今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

メディカル改造

2011年07月15日 22時06分40秒 | インポート

Img_2011251 先ほど午後九時ごろに地震を感じました。震源は栃木県南部とのことで、真岡の辺りでしょうか? 段々、震源が関東に近づいてくるようで心配ですけど、かといって逃げる場所がありませんからね。で、今日も暑い一日でバテ気味なのでゆっくりと作業をすることにします。この個体はPEN-Fメディカルというのかな? いきさつは良く知りませんので研究家さんのサイトを見てください。PEN-Fとは表示されていますが、F系ではなく(F系もありますが)FT系のPEN-Fといささか紛らわしい表示。光学系が顕微鏡などの仕様となっており(これでないと像を結ばない)普通のカメラとしては使用は出来ませんね。しかし、顕微鏡システムの中にセットされていた個体は、殆ど使用されずにあったものが多く、メカ的には良好なことが多いですから、そのまま廃棄されるのはもったいないお話しです。そこで、マニアさんであれば皆さん考え付く、普通の光学系を移植して実使用したい。コレクションにも。ということで、今回はジャンクも付いてのご依頼です。まぁ、そのままではどちらも現役使用は出来ないわけですから、1台でも復活できれば意味があるかなと仕上げることにします。全体の構成はFTと言うよりはFVをアレンジしたのと言った方が当っているのですが、外観ではセルフタイマーが省略されています。同じメディカル機でもセルフタイマーの省略は同じでも、トップカバーの孔加工はされており、化粧蓋で塞がれているものも存在します。

Img_201384 トップカバーを分離してみると、外観のきれいさに比べて腐食が目立ちますね。巻上げユニットは錆付いており駒数板には腐食があります。長期間放置されていたのでしょう。

Img_2014791 裏側ね。ボトムシールが剥れているのは珍しい。のバネカケ(カム)の形状が通常のFTとは異なっています。タイミングを長くとるためでしょう。接片を留めるビスの頭が大きいですね。これはFTで言うとだいぶ後期型になるはずです。

Img_2016971 全て分解して洗浄を終えた状態。アンダーカバーにはFT系で標準の三脚ネジ孔とは別にの後付ネジ孔があります。システムの構成上必要だったのでしょう。製造時期を推理すると各部の特徴からFTで言うと38万代以降だと思われます。1971-5月製

Img_201765 巻上げレバーユニットはレバーの状態がジャンクよりも良好のためオリジナルの方をメンテして使います。ピンセット先のEリングは黒染め処理のため、錆が発生しやすく、それを切っ掛けにリターンレバーなども腐食が進みます。この状態では、裏蓋を開放されても駒数計が復帰しません。

Img_201851 前板関係の光学部分を作って行きます。リターンミラーはジャンクの方が程度が良いため、貼り替えずにジャンクのものを使用しました。ミラーユニットはジャンクの方を採用。フレネルレンズの抑えバネはメディカルにはない部分です。ここからは全てジャンクから調達します。

Img_201951 シャッターユニットを洗浄点検して行きます。あらら、これはダメですね。フライホイールのダブルナットが抜けて来ています。奥のナットも緩むとシャッタースピードが変わらなくなります。ジャンクの方もシャッタースピードが変わらないという不良でしたが、こちらは、表側のコントロールレバーが折れていました。よって、シャッターユニットはオリジナルを使います。

Img_2024571 本体は組み上がっています。フレネルレンズやプリズムはジャンクから移植しています。トップカバーに露出計の情報窓用明り取りがありませんので、基本的にはFV仕様と言うことになりますが、本来FVにはないのMシンクロ接片はトップカバーのターミナルがFT仕様(X-M)であるので、そのまま残してあります。あまり必要はないと思いますが・・・

Img_202857 メディカル仕様ではセルフタイマーは省略されていますが、マウントの12時ネジはセルフタイマーを留める2本のネジの1本で、本来は必要が無いわけですが、このネジを省略することは製品の体裁がよろしくないため、裏側からナットでネジを留めています。

