ローライ35系の通常メンテナンスです。#3171XXXはドイツ製の後期でしょうか。露出計の作動が不安定なところがあります。点検すると、通常は↗のCdsは電池室に接着されていますが、この個体は接着されておらず(剥離したか)受光面が斜め上を向いています。リンケージとの接触もしていますのでショートなどの影響を受けていたものかもしれません。Cdsを正しい角度で接着しておきます。
ギヤなど仕様はシンガポール製とほとんど変わりませんがファインダーだけはガラス製です。スロー不調がありますのでスローガバナーの清掃注油をしておきます。
巻き戻しダイヤルの回転部分に埃などが堆積して回転が重いものがあります。ダイヤルと裏蓋を清掃して組み立てます。
これは次の#3087XXXと初期の個体ですから全体的にヤレが感じられます。露出計が不動で「できれば修理お願いします」とのことでしたが回路の断線でした。この頃はメーターコイル断線の個体も多いのでラッキーでした。ここは半田付けではなくスポット溶接ですが電池の電解液漏れの影響で外れたものかもしれません。
このように回路を修理しておきました。メーターは作動しています。
気になるのがメーター左のオレンジ塗装が白化していること。初期の個体に見られる劣化です。このままにするか? 塗りなおすか?
洗浄したトップカバーにレリーズピン(グリス塗布)をセットして本体に取り付けます。
裏蓋は巻き戻しダイヤルの回転が重くゴリついているので分解清掃をしました。問題発生。フィルムカウンターが途中で張り付いて戻りません。
ローライ35の場合、カウンターが裏蓋側に付いていることで本体側との連動不良により正確に作動しない個体が多くあります。原因は様々ですが、この個体の場合はまず接着されているカウンター盤の糊が劣化して粘ることでスムーズに回転しないものです。その他に、カウンターが途中から進まない症状もあって調整をしました。
ローライ352台は完成。次はローライ35S #22559XXXです。過去に分解は受けていますね。前面の化粧プレートの貼り位置が違います。それとヘリコイドの回転が重く、回し始めにコクッとガタがあります。これはヘリコイドのアウター側のグリスが切れているためです。
ローライ35の距離調節は前玉繰り出し式ですが、ローライ35Sはレンズ全群の繰り出しでピントを合わせます。従って↓アウターと↓インナー2条のネジがあります。アウター側のグリスが抜けやすく、抜けるとピントリングの動きはじめにガタを感じるようになります。画像はシャッターの清掃とヘリコイドグリスを入れ替えたところ。
沈胴の作動具合が少し引っかかるので分解しました。清掃とフェルトの調整をします。
沈胴チューブから先端のリングは過去にも分解を受けていました。組立時はネジに緩み止めを塗布しなければなりませんが、この個体は塗布されておらず、それによって、ピントリングの回しはじめにガタを感じる一因になっていました。沈胴チューブの内側に↗ネジが切られていますので、ローライ35のようにシャッターユニットは簡単には前方に抜くことはできません。
沈胴チューブのフェルト調整を終えて本体に戻しました。前端のリングは緩み止めを塗布して分解時と同じねじ込み位置に組んであります。
無限調整をして化粧リングを接着します。無限位置の時、Rollei-HFT が真上に来るように貼ります。
シャッターダイヤルの数字が消えている部分がありますね。生産が古い個体ですと彫刻凹面に色入れですが、この頃になると平面にプリントなので使用によりインクが摩滅してしまうのでしょう。コストダウンの一環なのでしょうね。
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