UPをお待ち頂いている方もいらっしゃると思いますが、最近PENのご依頼が少ないんですよね。で、北海道からのご依頼は、三光(一応)PEN #1399XXで義理のお父様が新品で購入された遺品とのことです。かなり汚れていますが、なるべく良い状態に復元したいとのことです。
すでに近くの修理屋さんで修理をされたとのことですが、ファインダーの欠けを修理されていますね。樹脂も古いので強度も落ちていて、軽い衝撃で簡単に割れてしまいますね。
スプールのクラックも定番の不具合です。修理に出された割には内部も汚いですね。
レンズの後玉はコーティングの劣化で白濁していて、それを拭いて傷にしています。
私の作業は単に不具合の部分を修理するということではなく。レストアに近い作業を心がけています。まずは本体を完全に洗浄しました。
一つのお家に住み着いていた個体なのでカメラは荒れていません。内部はピカピカになりました。組立てて行きます。
シャッターユニットはヘリコイドグリスの入れ過ぎで距離リング内まで油が回っています。グリスは必要にして最少で良いのです。洗浄脱脂をして行きます。
スローガバナーにも油が回っていました。超音波洗浄をしてあります。
「一応」と言いましたのは三光PENの定義が曖昧だからです。工業製品は常に改良されて生産されますので、各部の変更には時間差があるわけです。この個体で言うと、巻上げダイヤルカバーが初期は熱カシメですがネジ留め式に変更されています。左端の逆転防止爪は初期の1枚から2枚になっています。巻上げダイヤルの留めネジはまだ正ネジです。以後に左ネジになります。駒数ダイヤルのカニ目ネジはすでに左ネジになっていてギヤの形状も変わっています。(但しウェーブワッシャーはまだ入らない。2穴もなし)三光の定義はほぼ外観を言ったもので内部は常に変わっているのです。
シャッターを本体にセットしました。シャッターリング(カム)も洗浄してありますがメッキの状態が良いですね。タンスの中に仕舞われていたからかな?
破損したファインダーは交換します。樹脂は劣化していて白濁や強度が落ちています。外観で見える部分を少し研磨しました。ピカピカにすることも出来ますが、乞〇が歯を磨いたみたいになってしまい時代が無くなってしまうので、敢えて軽く磨きます。
樹脂への接着はすでに有効期限が切れていてレンズは剥がれます。清掃をして再接着をします。黒の防眩紙は色素が抜けていますので作り直します。対物レンズは樹脂レンズですので清掃に不用意に拭くと傷が付きます。
完成したファインダーをトップカバーにセットして本体へ取り付けます。駒数ガラスは研磨してあります。
レンズの後玉は前回の修理でコーティングは取り去られています。清掃でクリアーとなったのでこのまま使います。
裏蓋のシボ革には初期の「MADE IN JAPAN」ではなくOPYMPUS・TOKYOに変わっています。圧板を研磨してモルトを貼ってあります。スプールは交換しました。
一家に住み着いた由緒正しい個体なのできれいになりましたね。乳白のレンズキャップは残念ながら紛失されたとのことです。探せは見つかると思います。では、次はPEN-S3.5に掛かります。