同じ機種を同時に作業するのは効率的な部分もありますが、精神的には辛い部分もありますね。PEN-S 3.5は2.8に比べて生産が新しいものが多いので基本劣化は少なくメンテナンスで良好となる個体が多いと思います。#1109XX は保管が良くなかったようでメッキの酸化が認められ外観は汚れ放題です。しかし、未分解と思います。#1453XX はより生産が新しいのできれいですが、前面シボ革が剥がされたままで接着されていません。また、シャッター羽根に油のようなものがあります。
ます、#1109XXからやっつけます。ファインダーは曇りと汚れ放題ですが、返っていじられていない方が良いです。
シャッターは不調でしたがメカに特に問題はありません。最後期型の仕様ではなく一番量産されたタイプです。
私のオーバーホールはすべての外装部品も洗浄から始めますので工数は多く掛ります。シャッターリングのメッキ腐食も無く完全にきれいになりました。
ターミナルはお約束の半田外れですので再半田付けをしておきます。
問題はレンズなのです。かなり糸状のカビがありますが、持病の後玉コーティング曇りは幸いありません。やはり新しいからでしょう。
後玉の菌糸状カビ。経験的にこのようなカビは除去できますが、クリーニング液の選定には留意する必要があります。
次は#1453XX です。シャッターに油がありますね。内部から出る油は無いので故意に点けられたものです。
これはダメですね。完全に分解で超音波洗浄をしてから組み立てます。そもそも、このシャッターの製造とカメラ本体の製造年月が合いません。途中で交換されている可能性もあります。
ファインダーレンズの分離清掃をしてトップカバーに取り付けます。きれいですね。
トップカバーを本体に取り付けます。撮り忘れましたがレンズは過去に清掃を受けていて後玉コーティングに線傷がありました。残念。
右が#1109XX で左が#1453XX です。見にくいですがスプールがELダイブに変わっています。また、底部のスプールナットも樹脂製になっています。
しかし、2台共致命的な打痕などが無く非常に美品に仕上がりました。オーナーさんの選択眼は正しいです。片方には付属品も備わっているようですので大切にされてください。次はいつ頃UP出来るかなぁ・・