23日(月)。新日本フィルについては「クラシックへの扉」シリーズの定期会員ですが、来シーズンから「サントリーホール定期」を追加することにしました 昨日、座席指定の手続きのため10時から固定電話とスマホを駆使して何度もチケットボックスに電話をしましたが、まったくつながりませんでした 電話でしか受け付けないのは不便ですが、仕方ありません 午後コンサートが控えているので、途中で諦めました 今日は映画を観た後で再度チャレンジします
ということで、わが家に来てから今日で3205日目を迎え、中国当局が3月末に拘束していたアステラス製薬の50代の社員をスパイの疑いで正式に逮捕したが、中国は既に広範囲に及んでいた反スパイ法の領域を拡大、専門家らは外国の企業やジャーナリスト、学者らにとって法律上のリスク並びに不透明性が一段と高まる恐れがあると警告していた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
中国は具体的な逮捕理由を明らかにしていない 危険な中国とは商取引できないね
昨日、東京芸術劇場コンサートホールで読売日響「第261回日曜マチネーシリーズ」公演を聴きました 11月30日の定期公演がシティ・フィルの定期と重なるため、読響を本公演に振り替えました プログラムは①ベートーヴェン:序曲「レオノーレ第3番 作品72b」、②グリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調 作品16」、ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」(全曲)です 演奏は②のピアノ独奏=中川優芽花、③のメゾ・ソプラノ独唱=加藤のぞみ、指揮=読響常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレです
振り替え後の席は1階N列4番、左ブロック左から2つ目です
オケは14型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び コンマスは林悠介。隣は元読響コンマスで現在新日本フィル特任コンマス・伝田正秀です
1曲目はベートーヴェン:序曲「レオノーレ第3番 作品72b」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770=1827)が歌劇「フィデリオ」第2版初演に際し1804年から05年にかけて作曲した序曲です なお、1805年の第1版用が「レオノーレ序曲」第2番、1814年の決定版用が「フィデリオ」序曲です
歌劇「フィデリオ」は「スペイン・セヴィリャ近くの刑務所に政治犯として投獄されている夫フロレスタンを、妻フィデリオ(本名レオノーレ)が男装して牢番の部下となり救出する」というストーリーです
ティンパニの強打を伴って力強い音楽が開始されます 物語をなぞるように音楽が進み、フィデリオの危機を救う大臣の到着を告げるトランペットのファンファーレが、ステージ下手袖の奥で演奏されます そこから徐々にスピードアップしていき、勝利の音楽を歌い上げます 集中力に満ちた素晴らしい演奏でした
2曲目はグリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調 作品16」です この曲はエドヴァルド・グリーグ(1843-1907)が1868年に作曲、1869年4月3日にコペンハーゲンで初演されました 第1楽章「アレグロ・モルト・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モデラート・モルト・エ・マルカート」の3楽章から成ります
ピアノ独奏の中川優芽花は2001年デュッセルドルフ生まれの22歳です ロンドンのパーセル音楽学校を経て、現在ワイマールのフランツ・リスト音楽大学で研鑽を積んでいます 2021年にはスイスのクララ・ハスキル国際コンクールで優勝、併せて聴衆賞も受賞しました
