昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (七十三) 帰ってこないかしら

2013-12-09 20:53:48 | 小説
「ひと月ほど前でございます。 旦那さまにお会いして、小夜子奥さまが、『帰ってこないかしら』とおっしゃってるとお聞きして。 もうそれは、天にものぼる思いでした。 すぐにでもと思ったのですけど、びっくりさせたいから式の日まで待てと言われまして。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (七十三) ほんとにおやさしい旦那さまです

2013-12-08 11:29:23 | 小説
「ほんとにおやさしい旦那さまです。会社では怖い社長だとお聞きしましたけれど、決してそんなことはありません。きっと一生懸命におやりにならないから、強くお叱りなんだと思います。小夜子奥さまもそうお思いでしょう?」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (七十三) 血相変えて包丁を持ったまま

2013-12-07 11:42:37 | 小説
「小夜子さまと同じでございました。実家ではうまくやれていたことが、どうにもちぐはぐになってしまいます。緊張していたのだと思います」 「そう。やっぱり千勢でも、緊張したの? 初めは。あたしもね、くくく、包丁を持った時なんか。武蔵がね、あたしを呼んだの。武蔵はね、大丈夫か? って声をかけたらしいんだけど、あたしったら、血相変えて包丁を持ったまま。くく…分かる? 武蔵にね…」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (七十三) ぶっとい、ふかし芋

2013-12-06 19:34:50 | 小説
(六) 「申し訳ありません。ちょっと昔のことを思い出してしまいまして。 そうだ! 今日は小夜子さまのお帰りだと聞いて、実はこれを」 ぶっとい、ふかし芋を卓に乗せた。 「旦那さまの前では食べにくいのですけど、小夜子さまお好きでしょ? 千勢はだ~い好きでございまして。旦那さまのご出張の折なんかに、ご飯代わりに頂いていたんです」 目をキラキラと輝かせる千勢。小夜子もまた、昔を思い出す。 “おや . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (七十三) 経験でございますよ

2013-12-04 21:00:13 | 小説
「小夜子奥さま、お湯加減はいかがですか?」 笑いをかみ殺している小夜子に、外から千勢が声を掛ける。 「ありがとう、ちょうどいい具合よ。千勢は、お風呂焚きも上手ね。 あたしなんか、熱すぎたり温かったりの失敗ばかりよ。 いつだったか、水風呂に武蔵を入れちゃった。 沸かし終えたって、勘違いしちゃってさ」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (七十三) 木の香が漂う湯船に浸かり

2013-12-03 20:08:55 | 小説
(三) 「お疲れになられたでしょう?  お風呂のご用意ができておりますが、いかがです?  その間に、お夕食の支度をしておきます」 「そうね、そうするわ。 お夕食、軽めにしてね。会社で、少し頂いてきたから」 「そうですか、分かりました。 それじゃあ、胃へのご負担を考えて、おうどんにでも致しましょうか? 玉子を乗っけた月見うどんなどは如何です?」 「あら、美味しそうね。それじゃあ、それをいた . . . 本文を読む

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