今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

お盆休みも作業中の巻

2021年08月16日 15時30分00秒 | ブログ

東京オリンピック無事終わったと思ったら長雨が続いていますね。秋雨前線にはちょっと早いようですが気温も下がって体調管理が難しいです。みなさんも帰省も出来ずに外出を自粛されていると思います。私もボチボチ作業はしていますが、このカメラはスーパーセミイコンダⅤです。特に不具合はありませんのでメンテナンスをしておきます。まずはファインダーの清掃。

距離計の本体はドレイカイル式なのでファインダー内はプリズムのみでシンプルです。

 

レンズの曇りとヘリコイドグリスの劣化がありますので分解をしてシャッターのメンテナンスもしておきます。

 

二重露光防止機能が付いているのでシャッターボタンは押しにくいと感じますが645判なので縦位置となるので通常はカメラを横にすれば問題ないのか・・

 

フィルムの巻上げは巻き止めはないので裏蓋の赤窓で数字をセットする方式。

 

 

オリジナルのシボ革も汚れと劣化がありましたのでヒアルロン酸で栄養を与えて磨いてあります。

 

次はローライコードと思いきや? ENGLAND製のMICROCORDと言うカメラです。外観はずいぶんときれいですが、シャッター低速不動、セルフタイマー不動、レンズ、ミラー汚れなどがあります。

 

問題は前カバーの外し方。ローライコードと同様と思っていましたがどうやっても分離出来ません。シャッターのチャージレバーがローライコードより長いのでカバーから抜けないのです。結局、シャッターも同時に取り外すことで分離しました。前カバーの額縁は厚いワッシャーによりかなり浮かされています。無限遠い調整の結果でしょう。その隙間を紙を丸めて詰め込んでフラットにしてあります。

また悪いことにシンクロ接点がシャッターユニットの裏側にあってリード線に全く遊びが無いという・・あ、切れましたね。

 

 

やっとシャッターユニットを分離しました。銘版にはPRONTER S.V.S と記載されていますが・・シャッター・絞り羽根とスローガバナーの洗浄などをして行きます。チャージレバーが妙な形で長いのが分かりますね。これ、撮影時に無意識にカメラを保持するとレバーが手に触れてシャッタースピードが遅くなってしまう危険があります。

レンズは清掃できれいになりました。

 

 

シャッターユニットを本体にセットします。例の半田付けがやりにくいです。

 

 

ローライコードに比べて送りギヤの作りがイマイチな感じでダイヤル操作のバックラッシュが大きいです。

 

額縁と本体の隙間に0.4mm厚の調整ワッシャーが2枚入っています。

 

 

当然隙間が空くので厚紙を貼り込んでありました。

 

 

紙は英文の印刷紙を再利用したものでしょう。果たして工場での作業でしょうかね? 新しい厚紙で作り直します。

 

ローライに比べて何となく高級感が無いなぁと思いますが、原因は黒塗装で完全にグロスで塗られているため安っぽいのです。半艶にしてもコストは変わらないのに・・チャージとDXMレバーのボッチも妙にクリアーレッド(グリーン)できれいではあるけど高級感が無いです。

スクリーンは只のスリガラスです。古いガラスは黄ばんで洗浄をしても完全にきれいにはなりません。ファインダーの明るさにも影響があるでしょう。

 

 

あとは4脚がへこんでギッタンバッコンが強く出ていましたので修正をしておきました。珍しいカメラですが美品になりました。

 

 

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ベビーローライフレックスの巻

2021年08月13日 14時40分00秒 | ブログ

通称ベビーローライと言われる戦後タイプが1957(昭和32年)に発売されたグレーモデルのようですね。4X4判、フィルムはベスト判(127)を使用するカメラで6X6のローライフレックスのミニチュア版と言ったサイズで非常に可愛いですが作りは本物です。ツートーングレーはヤシカにも同様なモデルがあり、オリンパスPENなどにも影響与えたのでしょうかね? シャッター不調やレンズ曇りなど不具合があります。
フードを分離すると、スクリーンはコンデンサタイプです。角の突起はフードを開けた状態でないとシャッターが切れなくするための連動ピン。

 

シャッター羽根が張り付いて開きません。セルフタイマーも固着していますがユニットの状態は良いと思います。分解洗浄をしてレンズも清掃しておきます。

シャッターが作動するようになりました。先ほどのフード部のピンを押すとレリーズレバーが戻されてシャッターが切れなくなります。

 

ミラーは清掃できれいになりましたので再使用です。

 

 

小さくともローライフレックスなのでフィルムはオートマット方式を採用しています。でフィルムを検知しています。

 

