24日(火)。わが家に来てから今日で3542日目を迎え、ドナルド・トランプ前米大統領は、米ニュース番組「フル・メジャー」とのインタビューで、11月の大統領選で落選した場合、次回2028年の選挙には再び挑戦しない意向を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
そんな寂しいこと言わないで 3回挑戦3回落選の新記録を作れば 名前が残るのにな
昨日、夕食に「ビーフカレー」と「生野菜とモッツァレラチーズのサラダ」を作りました ビーフカレーはブロック肉でなく 今回は切り落とし肉を使いましたが とても美味しかったです
昨日、東京芸術劇場コンサートホールで「2024年度全国共通制作オペラ プッチーニ『ラ・ボエーム』」を観ました 出演はロドルフォ=工藤和真、ミミ=ルザン・マンタシャン、ムゼッタ=イローナ・レヴォルスカヤ、マルチェッロ=池内響、ショナール=高橋洋介、コッリーネ=スタ二スラフ・ヴォロビョフ、アルチンドロ=仲田尋一、べノア/カフェマスター=晴雅彦、パルピニョール=谷口耕平。合唱=ザ・オペラ・クワイア、児童合唱=世田谷ジュニア合唱団、ダンサー=梶田留似、水島晃太郎、南帆乃佳、小川莉伯、管弦楽=読売日本交響楽団、バンダ=ベル・ラ・ボエーム、指揮=井上道義、演出=森山開次です
井上道義は1946年東京生まれ。桐朋学園大学卒業。ニュージーランド国立響首席客演指揮者、新日本フィル音楽監督、京都市響音楽監督兼常任指揮者、大阪フィル首席指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢音楽監督を歴任 今年12月末をもって指揮活動の引退を表明している
森山開次は2005年、自ら演出振付出演するソロダンス「KATANA」でニューヨーク・タイムズ紙に「驚異のダンサー」と評され、2007年ヴェネチア・ビエンナーレ招聘 2019年「ドン・ジョバンニ」(総監督・指揮=井上道義)でオペラ初演出。2021年の「東京2020パラリンピック開会式」で演出・チーフ振付を務める
森山は9月19日付の朝日新聞夕刊で、同社編集委員・吉田純子さんのインタビューに答え、「振り付け、美術、衣裳に至るまで、『君の好きなように。新境地を開け』と、井上氏からほぼ全権を託された」と語っています
「ラ・ボエーム」はジャコモ・プッチーニ(1858-1924)がアンリ・ミュルジェールの小説「ボヘミアンの生活情景」により、ジュゼッペ・ジャコーザとルイージ・イッリカの台本に基づき1892年から95年にかけて作曲、1896年にトリノのレージョ劇場で初演された全4幕から成るオペラです
物語の舞台は1830年代のパリ。4人の若者が暮らす屋根裏部屋で、詩人ロドルフォが一人になると、階下に住むお針子ミミがろうそくの火を借りに訪れ、2人は恋仲になる(第1幕)。クリスマスイヴのカルチェラタンで、画家のマルチェッロが元カノのムゼッタと再会する(第2幕)。肺病を患っているミミはロドルフォと別れることを決意する マルチェッロと浮気性のムゼッタの仲も壊れる(第3幕)。数か月後、再び屋根裏部屋でロドルフォもマルチェッロも別れた恋人が忘れられずにいる そこにムゼッタが衰弱したミミを連れてきて、ミミはロドルフォのもとで最期を迎える(第4幕)。
自席は2階K列33番、センターブロック8列目の右通路側です 会場はほぼ満席です
森山開次の演出は、画家のマルチェッロに、1913年にフランスに渡った画家の藤田嗣治(レオナール・藤田)を投影しています 藤田の特徴は「おかっぱ頭、丸眼鏡、ちょび髭」なので、マルチェッロ役の池内響はそのような風貌として登場します
オーケストラピットに入る読響は、下手側に打楽器、ハープが、上手側に木管楽器、金管楽器、ティンパニが控え、その間(中央)に弦楽器が左からコントラバス、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの順に配置されます。コンマスは林悠介です
ステージはシンプルな作りで、各幕の舞台転換も最小限に留めています
満場の拍手の中、井上道義が颯爽と登場し、さっそく演奏に入ります
