏蓋の塗装剥離は費用の関係でリペイントは断念しました。
なにか、PEN-Sの量産体制に入って来ましたね。この個体はPEN-S2.8 #3084XXで、かなり外観はきれいです。シャッターは不動ですけどね。
一見、未分解かとも思いましたが過去に修理を受けていますね。駒数ガラスが異常に落ち込んでいますね。このような場合は、接着が剥がれて脱落した駒数ガラスを古い接着剤を除去せずに再接着されているのです。見なくても分かるのです。
これこの通り。限られた工数内ですので、このまま黙っていれば通りますがそうも行きません。
古い接着剤を取り除いてから研磨後に再接着をします。
温暖化の影響とも言われていますが、今年は台風の発生が多いですね。しかも、狙ったように日本列島に針路を取ります。今回の21号でも関西方面では大きな被害が出ており、被災された方々にはお見舞い申し上げます。みなさんお住まいの地区は大丈夫でしたか? うちは風でいろいろ飛ばされた程度でした。S800も濡れてしまいました。
しばらく見てやれないうちに、あちこち錆が出ていてショックです。若い頃の予定では、今頃は好きなS800をいじって悠悠自適の予定でしたが、現実は毎日カメラを直さないと生活が・・
純正のハードトップもFRPがそろそろ限界に来ています。リヤウィンドウのHゴムから雨が侵入していました。カメラの修理代を値上げしてプロのレストアラーにレストアしてもらおうかしら? まぁ、無理ですね。
では本題。各リング類を洗浄研磨しておきます。
非常にきれいな個体なので当初は未分解かと思いましたが、シャッターは修理を受けていました。しかし、担当したリペアマンは、このシャッターを完全に理解していないようで、対症療法のような小細工をしてありました。すべてオリジナルのセッティングに戻してあります。12時の位置のネジのスリ割りが壊されていました。この程度です。
駒数ガラスはこのように接着します。
トップカバー横の留めネジを留めたのですが何か変です。これはオリジナルではありませんね。ここは皿ネジで丸頭です。
オリジナルに交換しておきました。ここも言わなきゃこのまま通る話ですが・・
スプロケットはアルミの黒アルマイト製、スプールはグレーです。ここは製造時期によって仕様が変化している部分ですが、私も正確な変更時期などは把握していません。今までに手がけた個体の仕様はすべて記録してありますので、データベースを集計すれば変更時期も推測は出来ると思います。やってません。
すべてオリジナルに戻して、今回のPEN-Sの中では一番の美品でしょう。ファインダーのリンクル塗装もほぼ完全に残っている個体は少なく、使用頻度は少ないことが分かります。但し、疑問点はシャツターの製造は昭和37年10月なのにカメラの完成が1962年9月となっています。通常はコパルで製造された月と同月か翌月(PEN-Wなどでは翌々月あり)に生産に使われて完成となることが多いのですが逆はあり得ません。どんな事情だったのでしょうね。どちらにしても30万台の美品には違いありませんけどね。欲しい方は都内の有名カメラ店様へ。