今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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AUTO TERA ⅡBってなに? の巻

2023年07月02日 11時11分00秒 | ブログ

中古店様から見慣れないカメラが来また。AUTO TERA ⅡBと彫刻されています。1950年代のカメラと思いますがTERAOKA SEIKOSHOと刻印されています。寺岡精工所はハカリで有名なテラオカが製作したカメラのようです。「修理カルテ」に「ゼンマイ巻上げ」と記載されていました。この時代のヘリコイドグリスは品質が良くなかったようでヘリコイドが張り付いているカメラを見ますが、この個体もビクとも動ぎません。多少荒治療ですが何とか固着を取ります。

調べてみると、巻上げはゼンマイによるスプリングモーターですが、連写が出来るという訳ではなく、画像の鏡胴を回転させることでフィルムの巻上げとチャージを完了させるということのようです。とすると指かけのようなレバーがないと・・内部にネジとピンが落ちていました。このことから指かけが脱落していると気が付きました。

ネットで画像を検索してみると、PEN-F系のレリーズボタンのような形の立派なレバーが付いていたと分かりましたが、今回は仮にPEN-Dの距離レバーをタップ加工をして取付けておくことにします。本体に傷をつけず、オリジナルの指かけが見つかれば交換出来るようにしてあります。

 

リターンスプリングは弱いので特に問題なく操作が出来ます。しかし、この操作をするのであれば、ゼンマイ巻上げではなく、このレバーでチャージすれば良いんじゃないの? どうしても、得意なゼンマイを使いたかったのかな?

 

大きく見やすいファインダーを清掃します。プリズムの2面にハーフミラーとフレーム板を接着しています。二重像が大きくズレていますので調整をしますが、テコのようにと支点、作用点が一直線のため調整は非常にシビアで中央ネジにより僅かに動かすと大きくズレてしまいます。

接眼部を分離して清掃のうえ再接着をしておきます。

 

 

黒い円盤の下にゼンマイが入った香箱があります。かなり強いバネです。

 

 

このレバーでゼンマイを巻き上げます。ゼンマイ一杯で7~8枚程度撮影が出来るようです。

 

作業用のダミーフィルムは通常のフィルムより強健に出来ているのですが、それでもゼンマイの強さにパーフォレーションが痛みます。

 

トップカバーに小さな打痕がありましたので修正をしてあります。

 

 

シャッターは国産高級の精工舎 MX ですので信頼性は高いですし、写りも良いようですね。生産台数は少ない(シリアルが4桁)ですからほとんど見る機会もないカメラですが、ファンの方はいらっしゃるのでしょう。

 

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