オリンパス・ワイドⅡですかね。広角レンズ付きで当時(1958年)は人気のモデルだったようです。写りにも定評がありますね。
何故か裏蓋のシボ革が剥離した個体を多く見ます。
内側にも錆が発生しています。
で、このモデルはレンズの曇りが多いですが、この個体も曇っています。
絞り羽根の前後がダメです。しかし、コーティングを取り除けば撮影は可能ではと思ってしまったのが判断の間違いでした。
レバー巻上げになっていますが、その巻き上げが固くゴリゴリでひどい状態です。よって、こちらを分解し始めてしまったのでした。
トップカバーを分離しました。距離計連動ではないので簡素なファインダー。さて、何が原因なのでしょう。
当時のカメラはシャッターメーカーのシャッターを、自社の暗箱に取り付けるという仕様ですので、チャージのリンケージが非常にやっつけというかチープな機構です。当初はオリジナルの部品ではないのでは?とも思いましたが、オリジナルではあるが、連結部分の摩耗と過去の修理で故意に曲げられていて、正規の形状になっていないようです。
スプロケット軸のギヤでチャージのリンケージを駆動しますが、各部の潤滑が全く無い状態です。
底部の部品を分離しないと巻き上げ軸は上方へ抜けません。
軸のホルダー内周には逆転防止用のコイルスプリングが入っています。当時の良く使われる手法。こちらも潤滑が無く軸が傷だらけです。
各部にグリスを入れて組んで行きますが、ギヤ間のバックラッシュを調整せずに軸位置を決めてしまうと左ギヤ下側のピン(巻上お知らせ)が右ギヤの台座に接触してしまいます。組立に調整作業が必要な当時の設計。
で、リンケージの形状修正とグリス塗布でスムーズに巻き上げが出来るようになりました。少しリターンスプリングが弱めですけどね。
それではと、レンズを軽く研磨してみましたが・・だいぶ曇りは消えて来ましたが、コーティングのダメージだけではないですね。
こうすると良く分かりますね。レンズに直線的な溝が入っています。過去にゴシゴシと磨いたものか? はたまた、カビによるガラスの浸食なのかは不明。
どちらにしても、オリジナル撮影は不可能と判断して作業中止としました。あ~、無駄な作業をしてしまった~。