今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

いろいろやってましたの巻

2023年11月16日 21時30分00秒 | ブログ

カメラ店様から頼まれると断れなくて・・あまり記事に内容はありません。ミノルタのWロッコールQH21/4って修理品カルテに書いてありましたね。SRT-101のボディーにリターンミラーをアップさせて取り付けられていました。かなり内部に埃が入っていてレンズもカビがあります。

私は過去に扱ったことがないので、どこから分解するのか? というところから始めましたが、意外に素直な設計で分解することが出来ました。

 

前群レンズを分解して清掃します。

 

 

後群はまずこの部分を取り去ってレンズはねじ込み式になっています。

 

分解したレンズを清掃します。

 

 

問題はピントリングの指掛けが紛失していることです。「製作」と書かれていますが、ネットで形状を見ると、簡単に製作はできませんね。さて、少し考えます。

で、次にやっていたのはペンタックスM42の50mmです。レンズ曇りとヘリコイドグリス抜けです。これもあまり手掛けたことがありません。まぁ、分解していきます。

前群はユニットで取り出せましたので、絞り羽根の前と後玉を清掃しました。ヘリコイドグリスが抜けて、ピントリングの回し始めで「コクッ」とガタを感じます。グリスを追加しました。

普段、ズイコーレンズの曇りやコーティング劣化に慣れていると、びっくりするようにきれいになるレンズです。

 

しかし、カメラにねじ込もうとしてもねじ込めない。あぁ、ねじの先端部を当てて変形していたのでした。

 

何とか修正をしてスムーズに入りました。

 

 

次は、ベビーローライ(戦後型)をやりました。革ケースに入っていたためか、外観やレンズに傷もなく、非常にコンデションが良い個体です。使われなかったのでシャッターの低速が止まり、巻き上げが少し重いか? まず、フィルムを入れてオートマットやフィルムの送りを確認します。

ミラーの外周が白く曇っていますが、清掃できれいになりましたので交換はしません。

 

前カバーを分離して、レンズの清掃とスローガバナーの洗浄注油をしました。

 

ベビーローライのターミナルはロックピンが片方だけなので組み立ては比較的楽です。

 

革ケースに収めて完成です。

 

 

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ローライ35系3台の巻

2023年11月11日 15時00分00秒 | ブログ

ローライ35系の通常メンテナンスです。#3171XXXはドイツ製の後期でしょうか。露出計の作動が不安定なところがあります。点検すると、通常はのCdsは電池室に接着されていますが、この個体は接着されておらず(剥離したか)受光面が斜め上を向いています。リンケージとの接触もしていますのでショートなどの影響を受けていたものかもしれません。Cdsを正しい角度で接着しておきます。

ギヤなど仕様はシンガポール製とほとんど変わりませんがファインダーだけはガラス製です。スロー不調がありますのでスローガバナーの清掃注油をしておきます。

 

巻き戻しダイヤルの回転部分に埃などが堆積して回転が重いものがあります。ダイヤルと裏蓋を清掃して組み立てます。

 

回路を点検清掃をして絶縁フィルムを貼っておきます。

 

 

シャッターのオーバーホールとレンズの清掃をしておきます。

 

 

これは次の#3087XXXと初期の個体ですから全体的にヤレが感じられます。露出計が不動で「できれば修理お願いします」とのことでしたが回路の断線でした。この頃はメーターコイル断線の個体も多いのでラッキーでした。ここは半田付けではなくスポット溶接ですが電池の電解液漏れの影響で外れたものかもしれません。

このように回路を修理しておきました。メーターは作動しています。

 

 

気になるのがメーター左のオレンジ塗装が白化していること。初期の個体に見られる劣化です。このままにするか? 塗りなおすか?

