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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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すごいの来たローライ35巻

2024年07月05日 23時00分00秒 | ブログ

関東地方の梅雨はどこに行ったの ? 今日は真夏の暑さで、車でのスーパーヘの買い出しに初めてエアコンをつけました。エキパンからクーラーガスが抜ける持病のある車ですが、まだ辛うじて効いている感じかな。ガスは1本用意してあるので効かなくなったら入れることにします。で、作業の体力を維持するので精一杯ですので、猛暑中ブログのUPは生存確認程度とさせて頂きます。ローライ35ですけど、このカメラは電池を入れ忘れて電解液(ガス)が発生すると容積が小さいのでカメラ内部に充満してひどい腐食を起こしているカメラが多いです。しかし、普通は電池室の接点や回路の腐食による断線程度でCdsやメーター自体が壊れているのは稀です。 この個体の場合、電池室以外全域とシャツターユニット内部も激しく腐食しています。ここまでは稀ですね。

しかし、奇跡的にメーターは生きていました。これはラッキーです。 問題は可動部分がすべて固着していてビクとも動かないことです。巻き上げレバーがプラプラでしたので、樹脂ギヤの破損と覚悟しましたが、幸いギヤの破損は無く、クラッチの動きが固着していて、正常ではコイルバネで上方に上がってくるものが下がったままとなっています。

その前にシャッター(レンズ)のダメージを確認しておきます。う~む・・ここまでのシャッターを見た事がありません。

 

一応、密閉されている内部まで完全に腐食しています。

 

 

スプロケット軸も完全に固着していました。巻き戻し用のギヤも固着していて分離出来ませんでした。やっと分解をして洗浄したところ。

 

巻き止レバーとその下にある逆転防止爪も固着していて、腐食によりシャフトが太って抜くことが出来ません。(やっと抜きましたけど)

 

シャフトを修正してスムーズに動くようにしました。スローガバナーもメンテナンスしておきます。

 

やっと正常に作動するようになりました。

 

 

不思議なことに、これだけ内部が腐食しているのに電池室の接点が腐食していない。なぜ?  入っていたナショナル製の水銀電池の外観もきれいなままでした。少しミステリーな状況です。

水銀電池の電解液は「水酸化カリウムに酸化亜鉛を溶解した溶液」だそうですが、酸にしろアルカリにしろ金属に対しての腐食性は強烈です。意外にクロームは強くニッケルや亜鉛メッキなどが弱いようです。隅々まで及んだガスの影響は細かな部品も逃れられません。トグルレバーや絞りレバーすべてを分離して研磨をします。

沈胴チューブと樹脂カバーは超音波洗浄をして各部品を組み込みました。沈胴のフェルトも調整してあります。

 

メーターのオレンジ針が絞りとシャッターダイヤルにスムーズに連動しない。リンケージの部分が固着しているのとASA感度調整用のカムが固着しています。一つずつ分解清掃をして動きを回復させるしかありません。

スローガバナーを分離して超音波洗浄しておきます。B(バルヴ)でシャッター羽根が閉じない症状が有ります。リターンバネが弱っているのですが、これはこのカメラの持病ですね。足が長いので長期間張力を維持出来ないのです。

いつもと工程が逆になりました。露出計ユニットと清掃をしたファインダーを載せます。

 

最後に残ったシャッターユニットですが、当初は別のユニットを載せるつもりでしたが、ここまで来たらすべてオリジナルで組むことににしました。(自ら困難を招く性格)洗浄をして磨き出した部品を組み立てて行きます。幸いレンズの状態は良好です。

絞りユニットも分解洗浄をして組み立てます。

 

 

完成したシャッターユニットを搭載して無限調整をしました。工場での測定ケガキ線とぴったりでした。トップカバーは洗浄後、レバーアテを製作して取り付けました。露出計感度も1.35Vでぴったりの高感度です。

裏蓋は巻き戻しダイヤル軸の固着があるのですべて分解清掃をしました。カウンターは36枚まで巻けることを確認します。これでやっと完成です。これより程度の良い個体も部品取りとしていますが、なぜこの個体を膨大な手間を掛けて修復したのでしょう? じつは私にも分かりません。意地ですかね。まぁ、1台のローライ35が世の中に残ったということです。では、猛暑の中ですが罰ゲームのような都知事選挙に行ってきます。

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