16日(土)。わが家に来てから今日で3350日目を迎え、中国企業が運営する動画投稿アプリ「Tik Tok」の利用禁止につながる動きが米議会で進む中、中国外務省ホームページが14日、「米国のいわゆる『言論の自由』の事実・真相」と題した文書を公表し、「米国こそ言論に政府が介入したりSNSで言論がゆがめられたりしている。米国の言論の自由は有名無実である」と批判している というニュースを見て感想を述べるモコタロです
言論弾圧と国民監視で世界をリードする強権主義国家・中国には どの国も敵わない
昨日、夕食に「豚肉の生姜焼き」と「ワカメの味噌汁」を作りました 生姜焼きにはやっぱりキャベツのみじん切りが合うようです
昨夜、サントリーホールで東京フィル「第999回サントリー定期シリーズ」公演を聴きました プログラムは①レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア」第2組曲、②オルフ:世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」です
演奏は②のソプラノ独唱=ヴィットリア・デ・アミーチス、カウンター・テナー=弥勒忠史、バリトン=ミケーレ・パッティ、合唱=新国立劇場合唱団、児童合唱=世田谷ジュニア合唱団。指揮=アンドレア・バッティストーニです
オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東京フィルの並び 舞台下手にはチェンバロ(4手)とハープがスタンバイします。コンマスは依田真宣です
1曲目はレスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア」第2組曲です この曲はオットリーノ・レスピーギ(1879-1936)が16世紀から17世紀にかけて書かれたリュートやギターの作品をイタリアの音楽学者オスカル・キレゾッティが編纂・出版した楽譜に基づいて3度にわたり組曲として作曲した作品で、第2組曲は1923年にまとめられ、1924年2月17日にローマで初演されました
第1曲「愛らしいクララ」、第2曲「田園舞曲」、第3曲「パリの鐘とアリア」、第4曲「ベルガマスカ」の4曲からなります
第1曲「愛らしいクララ」は弦のピッツィカートに乗せて奏でられる加瀬孝宏のノンビブラートのオーボエが素晴らしかった 第2曲「田園舞曲」はいかにもイタリアの明るい田園風景を感じさせる演奏でした
第3曲「パリの鐘とアリア」は弦楽アンサンブルが美しく響きました
第4曲「ベルガマスカ」は木管楽器群の演奏が楽しく、チェンバロとハープがバロック的な響きを醸し出していて優雅でした
この第2組曲は、いかにもイタリア・ヴェローナ生まれのバッティストーニが選びそうな曲想でした
プログラム後半はオルフ:世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」です この曲はカール・オルフ(1895-1982)が、1803年に南ドイツの修道院で発見された中世の歌や劇のための詩を納めた写本を基に、1847年にヨハン・アンドレアス・シュメラーが編纂し、全集として出版したものを台本として1934年から37年にかけて作曲、1937年6月8日にフランクフルトで初演されました
オルフは全集の中から23作品を選んで自在に並べ直し、「運命に対する人間の嘆き」という大枠の中で次のように構成しました
運命 それは世界の女帝
1.春
緑の野原で
2.酒場で
3.恋の庭
ブランツィフロール(白い花)とヘレナ(絶世の美女)
運命 それは世界の女帝
P席の2列目に世田谷ジュニア合唱団のメンバー22人が横一列で並び、その後方の下手側に新国立劇場合唱団の女声コーラス32人、上手側に同男声コーラス28人がスタンバイします
ソリストの3人がバッティストーニとともに登場し、指揮台の前にスタンバイします ステージ下手にはピアノが2台とチェレスタが控えます
ソプラノのヴィットリア・デ・アミーチスはイタリアのラクイラ生まれ。第4回レナータ・テバルディ国際コンクールをはじめ複数の国際コンクールの覇者で、世界の歌劇場で歌っています カウンター・テナーの弥勒忠史(みろく ただし)は千葉大学卒・大学院修了。東京藝大卒。二期会会員です
バリトンのミケーレ・パッティはイタリア・ジェノヴァ生まれ。複数の国際コンクールで優勝し、ボローニャのテアトロ・コムナーレ音楽院でイタリアオペラの奨学生に選抜されました
バッティストーニの指揮で「運命 それは世界の女帝」が力強い合唱で開始されます この曲を聴くとワクワクドキドキが止まりません。素晴らしい音楽です
バッティストーニは曲間を空けず、テンポよくサクサクと演奏を進めます これによって適度の緊張感と推進力が生まれ、音楽に命が吹き込まれます
バリトンのミケーレ・パッティはマジメな歌と酒場での酔っ払いの歌を見事に歌い分けていました カウンター・テナーの弥勒忠史は小さな白鳥のぬいぐるみを抱きながら、料理人に天火で焼かれた白鳥の嘆きをユーモアたっぷりに歌い上げました
ヴィットリア・デ・アミーチスは求愛された乙女が恋と貞節の間で悩むアリア「天秤に心をかけて」を透明感溢れる美しい歌唱で歌い上げ、次いで「愛しい貴方」を美しい超高音で歌い切りました
彼女の声は本当に美しく、是非 彼女の歌うモーツアルトやヴェルディのオペラを聴いてみたいと思いました
新国立劇場合唱団のコーラスの素晴らしさは改めて言うまでもないでしょう 私が常日ごろから思っているのは、世界に通用する日本の合唱団を2つ挙げよと言われたら新国立劇場合唱団とバッハ・コレギウム・ジャパンの合唱団を挙げるだろうということです
今回も、とても60人の合唱とは思えない迫力のあるコーラスで聴衆を唸らせました
世田谷ジュニア合唱団は新国立オペラ「子どもと魔法」に出演したコーラスですが、透明感のある素晴らしい合唱でした
総勢160名の日本一の楽団員数を誇る東京フィルの精鋭メンバーによる渾身の演奏は特筆に値します
バッティストーニは終始集中力を切らさず、軽快なテンポにより演奏を進めオケと声楽陣をまとめ上げました
開始から1時間が経過し、最後に冒頭の「運命 それは世界の女帝」が力強く演奏され華々しいフィナーレを飾ると、満場の拍手とブラボーの嵐が湧き起こりました 何度もカーテンコールが繰り返され、バッティストーニ、ソリスト、合唱団、オーケストラが讃えられます
「もうこれでカーテンコールも終わりだろう
」と思ってぼちぼち帰る客が出てきた時でした
世の中には3つの坂があります。一つは「上り坂」、二つ目は「下り坂」、そして三つ目は「まさか」です
その「まさか」が起こりました
バッティストーニがオケの方に向き直り、合唱団に向かって「立って
」の合図を送り、再び「運命 それは世界の女帝」の演奏を始めたのです
白熱のアンコールが終わるや否や満場の拍手とブラボーの嵐、そして会場のそこかしこでスタンディングオベーションが見られました
本当に素晴らしい演奏でした 今年はまだ3月中旬ですが、今のところマイベストと言ってもよいでしょう