黒のパンツルックでメガネ着用、小柄な図書館司書のような雰囲気の中川優芽花が登場しピアノに向かいます ティンパニのロールの頂点で中川のピアノが力強く入ってきます その後は軽快に、そして力強く演奏が展開します 倉田優のフルート、松坂隼のホルンが素晴らしい演奏でソリストを盛り立てます 終盤のカデンツァは力強く、聴きごたえがありました 第2楽章では中川のピアノがロマンティックに奏でられましたが、高音部がとても美しく響きました 第3楽章では、リズム感の良い中川のピアノが軽快に演奏され、ヴァイグレ ✕ 読響がしっかりサポートしました
会場いっぱいの拍手に中川は「ショパンのプレリュード”雨だれ”です」とアナウンスして、フレデリック・ショパン「前奏曲第15番”雨だれ”」をゆるやかなテンポでじっくりと演奏しました
演奏する前にアンコール曲をアナウンスする演奏家は少ないように思います 彼女のように、たとえ有名な曲でも曲名を伝えてから演奏すれば、演奏家と聴衆の距離が少しは縮まると思います 「皆さん、この曲くらい知ってるでしょ」とばかりに、いきなりアンコールに入るのは、「だからクラシックは敷居が高いと言われるんだよ」と思われそうです
アンコールを弾き終わり、満場の拍手に笑顔で応える中川優芽花は、もはや小柄な図書館司書ではなく、一人の立派なピアニストに見えました
プログラム後半はファリャ:バレエ音楽「三角帽子」(全曲)です この曲はマヌエル・デ・ファリャ(1876-1946)が1916年から翌17年に作曲したパントマイム「市長と粉屋の女房」を、ロシアバレエ団の主宰者セルゲイ・ディアギレフの勧めにより1918年から翌19年にかけてバレエ音楽「三角帽子」に改作、1919年7月22日にロンドンで初演されました
「三角帽子」とは3つの角を持った帽子のことで、この曲では権力の象徴となっています 物語は「聖ヨハネ祭の前日の午後、スペイン・アンダルシアの小さな村で、美しい粉屋の女房に手を出そうとする威張った代官が、粉屋たちから散々な目に遭わされる」という内容です 作品は序奏と2部(2幕)から構成され、連続して演奏されます
メゾ・ソプラノ独唱の加藤のぞみは東京藝大大学院首席修了後、パルマ国立アッリーゴ・ボーイト音楽院で学び、バレンシア歌劇場で研鑽を積む イタリア声楽コンコルソ・ミラノ大賞受賞
加藤のぞみがホルンの下手に待機し、ヴァイグレの指揮で演奏に入ります ティンパニの強奏、トランペットとホルンのファンファーレが鳴り響き、4人の打楽器奏者がカスタネットを打ち鳴らしスペイン情緒を醸し出します 鈴木康浩、柳瀬省太 率いるヴィオラ・セクションが手拍子しながら「オレ!オレ!」と詐欺を、もとい、掛け声を かけると、メゾ・ソプラノが「かわいいお嫁さん、閂で扉をお閉めなさい。悪魔は眠っていても、起きて来るかもしれない」と歌います 加藤はよく声が通り 明快な歌唱力を発揮します そして第1部の演奏に入ります ピッコロが伊達男を表わしますが、この演奏(佐藤友美さん?)が素晴らしい 次いでファゴットが代官を表わしますが、吉田将の演奏が絶妙です 第2部に入ると、ホルン・セクションとイングリッシュ・ホルンの力強い演奏が繰り広げられますが、北村貴子の演奏が素晴らしい すると、ベートーヴェンの「第5交響曲”運命”」の動機がホルンによって奏でられ、代官の衛兵たちが戸を叩き、粉屋を連行する場面になります そこで再びメゾ・ソプラノが「夜カッコーが鳴く。所帯持ちに閂をしっかりかけろと警告しながら。なぜなら悪魔は眠っていないから」と歌います そして、代官と粉屋と女房のドタバタシーンが繰り広げられ、最後に躍動感あふれる快活な舞曲(ホタ)が演奏され全曲を閉じます
実に楽しい演奏でした プログラムノートを音楽ライターの柴田克彦氏が書いていますが、物語に沿ってどういう楽器がどういう演奏をするかを具体的に説明しているので、非常に分かりやすく、私は解説を読みながら演奏を聴いていました ストーリー性のある作品はこういう解説が望ましいと思いました
満場の拍手とブラボーに カーテンコールが繰り返され、ヴァイグレ ✕ 読響はアンコールに、ヒメネスの歌劇「ルイ・アロンソの結婚」から間奏曲をアグレッシブに演奏、聴衆を興奮の坩堝に巻き込んで コンサートを締めくくりました
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