Img_203276 底部はこんな感じですね。漠然と眺めていると気が付かないけど、よくよく見ると「なんじゃこれ」ということになります。

Img_203381 これで完成の図。露出計の明り取り窓が無いのでFVかな?と思うとセルフタイマーも無いへんてこりんな個体。個体としてはメディカルセット品の中で使われずに湿気の多い場所で長期に保管されていたと言う個体で、決して内部の状態はよくありませんが、疲労をしていないというのが良かった。調子は良好です。付属の40mmは程度は良好ですけど、シボリ羽根の復帰が不良というレンズ。38mmと違って40mmには多い現象。油が回っているわけでもないのに調整をしても緩慢な動きをするものがあります。いろいろ対策を施してなんとか良好としています。


珍しいPEN-FV

2011年07月12日 11時00分24秒 | インポート

Img_199337 少し前にPEN-FTをお返ししたオーナーさんから、今度はPEN-FV #12888XXが来ましたね。FVはFTで言うと10万台の初期と同じ仕様の部品が使われている頃の製品で、放置されていたけれどもFVだからと市場に出て来た。みたいな個体が多いのですね。この個体は、実用としては殆ど使用されなかったものと思われますが、やはり長期放置での劣化が認められます。リターンミラーですが、腐食が進んでいます。交換をご希望です。皆さんは気がつかれないかも知れませんが、巻き戻しダイヤルの出張りが大きいように思います。工場での組立では、逆にそのまま組むと、ダイヤルが低くなる個体があって、その場合は調整ワッシャを追加してツラを合わせていますが、高いというのは何か原因があるはずです。

Img_199694 どうも、ラッチが完全に下降していないのではないかという気がしますね。試しに、裏蓋を開けようとすると・・・ほらね。ラッチの掛が浅いので裏蓋をロック出来ずに開いてしまいます。その他は、この頃特有のガリガリの巻上げフィーリングですが、フィルムレールの腐食は少なく(ありますが)メンテナンスで良い状態のFVになると思います。

Img_1998201 トップカバーを分離してみると・・・のように軸受けに隙間が開いていますね。ラッチが完全に下降していないのです。

Img_200058 上のラッチが、この個体に付いていたもの。裏蓋のラッチと深く噛み合っていません。下が正規のラッチで、ワニ口が大きく開いていることが分かりますね。これはラッチの作動が不良でスムーズに上方へ逃げないために、本体側のラッチが変形してしまったのです。今回は修正をして再使用しますが、一度曲がった板材は癖がついていますので、再度曲がる可能性はあります。

Img_200175 平行して、リターンミラーの貼り替えをして行きます。左がオリジナルで付いていたミラーです。かなり腐食していますね。自然に剥離をする場合も多くありますが、今回のように、剥離をしていないミラーを剥がすのは意外に面倒なんですね。で、新しいミラーに交換されています。

Img_200412 シャッター関係はすでに本体に搭載されて、巻上げの感触も非常に良いと思います。リターンミラーは組み込んであります。残念なことに、プリズムに点々と腐食がありますね。Fには腐食が多いですが、FTになると少なくなるのですが、FTで言うと10万台の初期型には見受けられます。このままスムーズに組立が進むかと思われたのですが、そうは問屋が卸してくれませんよ。ミラーユニットね。これが調子悪いです。ロックが稀に外れる場合があります。この頃のユニットは不安定なものがありますね。さて、動的な動きの中で発生する症状で、ゆっくりと作動させると不具合は出ない。こういうのが一番厄介なのです。最悪はユニットの交換を考えます。

Img_200594 当時のSSであれば交換が当然の不良でしょうけど、新品の交換部品が無い状況ではそうは簡単に行きません。元々、分解修理を前提としない設計の部品で、カシメを多用されて組まれています。SSとしては修理品質を保証しなければならないことから交換修理は当然と思います。そのような思想のカメラなので、交換部品が無い現状では当時とは違った修理術が必要となって来ます。今回は修正としてありますが、原因は各部の作動(移動量、リフト量)が設計値どうりに出ていないということ。それほど使い込まれたユニットではありませんが、この頃のユニットに見受けられる症状です。全反射ミラーは意外に腐食は少なめでしたが、オーナーさんのご希望により交換して組んであります。

