今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

運転会とローライ35の巻

2023年12月16日 22時30分00秒 | ブログ

今日は運転会に出掛けておりました。走行が心配された、つぼみ堂のED17はまずまずの走りを見せてくれました。

 

さすがにストラクチャーの中に置くと雰囲気が出て来ます。

 

 

86の混合列車なども力走していました。

 

 

カメラの方は昨日の作業分となります。ローライ35をやっておきますが、ドイツ製 ##3109XXXとファインダーは初期のガラス製で、他は殆ど以後のタイプという頃の個体です。そのファインダーが汚れています。

接眼側も同様です。果たして清掃が出来るのか?

 

 

ヘリコイドグリスは完全に抜けています。

 

 

巻き戻しダイヤルの回転が重く渋い。これでフィルムのテンションを掛けると巻き戻しが出来るのかという感じ。

 

では、分解して行きますが、過去に分解を受けていて、巻き上げレバーの留めネジのうち1本が規格外(+)です。

 

ファインダーを押さえるバネは本来L型ですが、曲げ部分から折られて最初期のようになっています。

 

ドイツ製の頃はプレートを留めるネジは前側2本が長く後ろ側2本は短いです。これは裏側から見える後ろ側のネジを出っ張らせないため(体裁もある)でしょうかね。シンガポールなどでは前後同じ長さになります。

シャッターの低速不調を調整中、巻き上げレバーにテンションが掛からずプラプラになりました。原因は、本来クラッチの役目の黒いフランジはコイルバネにより常に上方へ押し上げられているはずが、下降したままのため軸がロックされず巻き上げレバーにテンションが掛からないという症状。

分離して摺動部分を確認すると、かなり荒れています。それが抵抗となって不具合を発生させています。本来は新品に交換ですが、新品はないので摺動部分を研磨して抵抗を減らします。

 

フランジの荒れた部分を修正して組み立てました。全く引っかかりのない良好な状態となりました。

 

 

あとは通常のメンテナンスです。沈胴の摺動は緩くはないですが、少しムラを感じますので調整をしておきます。

 

シャッターはレンズの汚れが多い状態でしたが清掃できれいになりました。後玉のハウジングに表面処理の腐食がありますがレンズの影響はありません。

 

その他、基板に絶縁フィルムを貼ってから清掃をしたトップカバーを閉じます。

 

清掃とグリス交換をした前玉をセットして無限調整をします。

 

 

最後に前面リングを接着して作業終了。

 

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 

 

 


レアなコンパクトがお好きの巻

2023年12月14日 17時00分00秒 | ブログ

別の大阪のご常連さんはレアなコンパクトカメラがお好き。特に故障はしていませんがファインダーなどの汚れが目立ちますのでメンテナンスをします。裏蓋のモルトは過去に貼り替えられていますが、やり直します。

フジカの特徴的な底部の巻き上げレバー。リンケージの清掃とグリス交換をします。

 

レンジファインダーは中々良い作りです。通常、ハーフミラーにするところが立派なガラス製が使われています。しかし、その影響で接眼レンズの内側クモリを清掃できません。

 

接眼レンズはエポキシ接着ではなく、ゴム系接着ですので溶剤で軟化させて分離します。

 

フジカのもう一つの特徴は距離リングではなく、裏部のダイヤルで調整します。トップカバーを分離する場合は、画像のようにダイヤルの切り欠き部分にして外します。

 

本体から分離して清掃の上モルトを貼ってから取り付けたところ。

 

 

巻き上げレバーが無いすっきりとしたデザインです。

 

 

もう一台はリコーの輸出機と思いますが520m cdsというカメラ。フジカより若干大きいデザインで、こちらは極めてオーソドックスな作り。同梱で食玩のヒコーキが入っていましたよ。いつもありがとうございます。今回は飛燕Ⅱ型の水滴型風防となったレアなタイプです。Ⅱ型はエンジン出力を向上したタイプでしたが、本家ドイツに比べて冶金技術などの工業力不足によりトラブルが多く、結局は空冷エンジンに換装した五式戦となるのでした。

こちらのファインダーは普通のハーフミラーが使われています。全く教科書通りというべきレイアウトの設計です。各部の清掃と注油をしていきます。

 

しかし、メーターの表示板などは、もう少し何とかならなかったのかと言うようなデザイン。また、メーター本体は回転するのでリード線に追従する柔軟性が必要ですが、のように非常に細いむき出し線で、知らないと無意識に触れて切断する危険が高いです。製品としての完成度がイマイチな感じ。

