昨日、土曜日のカメラ市には、遅れて来たペンマニアさんが来場されて、私を見つけて声を掛けて頂きました。普段お世話になっているご常連さんとお会い出来るのはうれしいですね。
で、今日はロボットⅡaをやっていました。Ⅱ形は1939年にドイツ空軍にも採用されたということですね。正式なガンカメラなのかは知りませんが、戦闘機に搭載されて、敵機を撃墜したことを証明する戦果確認用として使われたとか。メッサーシュミットのマウザー砲の発射と同調して自動的に撮影されたのかなぁ?知らんけど・・日本でも開戦の初頭はベテランの搭乗員ばかりですから、戦果確認は非常に正確にカウントされ、陸軍でも64戦隊の加藤部隊長などは、部下の撃墜申告を聞いて、完全に確認証言が取れないものは除外して申告していたほどですが、戦争末期では、経験の浅いパイロットは過大申告が多くなっていました。ドイツでも同様な事情があって、写真によって撃墜認定をするように改められたのかも知れませんね。
余談ですが、真珠湾攻撃の時は雷撃機などは複座ですから、後席の爆撃手がカメラで撮影をしていました。蒼龍艦爆隊の生き残り森拾三は、カルフォルニア型戦艦を雷撃して大破させ写真撮影もしたが、被弾により脚が出ないため母艦への着艦が出来ず、護衛の駆逐艦横に不時着水をして収容されたため、撮影したカメラも機体と一緒に海没して証拠の写真を失ってしまった、零戦撃墜王の坂井三郎は単座ですから愛用のライカを常に携行していつでも撮影が出来る状態にしていたとのことです。日本軍にも正式な写真銃はあって、ガダルカナルを占領されてラバウルへの爆撃が激しくなった頃、内地から記録映画の撮影班が来て、敵機を邀撃撃墜するところを撮影したいと要望があり、その中で、「だれか20mmを1丁下して写真銃で撮影してくれないか」と司令が頼んだが、さすがに彼我の戦力差はいっぱいいっぱいのところに来ていて、だれも命を守る20mmを下すことには同意しなかったとのことです。人情司令の小園中佐ですから無理強いはしなかったのでしょう。その代り、敵機を基地の上空に誘い込んで撃墜する画像を撮らせることで撮影班を納得させたのでした。その時の映像は見ることが出来ます。
https://www.youtube.com/watch?v=QoDmXXK5rE8
シャッターはロータリー式でフォーマットは24X24mm おもしろいのはロータリーシャッター羽根の前に遮光用のシャッターが付いていて、まず遮光用シャッターが開いてからロータリーシャッターが開く構造です。
シャッターダイヤルのカム。今は1/500にセットされていて、後ろの強力なバネで引っ張られていることで、シャッターダイヤルの回転は非常に重いです。軽いと強力なゼンマイの振動によってシャッタースピードが変わってしまうということもあるようです。
中心がロータリーシャッター幕の軸です。今回は低速が不安定ですのでメンテナンスをしておきます。
シャッターダイヤルの回転が重いので、グリスを塗布しながら組んで行きます。
おもしろいのは、ファインダー部のミラーを切り替えると、横の接眼レンズから像を見ることが出来ます。なんの意味で? 知らないけど、撮影を気づかれないようにするスパイカメラとして? また、飛行機の翼に取り付けた時の視野を横から確認出来るように? とか聞きました。
各ギヤを注油してセットしました。
悩むのは、カウンターセット用のギヤが出っ張るので、トップカバーをそのまま被せてもセット出来ないこと。どうする・・
ちょっと暗いですけど、遮光用のシャッター羽根を開いたところ。
レンズは、ねじ込み式で交換可能です。Xenar 38mm f2.8は標準的なレンズです。レンズも清掃していきます。
フィルムレール部分のダイカストが分離出来るとは気が付きませんでしたね。スリ割り付ナットは専用のドライバーを作らないと・・
当初は繰り出し側と巻き取り側の両方に専用のマガジンを使用していたようですが、このモデルは巻き取り側用(NRと刻印)に専用のマガジンと普通のパトローネで使用出来るようです。
90°アングルファインダーの接眼部。
レンズキャップのテレンプを修理して専用革ケースにセットしました。サイズは小さいですが、重量はレンズとマガジン込みで620gとズシリと重いです。戦後も1951年まで生産されたとのことですので、この個体も戦後の民生用ということですね。しかし、アングルファインダーって、横から見ていたら撮影に気が付かれないですかね? 怪しい人ですよね。