思わぬ時間を取られましたのでPEN-D #1635XXの作業をして行きます。ご依頼のお父様が60年代に購入された個体とのことで、フィルターも付属して来ました。
生産的には前期で、スプロケットはアルミ地、スプールはグレーです。使用はされていなかったとのことでフィルムレールに腐食が発生しています。シャッターは何とか切れるようです。
トップカバーを外してみると駒数ガラスが剥がれて来ました。修理歴は無しとお伺いしていましたが、接着を見るとゴム系接着剤でやり直されているように見えますが・・
シャッターとヘリコイド部を分離しました。後玉は持病の曇りもありません。例の「PENは初期の方がレンズがきれい」という仮説が当たったか? 気になるのはシャッターのリングナットの緩み止め塗料(赤)の位置がずれていること。分解されているのではないかな?
ヘリコイド部がありますのでPEN-S系より部品点数が多いです。前期ですのでシャッター羽根は5枚です。
基本的にシャッター部はPEN-S系と同系で、後ろにヘリコイドが付きます。
露出計は感度低下があり調整をしてファインダーの清掃をしました。作業に慣れた私でも、朝から一日中作業をしてもここまでで精一杯です。明日は完成させないと・・
PEN-Dとしてはセレンの劣化は少なく、調整抵抗の交換で対応できました。
洗浄した裏蓋に圧板を取り付けますが、かなり酸化膜で覆われた状態。
最後に前面の彫刻文字とシリアル№の色が抜けています。一家に住み着いたカメラとしてはこれも歴史なのでどうするかと考えましたが、入れ直しておくことにします。
付属の専用フィルターも清掃できれいになりました。レンズも含めて光学系の状態は非常に良い個体です。
こんな立派な保証書が付いていましたね。PEN-Dの発売は1962年6月とのことですが、この個体は1963年の恐らく8月(9月?)製ではないかと思います。シャッター側の捺印が前回の分解により不明瞭となって特定が出来ません。