次は別のカメラ店様が買い取られたローライ35S #2278XXXですが、今までブログをご覧いただいている方が見たらこの時点で厳しいのは分かりますね。電池の液漏れ機を集めてUPしているわけではありません。しかも、かなりいじられています。
元々はシャッターが開きっぱなしの修理ご依頼でしたが、観察すると分解を受けているようですのでどうなっているか? 液漏れガスが部品を劣化させて作動しないことも考えられます。
見えにくいですが、メーター内側のガラスが傷だらけですので作業者の神経の使い方が分かります。このガラスはローライ35の前期までは本物のガラスですので拭けばきれいになりますが、それ以後は普通の樹脂(ポリカーボネートではない)製なので簡単に傷がついてしまうのです。
そもそもこのメッキの浮きを見逃してはいけません。内部は電解液によって激しく腐食していることが想像できます。レリーズボタン座の周辺が腐食している個体はさらに腐食が進んだ状態と分かります。
このようになっています。しかし、さらに状態の悪いものも多数あります。
電池ではメーターは作動しませんでしたが、別電源では作動します。しかし、配線がオリジナルではありませんね。
前から見ると・・このCdsは別のカメラから流用されたものが付いています。電池の液漏れの初期は回路を損傷し、次にCdsが不良となって最後はメーターのコイルが断線します。この個体は第二段階だったということ。このような個体はジャンク価格でなければ買い取ってはいけません。さてどうするか・・
どうするかと言ったって何とかするしかありません。シャッターユニットを取り出すために、まずカバーリングを取り外しますが、あら、この個体はfeet仕様になっていますね。すると修理も海外でされたのでしょうか? 国内でわざわざfeetにする方もいないと思いますね。
シャッターが開きっぱなしの原因はシャッター羽根とブレードシムの張り付きでした。あまり起きない現象なので、液漏れの影響かも知れません。その他、シャッターのオーバーホール、レンズの清掃をして組みます。
後玉付近をかなりいじられていました。シャッターユニットを搭載してトグルレバーを取り付けます。
本来なら前回の個体と同じように電池室の接片を作り直すのですが、限定修理なので研磨にしておきます。しかし、電池をセットしてもメーターが動かない。ローライ35の電池蓋はご覧のような組み立て式となっていて、材質の真鍮が電解液によって激しく腐食をしていてこのままでは導通が取れません。
リューターで研磨します。ここまでひどい電池蓋は初めてです。本来は別の良品と交換した方が良いですが予算がありません。
その他は通常のメンテナンスをしておきますが、ファインダーはすでに分解清掃されていて、35Sならほとんど大丈夫なブライトフレーム枠が消えていました。蒸着メッキも電解ガスに弱いです。
ローライ35Sのカバーリングの接着はお約束があって∞時、Rollei-HFTが真上になるように接着しますが、35と違って接着はピントリングの留めネジ3本の頭ですからきれい確実な接着はコツがいります。ローライ35(S)はコンパクトに設計する関係で、電池と露出計をユニット化していることが、電池の液漏れによる被害を大きくしていますので、使用しない時は電池を抜くことを習慣にしたいものです。
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