今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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もっと初期型PEN-Fの巻

2024年01月05日 20時00分00秒 | ブログ

オーナーさんは全く知らずに手に入れたPEN-F #1023XX です。PEN-Fの発売は1963年9月とのことですが、まさしくこの個体は発売月の生産です。FTより古いFの最初期型を入手されて来るとは・・巻き上げても最後の部分で逆転してしまいシャッターのロックが外れずレリーズが下りません。

巻上が完了するとのレバーが上がって(画像では)のレリーズレバーが右に動けるようになってシャッターが切れるのだが、逆転によりこの個体の場合はのレバーが下がってしまう。スプロケット軸の逆転を止める「板止爪」の調整が必要です。

当然過去に分解歴は有ってシャッターダイヤル留めネジのスリ割が壊されていますが、或いは工場の組立の時なのかもしれません。

 

組立は前回と同じなので初期型と以後の個体との違いを見て行くことにします。最初期型の圧板の天地取付はこの位置で正しい。以後は上下逆になります。

 

レンズの合わせマークはのように側面の赤線です。以後は正面側の赤になります。

 

初期の「巻上爪」を押さえるバネはリン青銅の板バネです。以後は普通のコイルバネになります。

 

生産初期で組立に慣れていなかったのかスリ割を工具で壊しています。或いは途中で分解されようとしたか? ここは左ネジなので反時計方向では緩みませんが・・

 

だから余計なモルトはいらないと言ってます。

 

 

「カギ板」(D007)を押さえるバネのガイド(D21)は最初期型にはありません。プレスで加工してあります。しかし、これですとトップカバーを閉じる時にバネが外れやすいのです。恐らく組立の方からの要請でガイドを追加したものでしょう。

本体の洗浄後、モルトと巻上系を組み立てておきます。初期型ですのでスプロケットはアルミアルマイトでスプールはグレーです。

 

シャッターユニットを見ます。スローガバナーは初期の#12 です。この辺りの制御関係は何度も設計変更をされていまして互換性がありません。図番の「-2」など追番があるものは変更履歴があります。このガバナーは貴重です。

正月中、昨日は晴天で気温も上がりましたので恒例の立川の諏訪神社まで初詣に行って来ました。いつも混雑を避けて三が日は避けるのですが、昨日は思ったより参拝者が多く、30分程度並びました。厳しい世相のせいか、どなたもお願い事が長かったように思いましたね。

初期のシャッター幕はピカピカしています。以後はエッジの部分を残してエッチング処理をしています。のバネは初期のみ付いていて以後は省略されます。

 

オーバーホールを終えてテストをしています。快調に作動しています。

 

シャッターダイヤルのネジは工場ではありませんね。途中の分解でスリ割を壊してしまい。接着で前板に着けられていました。

 

前回のFもそうですが、初期型のプリズムは意外に状態が良いですね。中期以降の個体は腐食が持病ですが・・

 

シャッターダイヤルのネジは+になりました。

 

 

これでメカの組立は終了。今回は全反射ミラーとブレーキOリングは交換していません。初期のプリズム押さえはリード線を受ける形状となっていますが、あまり必要性が無いので以後は形状が変わります。


生産の最初期なので60年以上前に作られたカメラになりますね。部品の表面処理の劣化が激しいです。

 

清掃をした付属のレンズは何故かのネジが3本共無くなっているという不思議な状態でした。PEN-FTの初期型でも厳しいのに、PEN-Fの最初期型を本気で使おうとされる方がいるとは恐らく設計者の米谷さんもびっくりでしょうね。歴史的に貴重な個体ですから大切にされてください。

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