特に書くこともありませんが。ローライ二眼レフの通常作業をしています。ローライフレックス3.5Fですが、シャッタースピードと絞りを連動(露出計)させるディファレンシャルギヤ。車のデフギヤのミニチュアみたいです。歯車の位置を正確に合わせないと動ぎません。
こちらはローライコード。個体の中にはチャージレバーの作動が非常に重い(渋い)個体があります。清掃とグリス塗布をしておきます。
革ケース入りの個体なので非常にきれいなのですが、どこかに当てて塗装剥離があります。
ローライフレックス・スタンダードは1932(昭和7年)となっていますね。零戦は1940(昭和15年)正式採用ですからそれより古いカメラを本気で使おうという方が居るのが不思議です。ビュー・テイクともレンズは曇っちゃっています。これ落ちそうもありません・・
一番の問題はシャッターは辛うじて切れるが中低速が全く利かない。BやTが作動しない。点検するとスローガバナーががっちり固着して動きません。スローガバナーは一種の時計ですので、零戦の計器盤に付いている航空時計を直せと言われているようなもの。
だってこれだよ。軸の固着を剥がせても、アンクルとガンギ車の微妙で精密な作動が出来るわけがない。
次の問題。BとTが作動しない。シャッター羽根の動きとここが悪い。
問題はビューレンズ。後玉の後端がなぜか潰されていて後玉のリングナットが途中までしか外れてこない。
まぁ、出来るところまでということで・・完成したシャッターを前面ボードに取り付けます。
ローライフレックス・オリジナルでは前面ボードの繰り出し軸が3点で強度不足であったものがスタンダードでは4点となって改良されていますね。
スクリーンは水準器部分は素通しで残し他の部分をブラストしています。
水準器はバネ線のホルダーに支持されていてスクリーンに密着する構造です。
フィルムカウンターの復帰はこのボタンというかピンを押し込みます。巻上げレバーは真鍮板の打ち抜き製で、出っ張りがなく本体にピタッと添ってスッキリしています。
昭和7年と言えば零戦どころか零戦の64機撃墜王、坂井三郎氏が実戦配置前の延長教育で使用した複葉機の九〇式艦上戦闘機が採用された年ですね。同時期にドイツよりOPL(光像)式の射爆照準器も入って来ました(冨岡光学などでコピー)から光学兵器では日本は全く後れを取っていた時代で、このカメラも大変高価で貴重なものだったのでしょうね。