今年の梅雨も各地で集中豪雨の災害が発生していますね。私の子供の頃とは確実に気候が変化していると感じます。関東地方も雨曇りの日が続いて湿度も高く気が滅入って来ました。早く梅雨明けが来ると良いとは思うのですが、開ければ今度は酷暑で体力を消耗するのでしょうね。相変わらずコロナの方も感染者は続いているようですから気温が上がってのマスク着用もストレスですね。で、中古カメラ店様からのローライ35の販売前のオーバーホール作業が続いています。複数の個体で気が付いたことを書いていきます。このカメラは小さい割には重いので、不注意で落下させてトップカバーをへこませている個体が多くありまずか、裏蓋の底部の修復依頼がありました。しかし、この部分は2枚合わせの部分ですから、リベットを外さずに板金することは難しいですね。無理を承知で直しては見ますが・・
この個体は巻上げが変です。レバーが戻ってこない。分解をしてみると・・リターンスプリングの係り位置が違います。→のアンクルの位置に掛かっていますが、本来は→の位置です。先日も同じ間違いの個体があったと記憶していますが、なんで間違えるのかな? 基本的に海外仕入れと思うのですが海外修理もこんなものなのでしょうか?
あれれ、追針のリンケージ●の係り位置が違います。本来はピンセット先の→のところです。なにか間違い探しゲームをさせられているようです。
トップ面のへこみがある個体も多いです。
裏側から板金しておきます。露出メーターのガラスが接着剥がれをしている個体も非常に多いです。
板金とメーター窓の接着。それとレバー当て↑を製作して熱カシメで留めておきました。細かなことですが非常に工数が掛かります。
この個体の右側の溝付ネジがいけません。殆どの個体は右側のネジは軸が段付きになっていてカバー面の面一までしかねじ込まれないようになっていますが、この個体のネジは左のネジと同じもので、段付きが無い状態で締め込むと、いくらでも締まってしまうのでカバー面の陥没や画像のような梨地メッキが光ってしまいます。個体によっては左のネジと共通で、軸部分に真鍮のカラーを嵌め込んである個体もあります。この個体の場合は左の巻き戻しネジを流用したか、カラーを無くして組み立てたかのどちらかです。
ローライ35の距離リングの作動範囲は画像のCリングで規制しています。←の位置が無限遠の位置になります。Cリングはバネ力で固定されていますが、回転方向には動くので無限遠調整をした後で距離リングの∞位置を▽に合わせてローレットのリングをネジ留めします。
シャッターのO/Hをしますが、この個体は調整シムが多く入っていますね。
この個体はジャーマニー製ですのでファインダーはプリズム式です。プリズム押えはこの個体のように平板バネもありますが、L型バネもあります。
シャッターテストをして行くと稀に巻き上げレバーがロックされない症状があります。クラッチ部分を分解して作動を見ますが、特に樹脂割れや作動不良はないようです。原因はスプール軸とスプロケット軸の同調が適正ではなかったです。組まれている状態が正しいとは限らないので疑ってみないといけません。
今度は不具合は絞り羽根がダイヤルに同調しません。絞り羽根の動きが重く、リターンスプリングの張力では絞り羽根をコントロールできないようです。で、分解をしてみました。
特に錆などはありませんが、何故か動かない。分解洗浄をして組み立てます。
やれやれ直ったと思ったら今度はフィルムカウンターが動かない。
これも良くある故障ですが、右のサラネジが紛失して左も緩んだ状態でした。ストックの純正ネジで組み立てます。
ジャーマニーでも裏蓋ロックレバーは変更されたタイプですね。これでやっと不具合が無くなったようです。まぁ、この仕事は神経が疲れますよ・・
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