オートマット方式ですが6X6判のようにフィルムをローラーの下に通す必要はありません。

 

テイクレンズの前玉が曇っていますので分解清掃をします。

 

 

フォーカシングダイヤルを回すと部分によってカリカリ(ゴキブリが家具の隅に逃げ込んだ音)とダイヤルが側板に擦れる音がします。分解してみるとフェルトにゴミが混入して擦れているようです。画像は清掃後。繰り出しのカムにグリスを塗布しておきます。

 

フィルム感度メモの動きが悪いので清掃をしました。軸部にグリスを塗布してから取り付けます。

 

裏蓋は分離式ではありません。

 

 

各部の作動を確認して前カバーを取り付けます。6X6のようにシャッタースピードと絞りの爪位置を合わせる必要が無いのでちょっと楽です。

 

真鍮ネジの腐食による緑青の盛り上がりがありますので剥がして清掃接着をしておきます。

 

問題はそのシボ革です。本革ですが、すでに完全に硬化していてカチカチです。無理をすると「パチッ」と割れてしまいます。このような場合は保革油などを浸透させて柔らかくしますが、黒革と違ってグレーのような色革は製法が違うのか表面から内部に浸透して行きません。

シンクロ接点の固定ナットは専用工具を作ってあるので簡単に取り外し出来ます。

 

 

現在ではフィルムの入手が難しいと思いますが、国内でも供給されているお店もあるようですね。まぁ、本当に好きなマニアの方向けのカメラでしょうね。

 

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スタンダード・ノイの巻

2021年08月10日 12時20分00秒 | ブログ

賛否ありましたが東京オリンピックが無事に終わり閉会式です。日本選手団の獲得したメダルは金27 銀14 銅17の合計58個と私の予想を大きく上回りました。前回の東京大会では金16 銀 5 銅8の合計29個でしたから競技種目が増えたとはいえ日本の若者は頑張ってくれたと思います。先ほど閉会式の中継を見ていると演奏曲が私の希望していた前回大会で入場行進に使われた「オリンピック行進曲」でした。思わず感動してしまいました。コロナ下の大会でしたが選手の皆さん、運営、ボランティアの皆さんありがとうございました。8月24日からはパラリンピックが始まります。

このモデルの発売は1939年(昭和14年)とのことですので流石に劣化が目立ちます。ミラーは完全に劣化、レンズの曇り、シャッター不調、絞り羽根固着などがあります。観察するとミラーは表面鏡が劣化したため裏返して鏡状態で組んでありました。昭和14年は零戦の試作、十二試艦上戦闘機が完成した年ですから、それを考えると当然の劣化具合ですね。

テイク、ビュー共曇っていますので分解清掃をしますが、古いレンズはガラス自体の黄ばみは清掃出来ないようです。

 

ホルダーの前縁が当てられていてリングナットの分離が困難でした。

 

シャッターは古い割には摩耗は少なく、洗浄、注油で正常に作動します。

 

 

ビューレンズも曇っていますので分解して清掃しました。

 

 

スクリーンはガラスの黄ばみの他に汚れも染みついています。裏側からマジックで▢が書かれていてアルコールで拭き上げても残りました。これは水洗で洗浄します。

 

ミラーは再使用出来ませんのでストックから同寸法のものを使います。(厚み1.58mm)左の交換ミラーが青いのは保護フィルムが貼ってあるから。

 

清掃をしたビューレンズとミラーを組んだところ。スクリーンもきれいになりました。

 

ターミナル接点はリード線の半田付けです。この特徴的なリード線はオリジナルでしょうかね。

 

この個体のように古いモデルは途中で再塗装(タッチアップ)を受けているものが多いですが、この個体の前面カバーも塗装されています。アルコールで拭くと元の塗装が出て来ます。

 

Standard Nowはオートマット機構を省いた廉価版だそうで、カウンターは最初から「1」が出ていて、赤窓にフィルムの1を出してからシャッターを切って巻上げると「2」が表示されます。80年以上前のカメラとしては良いコンデションとなりました。

 

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通常作業のローライコード

2021年08月06日 22時00分00秒 | ブログ

東京オリンピックは日本選手の活躍が続いていますがいつの間にか終盤となって来ました。明日からは陸上最後のマラソンに期待したいと思います。前回のマラソンはエチオピアのアベベ・ビキラ選手が金メダルでした。日本選手は3名出場で本命は君原選手(八幡製鉄)と寺沢選手(倉レ)でしたが調整の失敗か脱落して行き、若手の円谷選手(自衛隊体育学校)に期待が集まりました。2位で国立競技場に戻って来ましたがバックストレッチでイギリスのヒートリー選手に抜かれ3位に落ちた時は悔しかったです。実況アナウンサーの「イギリスのヒートリーが追っているヒートリーが追った」が耳に残っています。