 

シボ革の四隅が剥がれていますので接着しておきます。

 

 

洗浄したトップカバーにレリーズピン(グリス塗布)をセットして本体に取り付けます。

 

シャッターの清掃組み立て。

 

 

無限調整をして距離リングをセットします。

 

 

裏蓋は巻き戻しダイヤルの回転が重くゴリついているので分解清掃をしました。問題発生。フィルムカウンターが途中で張り付いて戻りません。

 

ローライ35の場合、カウンターが裏蓋側に付いていることで本体側との連動不良により正確に作動しない個体が多くあります。原因は様々ですが、この個体の場合はまず接着されているカウンター盤の糊が劣化して粘ることでスムーズに回転しないものです。その他に、カウンターが途中から進まない症状もあって調整をしました。

ローライ352台は完成。次はローライ35S #22559XXXです。過去に分解は受けていますね。前面の化粧プレートの貼り位置が違います。それとヘリコイドの回転が重く、回し始めにコクッとガタがあります。これはヘリコイドのアウター側のグリスが切れているためです。

ローライ35の距離調節は前玉繰り出し式ですが、ローライ35Sはレンズ全群の繰り出しでピントを合わせます。従ってアウターとインナー2条のネジがあります。アウター側のグリスが抜けやすく、抜けるとピントリングの動きはじめにガタを感じるようになります。画像はシャッターの清掃とヘリコイドグリスを入れ替えたところ。

沈胴の作動具合が少し引っかかるので分解しました。清掃とフェルトの調整をします。

 

沈胴チューブから先端のリングは過去にも分解を受けていました。組立時はネジに緩み止めを塗布しなければなりませんが、この個体は塗布されておらず、それによって、ピントリングの回しはじめにガタを感じる一因になっていました。沈胴チューブの内側にネジが切られていますので、ローライ35のようにシャッターユニットは簡単には前方に抜くことはできません。

沈胴チューブのフェルト調整を終えて本体に戻しました。前端のリングは緩み止めを塗布して分解時と同じねじ込み位置に組んであります。

 

無限調整をして化粧リングを接着します。無限位置の時、Rollei-HFT が真上に来るように貼ります。

 

シャッターダイヤルの数字が消えている部分がありますね。生産が古い個体ですと彫刻凹面に色入れですが、この頃になると平面にプリントなので使用によりインクが摩滅してしまうのでしょう。コストダウンの一環なのでしょうね。

これで3台のローライ35系は完了です。

 

 

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ミノルタSRT101登場の巻

2023年11月10日 11時00分00秒 | ブログ

ミノルタSRT101は、私もサーキットでの撮影で使用したこともあるカメラで良いカメラという印象がありましが、レンズの模写がやさしい感じでイメージに合わなかったのでキヤノンに変更したという経緯があります。ファインダーのクリーニングとモルト交換ということでしたが・・

この時代のカメラはこのような汚れていますね。

 

 

シャッターダイヤルの構造はミノルタの流儀ですね。歯車の噛合い位置を記録しておきます。

 

トップカバーを分離すると・・Cdsが2個ペンタプリズムに直接取り付けられています。

 

スローガバナーがこの位置にあるのはメンテナンスが楽です。洗浄注油をしておきます。

 

このカメラで気を付けなければならないのが露出制御に糸(結合紐)が多用されていて、不用意にリンクを外してしまうと厄介なことになります。

 

シャッター幕の走りにも問題がありましたのでミラーボックスを分離して軸に注油をします。

 

キヤノンなどのようにペンタプリズムを抑えるためのモルトが使われていないため蒸着面の腐食が起きていません。これは安心な設計ですね。

 

小さなモルトカスがスクリーン面に落ちてファインダー像からは大きな黒点に見えます。清掃をしておきます。

 

ペンタ部にある配線のターミナルに半田付けをします。

 

 

内部の清掃とモルトの交換をしました。

 

 

点検で問題がないのを確認して前面ネジの化粧プレートを貼ります。

 

 

作りはキヤノンFTbなどより良いと思います。当時は大量に販売されたカメラですから市場価格は安めなのが残念ですね。

 

 

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限定修理? ローライ35の巻

2023年11月08日 10時00分00秒 | ブログ

ローライ35ブラック #3459XXXが来ました。カメラ店様には、全体を整備をしてから販売するお店と不具合のところだけ直して販売するという方針のお店がありまして・・(どちらが悪いということではありません)この個体の場合は「元のコンデションが良くないので悪いところだけ」とのことでしたが、点検すると気になるところが多いので出来るだけ工数を掛けずに気になる部分のメンテナンスをするということにしました。一番の問題は「シャッターが開く時と開かない時がある」です。

