今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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Canon キヤノネット初代の巻

2019年04月30日 17時37分28秒 | ブログ

桜が散りつつあるというのに花冷えというのでしょうか寒いです。ちょっと油断をしましたら鼻かぜを引いてしまいました。悪いことは重なるもので、迷惑メールボックスのチェックをサボっていた時に限ってお問い合わせメールが3通も入っていましてご返事が遅れてしまいました。チェックしている時にはそれほど誤判定はないのですが皮肉なものです。なるべく頻繁にチェックをするようにします。アイフォンなどのモバイル系からの発信メールに誤判定が多いようです。特にセキュリティーは上げていないのですけどね。お問合せを頂きました方には失礼しました。で、ご常連さんから来ている中で、キヤノネット初代です。シャッターが開かないとのことですが、このシャッターもシャッター羽根と絞り羽根の位置が近いですから油の流失で貼り付いてしまうことが多いですね。その前に露出計が動きません。セレンをチェックすると・・

セレンが断裂しているようですね。これは前面の集光レンズが当たって削れたようです。多少、起電はしていますがセレンは取り出せる電流が僅かですので断裂のために露出計が動かせないのでしょう。

 

本来はシャッターを分解清掃するのですが、このカメラの相場からして費用は掛けられないですね。

 

 

絞り羽根を洗浄しました。シャッターは復活しましたが露出計はどうするのかな?

 

 

セレンは起電力を測定してみると、全く露出計が動かせない訳ではないと思うんですよね。で、調べて行くとセレンと接続する本体側の配線の被覆が破れています。多分ここがショートしていたのではないか?

 

破れた被覆をエポキシで保護して半田付けしてみると・・おぉ、そこそこ動きますね。しかし、新たな問題が・・メーターの指針がある個所で固着するのです。

 

 

メーターカバーを外して点検していますが、特に接触をしている個所はないようです。ヒゲゼンマイの絡みもないですね。しかし、ピポットのガタが大き過ぎる気がします。セレン露出計の場合、レンズキャップをしていないと常にメーターが作動していますので、ホゾが摩耗をしてガタが出ることがあります。

平成の最後にUPがキヤノネットとは思わなかったですね。明日からは元号は令和になるわけですが、令和生まれの方からすると私のような昭和生まれは子供の頃に明治生まれのおじいさんを見た感覚でしょうね。

で、やはりメーターは不調ですのでセレンと一緒に交換することにしました。

左のセレンに交換しますが、セレンの塗布が全周になっていますね。これが起電力に影響があるのでしょうか。因みに右は#7815XXで左は7829XXと製造時期は近いです。(近い個体を選びました)

 

メーターの交換はリード線がギリギリ短いので困難です。

 

 

テストをすると2段程度感度が低下気味です。そこで調整抵抗は・・なんとレリーズシャフトの裏側。これは厄介なところにあります。後々の整備性は考慮されていないようです。

 

露出メーター針の0点調整をします。ピンセット先のケガキにメーター本体を回転させて針を合わせます。

 

 

高級機メーカーのキヤノンから1961年に発売された中級35mmレンズシャッターカメラで、当時としても破格な¥18,800で発売され大ヒットを記録した初代Canonetですね。現存数も多いことから、現在の相場は安価ですけど、歴史的なカメラには違いありません。内部の機構も手抜きのない流石に高級カメラメーカー製と思わされます。競合メーカーに多大な影響を与えたのでしょうね。

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