Img_201075 関東地方は梅雨明けからずっと暑さが続いています。エアコンを入れずに頑張って来ましたが、今日は頭痛がして来ましたのでとうとう入れてしまいました。と、大阪のご常連さんからクールビズセットが送られて来ましたね。オリンパスのデジカメイベントに行かれたのでしょうか? PENのうちわ涼しいですね。去年の今頃集めたPENストラップ。これはEP-3のようです。非売品とありますが、そろそろコンビニに登場するのではないのかな? と言うことでPEN-FVは非常に良い状態ですよ。外観良好、巻上げはビックリするほど軽くスムーズ(この頃の特徴)作動も軽快です。


PEN-W+PEN-FT(B)

2011年07月08日 22時40分12秒 | インポート

Dscf2782641 PEN-WとPEN-FT(B)というペンファンなら羨ましい機種とレンズ(これまた20mm他)が来ています。黒いのがお好きなんですねぇ。で、PEN-W #1057XXから見て行きますよ。最初は未分解の個体だと思ったのですが、シューカバーを外してみると・・あれ~、頭の大きな皿ネジが、トップカバー横に使われているビスに替えられていますね。しかも瞬間接着剤で固定してあります。そりゃ、ビスの規格が違いすぎるので、留まらないのは当然でしょ。駒数ガラスは少しクラックが入りかけています。シャッターは全く開かない。

Dscf278376 貴重なフィルター(東芝製)が付いているのですが、フィルターが付いている個体に多い不具合は、固着したフィルターを外そうと無理な力を掛けるとシボリリングが正規のストッパーを超えて回ってしまってシボリ位置(クリック)と指標が合わなくなってしまいます。この個体はどこまでも回っちゃいますね。

Dscf278415 分解するとこのようになっています。左のナットを締め込んで留めているだけなので、大きな力を掛ければ回ってしまいます。そうなると分解して締め直さなければ治りません。クリック機構はPEN-Sとは異なっているのが分かります。

Img_195964 と、ここまで画像を撮ったところで、長年使っていたファインピックスが壊れました。グスン、2台目だったのに・・・そこで、それよりは新しく高性能なキヤノンに換えましたが、同じ条件でも全く写りが違いますね。私は、特別な照明無しで自然な印象に写ってくれる初期のファインピックスが良いです。中古探そうっと。(1000円以下です) で、洗浄した本体にO/Hを済ませたシャッターユニットを組み込みます。特に問題はありません。

Img_196059 トップカバーです。しかし、変な写りだなぁ。どうして自然に写らないのかなぁ・・私は多少ピンが甘くても画角が固定でもファインピックスがいい。PEN-Wとしては、中々きれいなカバーじゃありませんか。

Img_1964331 ほぼ組み上がっていますけどね。シューの皿ネジがおかしなことになっていた時から気になっていたのですけどね。要するにこのシューはこの個体の物ではないのですね。多分、PENの中期までの部品でしょう。基本寸法は同じなので付くことは付くのですが、ビス孔位置が微妙に変わっていまして(公差の変更かロット間の差)取付位置がずれるのです。シューをよ~く見てくださいよ。微妙に左に倒れているのがお分かりでしょうか? ビス孔の関係でどうしてもこの位置になってしまうのです。レールの部分がへこんでいたりして、PEN-Wですから高く売るために交換されたものでしょう。どうせならPEN-Sのものを使ってもらえば良かったのにね。皿ネジはオリジナルを使用して組立ましたが、ここも孔位置がずれていてセンターに留まりませんね。それが原因でビスを変えて接着したものかも知れません。怖いでしょう。状態を見ればみんな分かってしまうのですね。

Img_196588 微妙に曲がっていますね。指摘されると気になるでしょ。組立はこのような部分にも気を使って組んでいるのです。メカは快調、レンズは後玉にバルサム周辺剥離が始まっています。

Img_1969771 PEN-Wはフードも製作しますが、平行してPEN-FT(B) #2834XXを見て行きます。この個体は輸出されたものを里帰りさせたものです。セルフタイマーのボタンがスリ割り式に改造されていますね。トップカバーのボタン孔周辺にタッチアップをした形跡がありますので、かなり苦労してボタンを外したようです。外人の動けば良いという修理ですな。

Img_197087 セルフタイマーレバーを分解してみたところ。幸い、右端のボタンホルダーのねじ山は生きていましたので、ボタンのみブラック用を作ります。

Img_197315 塗装前のPEN-WフードとPEN-FT(B)セルフボタン。このPEN-Wのシボリリングの直径は少し大きめに出来ていましたので、それに合うように調整をしておきます。

