生産後期のPEN-D3 #3377XX(1967-8製)ですがきれいですね。リールがEL(イージーローディング)なので本来はトップカバー前面に「EL」シールが貼られていたと思います。で、すでにO/Hを受けているようで、機能的には問題はありませんが、オーナーさんから主に感応性能についての改善ご依頼がありました。
露出計のボタンを押しても作動しない時があるとのことですが、それは後で見るとしてファインダーを留めているネジが入違っていますね。電気的導通のためです。
シャッターリングの作動が重いとのご指摘も。カム板の締め込みが強いのかな? オリジナルより一山強くなっていますね。しかし、どうしてこのように傷だらけにするのでしょうね。
シボ革を剥離した形跡がないので、どうもヘリコイド部分は残してシャッターユニットだけ取り出したようです。私はやったことはありませんが、それなら工数の低減になりますね。やらないけど・・
シャッター羽根が激しく腐食しているものがあります。交換ですね。
この個体はシャッター不調でO/Hになったのでしょう。バネが曲げられていますね。これはシャッター羽根の戻りバネを弱くしてシャッターの止まりを防止しようとする対策かなぁ? 対症療法なので私はやりません。
O/Hをされている割にはスローガバナーも固着していました。すべて洗浄をして組み立てて行きます。
ヘリコイドはグリスが完全に抜けた状態でカタカタとガタを感じるぐらいでした。グリスの入れ替えをしてあります。
本体側を組んで行きます。この個体スプロケット軸とスプール軸に調整ワッシャーが入っていました。
本体にシャッターユニットを組み込みます。左端の駒数ギヤ(黒)はそれまでの真鍮製から樹脂製に変更されています。よって、ネジ部の強度が弱いため、分解するとネジバカになることが多いです。今回はなんとか・・
ピントリングの回転が重いと感じるのはクリック感も作用しますね。PEN-D~PEN-D3の中後期までは右のスチールボールでクリック感を出していますが、この個体は最後期型なのでクリックは左側のように砲弾型のピンによっています。確かにクリック感は強く出るのですが、潤滑不足となると動きが渋くなってカム板側の接触面も摩耗をしてしまいます。スチールボールのように回転しませんからね。私はスチールボールの感触の方が好きですね。設計変更がすべて良いとは限りません。
露出計のボタンとマイクロスイッチはスペースの関係で直線状に配置されていないため、接点の接触不良が起きがちです。
マイクロスイッチは分解可能ですので接点を抜いて点検してみましたが、特に腐食などは進んでいません。念のため清掃をして組み立てます。
D系のトップカバーはファインダーの開口部が大きいこととレリーズボタンを押す力による応力で変形をしてしまいます。そもそも露出計を収納する関係でPEN(S)などのように中央部の留めネジが無く、巻き戻しダイヤル下2本と駒数側横1本のたった3本のネジ(1.7)で留めているのは無理があります。
ご指摘頂いていた巻上げもスムーズとなっています。性能には関係なくとも、各部の動きがスムーズになるように留意して組むことは意外に手間の掛かる作業になりますが、その点にも拘って組んで行きたいと思います。
for MEN と位置付けて販売されたのは、その高性能もありますけどカメラの質量と操作感の重さなどもあって、女性には使いにくいことをメーカーも承知していたのでょう。
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