モルトの交換をしたところ。

 

 

トップカバーを分離する場合、ターミナルの配線半田を外す必要がありますが、画像のように非常に短いので、こちらも不用意にトップカバーを開けてしまうとリード線を切ってしまう危険がありますね。もう少しリード線を長くしても良かったのに・・

なぜかアンダーカバーの一部が腐食して、メッキが痛んでいます。いつも予備機を付けていただけますので高さ調整用ワッシャーも移植して取り付けます。


フジカと比較するとリコー520mの部品の仕上げが荒いと感じます。これは部品外注先の技量というより部品コストの問題でしょうね。フジカのシリアルが#40506XXでリコーは#133XXと表示方法が異なるにせよ生産台数が違うことは推測できますので製造コストを掛けられないのでしょう。

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 

 

 

 

 


可愛いVITO Bのメンテナンスの巻

2023年12月10日 17時00分00秒 | ブログ

友人に渡すレースの資料を探していたら、当時、優勝をした時に授与された金メダルが出て来ましたよ。本物なら良かったけどチープなメッキ製。入賞はかなりの回数しているので、まだどこかに仕舞い込んであるのだが、私がいなくなればゴミになりますね。

1979年にジュニアクラスで優勝しているのかぁ・・この頃のレーサーが一番バランスが良くて、その後いろいろと改造するたびに迷宮に入り込んだような気がします。

 

で、大阪のPENのご常連さんが気に入られているフォクトレンダーのVITO B が来ました。鏡胴などの形状から前期型ですかね。シャッターが不調となるのとセルフタイマーが止まる症状があるようです。鏡胴の構造は他のカメラと違い分解は構造の熟知が必要です。

テッサー型のレンズは全群繰り出し。ヘリコイドの太さにはびっくりです。グリスが完全に抜けてスカスカですので清掃で入れ替えます。

 

右がスローガバナーで左がセルフユニット。洗浄して注油をします。

 

レンズを仮組したところ。3つのネジを緩めて∞の指標合わせとピント調整をします。

 

PEN-Sとの比較。ボディーは一回り大きい程度ですがレンズ部の張り出しが大きく、気軽にポケットに、というわけには行きませんね。しかし、PENと比べて上質な作りは素晴らしいですね。レンズがカラースコパー50mmなのでファインダーの対物レンズは1枚の低倍率。

∞調整をして絞りリングをセットします。絞り値のクリックはのリン青銅バネによっての溝にはまります。

 

最後に絞り位置に合わせて指標を合わせてイモネジで留めます。

 

 

巻き戻しノブはサイドのレバーによりポップアップします。

 

 

トップカバー留めネジはレリーズ側には無いのでレリーズケーブルを使うとカバーが浮き上がるかと思いましたが、カバーの剛性が強いようで変形はしませんね。

 

全体にドイツ製らしいがっちりとした作りですが、フィルムカウンターのセットギヤにガタが多く、撮影中に無意識に触れてカウンターが動いてしまわないか気になります。

 

PEN好きは嫌いではないカメラでしょうね。写りもシャープのようですから、この個体のような美品があれば私も欲しいと思います。

 

で、カメラ店様からローライフレックス3.5?の限定修理が来ました。セルフタイマーが作動しないとのことですが、ビュー・テイク共レンズも曇りがありますからついでに清掃をしておきます。セルフユニットはシャッター内蔵ではなく、ビューレンズの横に入っているタイプです。取り出して超音波洗浄と注油をして戻します。

ビューレンズを分解して清掃します。

 

 

テイクレンズは前群内側に曇りがあります。

 

 

フード内のミラーやスクリーンを清掃しておきます。

 

 

最後に外観の清掃と、退色している絞りスピード表示窓横のsec→とローライキンの微妙に赤でない赤茶のを調色して色入れをして完成。

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 

 

 

 

 


通常作業の巻(2)

2023年12月07日 15時00分00秒 | ブログ

12月に入ったかと思ったらもう7日。なんとなく世話しなくなってきましたね。引き続きカメラ店様からのカメラをやっています。ローライフレックス2.8Eですが、最近このように裏蓋がへこんだ個体が入ってきますね。

シボ革を剥離してみます。EVテーブルの額縁は0.2mm厚の薄いアルミですから変形がすごいことになっています。

 

本体のへこみと額縁も修正してシボ革を貼ります。

 