Img_198278 平行してFT本体の組立をしておきます。里帰り機ということで少し心配はありましたが、特に改造などは見当たりません。返って湿気の少ない場所にあったために光学系などの状態は非常に良いと思います。ピンセット先のアイドルギヤはスプール軸の取付け位置によってスプロケット軸のギヤとのクリアランスが変わりますので適正なクリアランスを保つようにします。

Img_198498 暑い一日でした。関東地方は早くも梅雨明けとなりました。今年の梅雨はまとまった雨が降らなかったようで、ダムの貯水量は大丈夫だろうか? 九州地方は集中豪雨が続いているそうで、被害に遭われた地区の方々にはお見舞い申し上げます。

PEN-W用のフードを塗装しました。塗装作業は久しぶりではありましたが、目の方は特に問題はありませんでした。しかし、夏季の焼付塗装作業は高温の中で長時間掛かりますので、なるべく控えたいと思います。

Img_198524PEN-FT(B)の方はここまで組んであります。この個体は、シャッタースプリングが強く、非常に力強く作動しますね。セルフタイマーボタンは塗装をして完成しています。仮組みで作動の様子を見ているところ。

Img_199015 レンズは38mmと20mmが付属してきました。20mmはねぇ。まずは分解されているんですね。曇りが発生している個体が多数ですので分解をされるのでしょう。曇るレンズはこれですね。画像は白濁を清掃した状態。曇ってから長い時間を経過したものはガラス自体が侵されて清掃できません。この個体のように一見清掃出来たように見えても、再び曇る可能性が高いので、じつはあまり作業をしたくないのです。

Img_199167 分解レンズの場合は、シボリクリック用の1/16スチールボールが欠落しているものがありますが、この個体も無くして来ましたね。分解された方は落下したこともご存知無いのだと思います。追加しておきます。

Img_199297 後ろ側を見るとね。カニ目孔から工具を滑らせた後がありますね。ここまで盛大にキズを付けるのは至難だと思います。自信の無い方はやらないで頂きたいのです。タッチアップ塗装をしておきます。

Img_198852 はい、今回のスレの最後です。ペンファンの方には垂涎の的の2台でしょう。2台とも調子は最高でご希望のフードも付いてタイマーボタンも治っています。ではこれで完成としましょう。


何やら怪しいPEN-FT

2011年07月05日 20時49分31秒 | インポート

Dscf2759331_2 今年の梅雨はシトシト降るタイプではないようですね。今日も蒸し暑かったです。そろそろエアコンを入れないと限界です。

で、やっとPEN-FT #20432Xが来ましたね。しかし、ちょっと怪しい個体です。この画像を見て・・①トップカバー端のへこみ、②ターミナル接片の脱落、③シボ革が剥離したまま、④露出計基板の抵抗、⑤セルフタイマーが旧タイプ。これはギリギリ正解の可能性もあるのですけど、私の資料によると#204363は新型が付いています。まぁ、多少の前後は許容の範囲なんですが・・

Dscf276052_2 下面のボトムキャップがありませんね。オーナーさんも最近気がつかれたそうです。接着剥離をしている個体は多数ありますけど、無いのはやはり問題でしょう。隣りに三脚ネジ孔がありますので、僅かな光線漏れはしているはずで、高感度フィルムを使用した場合は若干のかぶりはあるのではないかと思います。

Dscf276158_2 問題は露出計の基板です。じつはこの眺めは初めてではありません。過去に何度か見ていますが、正規の配線を無視して抵抗を4個も付けてあります。回路を変更すると指針が大きく触らすことは出来ますが、これでは正確な指示は得られません。20万台ですと露出計の感度が低下しているものが多くなっている頃ですので、それではと、電気の知識のある方の改造でしょうけどね。

Dscf2762771 トップカバー端のへこみは修正をして見ました。まだ少し歪がありますが、大きな力で押されたため簡単には戻せません。例によって、費用は頂かないボランティアの作業です。

Dscf2763571 ターミナルは一度分離した形跡があって、真鍮のナットの挿入方向が逆ですよ。どうやって締め込むつもりだったのでしょう。ちょっと考えれば分かることです。この辺は機械組立のセンスの問題です。

