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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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初期型PEN-FTの巻

2024年01月19日 10時00分00秒 | ブログ

パソコンを更新しましたらプリンターのドライバーが合わなくなって、急遽近くの家電量販店に行ってプリンターを買って来ました。今までの機種とは使い勝手が異なり思ったように使えずバタバタで作業に掛かれませんでした。で、最近、PEN-F(T)系はどうして初期型ばかり来るのかな? #1180XXは1967年3月製で、生産開始から5か月目に生産された個体です。トップカバーにへこみがありますね。修正はしますが完全には無理です。

この個体はおそらく1971年ごろに当時のSSにて露出計ユニットとセルフタイマーを交換されていると思います。初期の露出計は不安定でしたから・・ファインダーの無限遠調整も受けています。

 

ユニットを取り付けるネジには緩み止めが塗布されているのに本体側には全く形跡がありません。ユニットを交換されているということ。

 

巻き上げレバーユニットの動きが引っかかる時があります。リターン用のコイルスプリングに潤滑がないとレバーの戻りが悪くなる時があります。

 

では、いつもの作業をして行きます。本体の洗浄後にモルト貼り、スプロケット軸とスプール軸を取り付けました。

 

ここで突っ込みが来ました。過去にフィルムカウンターのみの限定修理をしたローライ35S です。今回はファインダーにゴミが混入しているので清掃をせよ。とのことです。カバーを外してみると・・過去に清掃を受けていますがあまり良い作業ではないようです。ケースの中央部分は切り取られ対物レンズの後ろ側を清掃したようですが接眼レンズは分解されていないようです。(画像は分解後)ホコリ防止の透明テープも貼られていません。

ファインダーの清掃を終えて本体にセットしました。この時点で巻上げギヤを留めるネジが規格外なのが気になっていました。

 

ギヤ下のワッシャーが欠品していましたので追加して組みます。元々、2つのギヤの噛合い位置が違っていたので正規の位置でセットしようとしましたがギヤが入りません。

 

規格外のネジを外してみると(乗っていただけ) あぁ・・ギヤシャフトにスリ割が入れられており開かれています。ネジは全く壊されています。シャフトが太っていたために、2つのギヤのクリアランスが無くなってセットできなかったものです。さて、何のための加工でしょう? このシャフトはダイカスト本体に圧入されているもので交換することができません。世の中には考えもつかないことをされる方がいらっしゃるものです。

組み立ててみると巻き上げレバーがスムーズに復帰しません。じつは4本のネジが緩んでいましたが、緩んだのではなく緩めてあったのです。緩めることによってギヤ間のクリアランスを確保してレバーが戻るようにしてあったのでしょう。余計な努力だと思います。

FTの作業が遅れてしまいました。シャッターユニットは初期型ですからメインバネは条数が少ない(弱い)タイプです。ガバナーも初期型のタイプ。コントロールレバーには軽め孔も開いていません。しかし、疲労はしていません。あまり使用されていないユニットです。

本体にシャッターユニットを搭載してシャッター幕保護のため、清掃しておいた裏蓋を取り付けておきます。初期型ですのでローラー横のリベットはありません。

 

切り忘れていた半田ごてに触ってしまい火傷をしました。シャッターは調子は良好です。リターンミラー関係を清掃して取り付けます。

 

ご希望によって割れていた接眼枠とハーフミラーを新品と交換します。

 

 

メカの組み立て完成。なぜかセルフタイマーユニットが中期以降のタイプに交換されています。初期の、巻き上げでジッジッジッというのが嫌いだったのかしら? 故障でしたら直せるはずですけど。

 

清掃をして取付けた付属の38mmはかなり後の生産です。初期型としては保存状態が良く、使用も少ない個体でしたので良好なコンディションとなりました。初期型特有の巻き上げの軽さは設計時の標準だったのでしょう。中期以降はシャッターばねの条数を増やしていて、ばねの強化というよりは耐久性を上げる意図だったのではと思いますが、強くなっている部分もあるので、その分、巻き上げが重いやゴリ付きが発生しているのは設計者の意図と違ってしまったと思います。不安定な初期型露出計ユニットも以後のユニットと交換されていたのはラッキーでした。

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