この個体はft機ですからアメリカからの仕入れかと思いますが、過去に分解をされた形跡があります。海外修理はあまり信用が出来ませんが・・シャッターのメンテナンスもしますが、直接の原因は部分で作動が停止する時があることです。ブーメラン形のトグルレバーにはサイズ違いで何種類もありますが、適正でない部品をつけるとこのような現象になりますね。他にも原因はありますが・・

巻き上げレバーを留めるネジが普通のナベネジに変えられています。これですと頭が小さいので小判孔なのでレバー位置を保持できない可能性があります。海外修理には良くあることです。

 

シボ革の剥離も気になりますので再接着をしておきます。

 

 

ファインダーの指摘はありませんでしたが、やはり汚れていますので清掃します。

 

樹脂本体の中央部分が切り取られています。対物レンズを清掃するためだったのでしょう。簡単にオリジナルを変えてしまう修理はダメですね。

 

ファインダー下のスプール軸ギヤも清掃とグリス交換をしてからファインダーを取り付けます。

 

シャッターはメンテナンスをしました。レンズの清掃と、前玉のヘリコイドグリスが完全に抜けて(これでは販売できません)いますので清掃でグリスを入れ替えます。ピントリングはft表記側になっていますのでm側に変更してピント調整をします。そもそも、事前の無限確認でズレがありましたが、この中玉のねじ込みが緩んでいました。これですから全部見なければならないのです。

レリーズを繋げてシャッターを切ろうとするとチャージ完了と同時にシャッターが切れてしまう不具合があります。点検するとレリーズボタン下に入る「レリーズピン」が変です。

この部品はグリスを塗布されているので自然には外れないのですが、個体によっては「ポロッ」と落ちてきます。それを知らずに紛失してしまって、アルミのリベットか何かにEリングをセットして誤魔化してありました。右が純正です。海外修理は何でもあり。私なら旋盤で作った方が楽です。

レバー当てが欠落しているので裏からテープで塞いであります。製作して取り付けておきました。

 

見える不具合だけと言っても他にもいろいろあるものです。一通りメンテナンスをして外観清掃しましたら、見違えるような個体となりました。この方が評価も上がると思いますね。

 

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珍しいリコーフレックスTLS401の巻

2023年11月06日 18時00分00秒 | ブログ

中古店様から珍しいカメラのメンテナンスご依頼で来ました。リコーフレックスTLS401という大柄で立派なカメラです。メーカーHPによると発売は1970年10月とのこと。私にしたら、ついこの間のカメラです。マウントはM42でシャッターは縦走りのコパルスクエアが採用されています。特徴としてはアイレベルのほかウエストレベルのファインダーも装備していることです。

このダイヤルでアイレベルとウエストレベルを切り替えます。

 

 

シャッターは丈夫なのでファインダーやモルトの交換などします。ファインダーはあり得ないほど曇っています。

 

化粧プレートに傷をつけないように分離して中のネジを緩めます。当時のメーカーSSでは組み立て時は新品を付けるのが普通だったのでしょうけど、私たちは交換する新品がありませんので、当時より返って困難な作業をしなければなりません。

このレバーはAvとSp(平均測光とスポット測光)の切り替えです。接着されているメ〇ラ蓋を剥がしてネジを緩めます。

 

トップカバーを開けるとこのような景色。

 

 

ウエストレベル側にセットすると、アイピースシャッターが下りて来る構造。

 

切り替えダイヤルを回すとリンケージを経由してシャッターが閉じる機構。

 

数の多い接眼レンズ、この他にトップカバーに保護ガラスがありますから曇りが強いのも分かります。ペンタと見えて、楊枝の先は空洞です。プリズムではなく「樹脂成型品による中空5角ミラー」なのだそうです。

ウエストレベル側のレンズを外してみると・・表面鏡の半分程度が腐食しています。

 

ウエストレベル時の位置。プリズムがないので、劣化したモルトのカスが大量にスクリーンに落ちています。これを清掃します。

 

きな粉のついた美味しい和菓子のような劣化したモルトからファインダーにカスが落ちてきます。

 

裏蓋のモルトも劣化していますので清掃して貼り替えます。

 

 

貼り替えました。

 

 

その他、グリスと注油をしました。最後に化粧プレートを貼って完成。HPには「軽量化のために開発されたファインダー」のような表記がありますが、ペンタが無くても立派に重いカメラですよ。ウエストレベルファインダーはモデル撮影などに有効なのでしょうか? 

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