私のところにはあまり来ませんが、根強い人気があるオリンパスWIDE-Sです。時代を考慮するときれいな外観ですが、当初は気が付かなかったファインダーの前面ガラスが割れています。さてどうするか・・
ガラス部を分解してみると、割れた部分は粉々になっていて接着などは無理ですね。
修復する方法は、割れているファインダー窓部分のみt=1mmのフロートガラスで作り直す方法と、全体を新規に作り直して中央のすりガラス部分はサンドブラスト加工をしておくかですが検討の結果、工数の掛からない部分交換としました。
この個体はft機で北米からの里帰り機の可能性がありますが、そのせいか発売が昭和32年(1957年)にしてはファインダーのミラーは劣化が少ないと思いました。清掃をしておきます。また、距離計の二重像が僅かにズレています。長期間の作動により、接触部分の摩耗があるので微調整をしておきます。その他、ヘリコイドグリスの劣化による作動不良がありましたのでグリスの調整をしました。
シャッターはシャッター羽根の張り付きがあり作動しませんでした。コンパー型の精工舎MXLは張付き易いとの評価もあります。スローガバナーの洗浄と各部の注油。1/500秒用の補助バネがへたり気味です。長期間1/500にセットしてあったのでしょうか?
裏蓋の開閉鍵部がグラグラします。シボ革の下のネジ2本が緩んでいるのです。分解清掃とグリス塗布で再組立てをしておきます。
前面のシボ革も剥離気味でした。材質が劣化していて薄いので、不用意に剥がすとバリバリに割れてしまいます。慎重に接着します。当時、広角ブームの元になったモデルで、極端に大径に設計された前玉は傷もなく非常に良いコンディションでした。
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