Dscf276750 シャッターユニットを洗浄して、各部を点検していきます。今までは特に不具合としては現れていなかったようですが、コントロールレバーのナットが緩んでいます。この部分の緩みはかなりの個体にありますが、寸法的な制約から緩み止めの構造を取れないからです。このまま緩み続けるとどうなると思いますか? ある日突然シャッタースピードが変わらなくなるでしょう。で、なぜ緩んだかですが、この個体の場合はナットの内側にある多重防止レバーが本来はナットを締め込んだ状態でフリーとならなければならないものが、ナットを締めることによって固着してしまいます。原因はクリアランス不足。レバーとナットの部品勘合が良くなかったのでしょう。それをそのまま組んだために、かなり早い時点でナットは緩んで、怪我の功名でレバー固着による不具合が出なかったもの。まぁ、文章で書いても分かりませんよね。分からなくて良いのです。この頃はまだ部品の組み合わせによっては不具合となる可能性がある図面公差を含めた部品品質の甘さなんですね。しかし、組立手順書には、ナットを締め込んだ時にレバーはフリーであること。とか書いてあったはずですけどね。Dscf276654

シャッターユニットと平行して、洗浄したダイカスト本体も組立てて行きます。すでにモルトは貼ってあります。これが欠落していたボトムキャップ。アンダーカバー内に無かったということは、欠品を承知で販売したわけだ。(この個体は中古屋さんの通販)後期生産機では、金属のキャップではなく、円形のビニールシート状のものに変わっています。コストダウンかなぁ? 僅かにコストは下がったと思いますけど、後期のシート状の個体は剥離しているものは皆無です。この変更に伴い、ダイカスト自体の形状も変更されています。

Dscf277127 ターミナル接片のリード線を新製して交換しておきます。

Dscf2773581 怪しい個体だと思いましたが、露出計の基板などを除けば、それほど悪い個体でもありませんでしたね。20万台付近のユニットですから、整備をすれば巻上げは軽快で調子は良いと思います。ただし、ちょっとギヤ鳴り音は大きめですけど・・ハーフミラーはこの頃相当の劣化具合でしたね。オーナーさんは「マガイ物でない状態の良いFTかFVが欲しいので在庫は有りませんか?」とのことでしたが、結局どの個体であっても、製造されてから長い時間が経過しているわけですので、致命的な欠点が無い個体であれば、どの素材から仕上げても一緒です。その意味では、この個体は性能は安定していますし、素性は悪くはありません。安心してお使い頂けると思いますね。


リコー兄弟

2011年07月05日 11時00分08秒 | インポート

Dscf275886 過去にメンテナンスをしたリコー兄弟が里帰りしています。まぁ、一連のリコーデザインはメーカーでは「歴史に残るデザイン」と言ってますけど、確かにすごいデザインだよね。後ろのオート35Vは1961年の発売だそうで、直線的な大胆なデザインですが、あの頃はこういうデザインが時代の先端のような風潮で、東宝映画のクレージー物の中で、社長室の装飾などによく見た気がしたね。当時流行のトリガー巻上げも装備して、国内仕様なのでゾーンフォーカスなんですね。はっきり言って好き嫌いが分かれるデザインだなぁ、私は米谷さんのような機構的制約と操作性を考慮した中で、センスの良い工業デザインをされたものが好きですけどね。まぁ、好きな方はお好きなのでしょう。

手前はオートショットというカメラ。オートハーフを35判にしたようなカメラですね。ファインダーはケブラー型が奢られており、ファインダー内には露出不足警告表示が装備されています。どちらもすばらしい保存状態の個体ですね。

Dscf275627 オートショットは1964年の発売らしいから、一つ前のPEN-Dと同じ東京オリンピック直前ですね。あの頃は、腕時計でも何でも「オートマチック」が時代の流れでしたね。レンズ内に僅かにカビと埃の混入があって、清掃をご希望です。この中玉がね。工具を掛けるスリッドがない設計で、おまけに親の仇みたいにきつく締まっていて難儀しました。こんなサイズのリングレンチ持ってないし・・しかし、こちらも強烈なデザインですね。一つ目小僧のよう。設計者が図板に向かって、機構部品を置いていくとこの形になったのかな? センスはあまり感じないなぁ・・