ロドルフォ役の工藤和真は岩手県出身のテノールです 東京藝大・大学院声楽専攻修了。第53回日伊声楽コンコルソ第1位及び歌曲賞受賞 第1幕のアリア「冷たい手を」では伸びのある歌唱で最高音を歌い上げたのをはじめ、説得力のある歌唱と演技力で聴衆を魅了しました
ミミ役のルザン・マンタシャンはアルメニア出身のソプラノです モデナでミレッラ・フレー二、フランクフルトでヘドヴィグ・ファスベンダーに師事。パリ国立オペラのアトリエ・リリックで研鑽を積みました ヨーロッパの歌劇場を中心に活躍しています。第1幕のアリア「私の名はミミ」をはじめ透明感のあるリリックな歌唱でヒロインを歌い上げました
ムゼッタ役のはイロ―ナ・レヴォルスカヤはロシア出身のソプラノです モスクワ音楽院を経て、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック修了。リンツ歌劇場で「ラ・ボエーム」ムゼッタ、「カプレーティ家とモンテッキ家」ジュリエッタなどで活躍しています 第2幕のアリア「私がひとり街を歩くと」では、美しいコロラトゥーラで聴衆を魅了しました
マルチェッロ役の池内響は兵庫県出身のバリトンです 東京藝大大学院修了。2015年に日生劇場「ドン・ジョバンニ」タイトルロールでデビュー 2019年に第10回サルヴァトーレ・リチ―トラ声楽コンクール第1位 パリで活躍した藤田嗣治に成り切って歌い・演じ、存在感を示しました
コッリーネ役のスタ二スラフ・ヴォロビョフはロシア出身のバスです 2018年からチューリヒ歌劇場に所属し、「ラ・ボエーム」コッリーネなどで活躍 第4幕でのアリア「古い外套よ、聞いておくれ」では低音の魅力を十分に発揮しました
いつ聴いても素晴らしいと思うのは、第3幕のラストです。ロドルフォとミミが甘美な別れの二重唱を歌っている最中、マルチェッロとムゼッタの2人が喧嘩しながら乗り込んできて、二重唱対二重唱が絡み合って歌われるアンサンブルです。常識的には「愛の別れの二重唱」と「喧嘩別れの二重唱」は両立しないでしょう。しかし、プッチーニは見事なアンサンブルで両立させます。こういうのを聴くと、プッチーニの天才を感じます。蛇足ですが、ムゼッタがマルチェッロを罵る時、「ちょび髭」と言い捨てますが、これはマルチェッロこと藤田嗣治が「ちょび髭」だからです ここで思わず笑ってしまいました
合唱のザ・オペラ・クワイア、児童合唱の世田谷ジュニア合唱団は、ともに第2幕「カフェ・モミュス」で大活躍し、クリスマスを祝う街の賑わいを演出しました
森山開次の演出では、場面に応じて4人のダンサーが黒子的な存在としてバレエを踊ります ダンス自体は流石はプロだと感じますが、1カ所だけ注文を付けるとすれば第2幕の冒頭の演出です 通常のオペラ公演では、トランペットによる華やかな音楽で幕が開きますが、本公演では①緞帳がないこと②1幕から2幕への舞台の模様替えの必要があることから、時間を稼ぐことになります そこでパルピニョールとダンサーたちにより聴衆の笑いを取る「パントマイムによるコント」が演じられることになります 趣旨は分かりますが、時間が長すぎると思いました まあ、実際には裏方の事情があるのだと思いますが、出来るだけ短い方がいいと思いました
最期に、井上道義 ✕ 読売日響は歌手に寄り添いながら、ボヘミアンたちの心情を、クリスマスの祝祭感を、恋人たちの別れの辛さを歌い上げました
満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました
開演に先立って東京芸術劇場5階「ギャラリー1」(コンサートホール入口と同じ階)で開かれていた「井上道義 音楽生活写真展」を観てきました
写真展では井上氏の幼少期から現在までの想像以上多くの写真が展示されていたのをはじめ、順路の最後には井上作曲によるミュージカルオペラ「A Way from Surrender(降福からの道)」を中心とするスライド上映があり、結局入場してから退出するまで1時間くらいかかりました
写真を見て、「この頃、バレエをやって女の子にもててたんだな」とか、「若い頃は髪の毛ふさふさだったのが、この頃から禿に、もとい、頭上が枯山水になったんだな」とか、「この頃からアホな行動、もとい、聴衆を喜ばすためにギャグをかますようになったんだな」とか思いながら順路を回っていきました
オペラ公演といい、写真展といい、この日は私にとって「井上道義デー」となりました