 

前玉を分解して清掃します。

 

 

巻き上げが重いので分解洗浄で新しいグリスを塗布して組み立てます。オートマットの作動時に負荷が大きくフィルムが切れそうなので各部の潤滑をしておきます。

 

使い込まれた個体のためレリーズボタンのロックバネが弱くなっていてロックが利かない。バネを修正しておきます。

 

セルフタイマーが切れる前にレバーがストッパーに当たってシャッターが切れない。よく観察すると過去の修理時に歯車の噛合い位置をケガいてあるのに1山ズレています。何のためにケガいたのかしら? 正規の位置にセットして無事タイマーが切れました。

これはツァイス・イコンタ521/2。シャッターが粘って作動しないのとレンズの曇り。

 

羽根を洗っても低速が切れない。スローガバナーの作動が重くセットレバーで押し切らない状態。



点検すると鉄製歯車が錆びています。また、アンクルの動きもガチャガチャな感じ。コンパーラピットでも古いのはこんな精度なのかな ? このガバナーはケースがカシメで組まれていて分解が出来ません。超音波洗浄と楊枝による錆び落とし。

何とか正常に作動するようになりました。

 

 

セルフタイマー内蔵です。セットレバーのフックは2つあって、上側はセルフタイマーを使うときにセットするフック。

 

レンズの清掃とヘリコイドグリスの入れ替えをしてピント調整で終了。

 

 

次は6X6の521/16 で小ぶりなボディーです。問題はレンズが曇っているのとシャッター不動。7.5cmf4.5、3枚玉のNOVAR-ANASTIGMATは曇りやすいのかなぁ? コーティング無しでバルサムも無いので清掃できるかな・

プロンターシャッターは1/250まで。例によって粘るのでメンテナンスをしておきます。

 

レンズは各玉が曇っていましたが、コーティングが無いので清掃が可能でした。この点は古いレンズは良いですね。

 

いつも思うこととですけど6X6になるとフィルムの上下端は圧板で押さえたとしてもかなりカールが付きますね。

 

発売年を調べたら1937年(昭和12年)辺りであるらしい。最近は日中戦争と言うらしいが、私の父が従軍した時に授与された記章には日華事変従軍となっていた。宣戦布告をしない軍事行動は事変である。どちらにしても、とてつもなく古いカメラであるのに整備をすれば使用が可能とは驚くばかりであります。

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


通常作業の巻

2023年12月02日 21時00分00秒 | ブログ

中古店様からのカメラが溜まっていて、年末商戦ですから頑張って作業をしているのですが、みなさん律儀に訪問してくださるのでUP予定がありませんでしたが少し書いておきますね。このgooブログは総数32万件程度あるのですが、先日、私としては最高の閲覧数順位で「174位」という瞬間最大風速を記録しました。良くもまぁ、みなさんが見てくださるお掛けです。改めてお礼申し上げます。で、ローライフレックス3.5Fですが、重いカメラなので裏蓋がペコペコの個体が来ました。これを修正せよ、とのことですが、内側の圧板が取れないのでどうして修正するか? いろいろ自作のSSTを駆使して修正をしていきます。

このモデルはシャッタースピードと絞りの連動が特殊で、シャッターユニットの外周に歯車があって、それによって連動しています。作動が軽いのかと言えばそうでもないですね。

 

巻き上げレバーの回転が重い感じですので分解しています。あぁ、グリスが古くなって潤滑性能が無くなっているようです。

 

歯車の内側のグリスも劣化していますので洗浄して交換しておきます。

 

次のカメラはジャバラカメラのフォクトレンダー、ペルケオⅠ型です。6X6ですけど非常にコンパクトですね。シャッターが作動しないのでメンテナンスをしています。(画像はありません)シャッターはプロンターSで、小型で高精度の作りです。スローガバナーとタイマーユニットを洗浄して各部のメンテナンスで調子を取り戻しました。

トップカバーを開けてファインダーを清掃しました。ファインダーユニットには対物レンズが2枚入っているだけ。

 

トップカバー側に接眼レンズが付いています。リンケージは二重露光防止機構。

 

巻き上げダイヤルの内側には逆転防止のコイルバネが仕込まれています。

 

1950年の発売だそうですが、内部も非常にきれいです。

 

 

レンズはヴァスカー75mmf4.5 で写りの評価は高いようですね。良いコンディションに専用の革ケースも付いています。

 

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)