今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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ローライ35SとC35の巻

2020年12月22日 09時45分00秒 | ブログ

まずはローライ35Sからですけどね。基本的に良い個体ですが、過去に修理を受けていましてそれが少し乱暴というか・・トップカバー巻上げ側面に打痕がありまして、それを修正してあるのですが鋭利な金属棒で突いてしまったために左右2個所が尖がって出っ張っています。これは絶対にやってはいけないことです。

少しデント修正を試みている途中ですが、微妙な変化が分かりますか? すでに尖ってしまった部分は戻すことが出来ません。

 

修理を受けている割にはファインダーが手付かずです。レンズを分離して清掃しました。その他、スローガバナーなどのメンテナンスをしておきます。

 

ははぁ、シャッターを分解していますね。3本のネジのスリ割りが痛んでいます。ここはネジロックが塗布されていますのでそのままでは緩みません。シャッター羽根のリターンスプリングも正確に掛かっていません。ヘリコイドの回転も重くムラがありますので清掃と入れ替えをします。

このタイプのシャッターの欠点は後玉プレートの接合部の密閉性が良くないこと。これによってホコリの混入が激しいです。レンズを清掃します。

 

の他、フィルムカウンターが36枚まで進まない不具合や巻上げレバーアテの欠落がありましたので製作して取り付けました。良い個体となりました。

 

ローライ35の普及版B35からさらに露出計を除いたC35は1969年の発売ですが販売台数は少なかったと見えて中古店の店長さんに寄れば珠数は非常に少ないとのことです。現存数が少なければ市場価値が上がるという世の中の摂理。この個体は使用は少なかったようですが放置期間が長く現状は不動でカバーの汚れも目立ちます。ローライ35系に使われている黒い樹脂は白く変質してしまうようです。洗浄の結果、梨地クローム面は完全にきれいになりました。

レリーズボタンの意匠はローライ35譲り。フィルムカウンターは一般的なトップ右側に移されています。こちらも洗浄できれいになりました。

 

絞りリングがガタガタで空転します。絞り羽根とも連動しませんので接続が外れていると思われます。

 

 

内部を見ます。本体はプラスチック製です。小学生の時、学研の学習だったか科学だったのかの付録に実際に撮影が出来るプラ製のミニカメラが付いて来て非常に興味を持ったのですが、それを思い起こされるような質感です。あの時撮影したフィルムはとうとうカメラ屋さんに現像に出さなかったなぁ・・

簡略設計でファインダーも本体と一体成形です。レンズとブライトフレームを分解清掃していきます。

 

 

巻上げの回数をフィルムカウンターに伝達するリンケージは表面処理も無いため赤錆になっていてスムーズに動きません。巻上げ関係の鉄部品もすべて赤錆で固着して不動になっっています。

 

巻上げ関係は少ない点数の樹脂部品でコストダウンを図っています。日本製カメラに追い込まれて必死の様子が伝わってきます。

 

フィルムカウンターは固着して回転しません。これは軸も本体と一体成型の樹脂のため、カウンター板を留めるネジを絞め込むと軸が太って回転しないものでした。

 

カウンター板の内周を摺って調整をしてあります。

 

 

沈胴部の構造は基本的にローライ35に習っています。レンズはトリオター3.5が付いています。

 

 

分解をしてみると、絞りのクリック板を留めるネジと回転ストッパーが脱落していました。

 

 

シャッター関係は基本的にローライ35と同様の設計です。

 

 

巻上げレバーアテが破損していましたので作り直してあります。おぉ、MADE IN GERMANY なんですね。

 

ドイツ製だからと言って作り良い訳ではないですね。要はいくら製造コストを掛けられるかで品質は決まります。本来、前面のプレートは「C35」となっているはずですが、シルク印刷だったようで消えてしまっています。せめてエッチングプレートにしてくれればと思いますが、そこまで製造コストを切り詰めたのでしょう。仕上がってみればきれいな個体です。

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