で、通常のメンテナンス作業をしています。ローライコードを続けてやっていますが、この個体のチャージ(レリーズ)レバーはオリジナルなのかなぁ? 少し長めで形状が違います。ナットも純正ではなく外径を削って無理にねじ込んでいます。よって緩まない・・

この個体は前カバーの留めネジが痛んでいて、雌ネジも壊れてネジが入りません。タップを通して修正します。

 

シボ革は本革ですが、接着剤が劣化をして剥がれています。再接着をしておきます。

 

 

これはⅣ型ですが、フォーカシングスクリーンがガラスから樹脂製になった頃で、スプリットでもなくキズが着きやすいです。交換は純正新品は入手出来ませんので海外のリプロ品を使うことになります。

 

二眼レフは重量が重いので底部の4脚が打撃でへこんでギッタンバッコンになっている個体も多いです。これは必ず修正をしておきます。

 

このレンズキャップは純正なのかな? 脱着がスムーズに出来ません。しばらく二眼レフ作業が続きます。

 

 

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同時期のダイヤル・ラピットの巻

2021年08月03日 21時30分00秒 | ブログ

今日は病院で腰痛の検査を受けて来ました。結果は特に問題は無かったのですがコロナの指定病院なのでその方が心配でした。オリンピックはトラック競技に移りましたが、日本人選手は苦戦気味ですね。前回の東京オリンピックでは、男子100mはアメリカのボブ・ヘイズが優勝でしたが、予選では9.9秒を出したと思いますが追風未公認で10.0秒でした。記憶に残っているのは棒高跳び。アメリカのハンセンとドイツのラインハルトの一戦は日没になっても決着がつかず、最終的にはハンセンが5.10mで金メダルでした。現在は機材の進歩で大幅に記録が伸びていると思います。400mリレーやマラソンも期待したいですね。

ラピットシステムを採用したハーフカメラのキヤノン ダイヤル・ラピット(1965年発売)です。2008年頃に取り上げたことがあるようですが忘れました。フィルムを巻き直しても使ってみたいとご常連さんがおっしゃるのでつい・・
露出計が動かないので部品取機のメーターと交換して欲しいとのご希望でしたが、そんなに簡単なものでもないですよ。

未分解機と思っていましたが分解されていますね。セルフタイマーのカニ目ネジのシボ革を剥がすと傷だらけです。工場ではこんな組み方はしません。

 

メーター単体が生きているかですが幸運にも生きていました。過去に分解で修理をしようとした形跡があります。いろいろ配線をいじられています。テスターで当たって行くと・・電池接点の裏側は半田付けではなく接片がバネ圧によって接触をしていますが抵抗値が異常に高い。

ここもいけません。電池室からのリード線が疑似断線の可能性があります。そもそも、電池蓋にリード線が付いている設計は頂けません。まぁ、構造上仕方が無かったのでしょう。しかし、市場では簡単に引っ張られて故障の原因になります。

リード線が引っ張られて切れることを嫌って途中でクランプをしてありますが、これが切れる原因です。柔らかい被覆のリード線ですので普通のリード線ではすぐに断線してしまうため、部品取機から交換しました。その他、ファインダーなどをクリーニングしておきます。

 

外観のデザインは近代的なのにフラッシュガンAG-1が時代を感じさせてアンバランスです。取り外していたユニットを組み込みます。この弓なりバネでポップアップします。

 

強力なセルフタイマーはレリーズ機構を組み込んだ設計です。洗浄注油をしてあります。

 

 

メーターは元気に作動しています。

 

キヤノンデミでお馴染みのパールアルマイト外装は品が良くてきれいですね。しかし、へこみやすい。今回はどちらも大きな打痕はないですが、比較でより状態の良い方を使います。

 

セルフタイマーのカニ目ネジはシボ革で隠れてしまいますが気分の問題できれいな方を使います。

 

レンズは新設計で写りは良いようです。では、頑張ってフィルムを巻き直して撮影してください。

 

当時はオリンピックの開催資金確保のためか大量の記念切手が発行されました。学校でも斡旋で販売していまして、私も3シート買いました。(140円) ちょうど切手ブームもあって種目別切手もシートで買って所有しています。殆ど使われなかったと思われますので錬金術です。まぁ、今でも使おうと思えば使えますけどね。

 

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