人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ガス・ヴァン・サント監督「ドント・ウォーリー」&「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」を観る~早稲田松竹

2019年09月20日 07時27分57秒 | 日記

20日(金)。わが家に来てから今日で1692日目を迎え、2011年3月の東京電力福島第一原発事故をめぐり、旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴され裁判で、東京地裁は19日午前、3被告にいずれも無罪の判決を言い渡した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     今も避難生活を強いられている人たちを思うと 理に叶い情に叶う判決だろうか?

 

         

 

昨日、夕食に「塩だれ豚丼」と「トマトとレタスの卵スープ」を作りました 豚丼はスタミナが付きますね

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「ドント・ウォーリー」と「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」の2本立てを観ました

「ドント・ウォーリー」はガス・ヴァン・サント監督・脚本・編集による2018年アメリカ映画(115分)です

アルコールに溺れる日々を過ごしていたジョン・キャラハン(ホアキン・フェニックス)は、自動車事故に遭い一命を取り留めるが、胸から下が麻痺し、車椅子生活を余儀なくされる 絶望と苛立ちの中、ますます酒に溺れ、周囲と摩擦を起こす自暴自棄の毎日を送るようになる しかし、幾つかのキッカケから自分を憐れむことを止めた彼は、過去から自由になる強さを獲得していく そして、持ち前の辛辣なユーモアを発揮して、不自由な手で風刺漫画を描き始める 人生を築き始めた彼のそばにはずっと彼を好きでい続けるかけがいのない人たちがいた


     


この映画は59歳で他界した 世界で一番皮肉屋な風刺漫画家の不屈の半生を描いた作品です  たとえ車椅子生活だろうと、生きがい(彼の場合は漫画)と、希望と、自分を理解してくれる仲間がいれば、生き生きと過ごすことができる、ということを教えてくれる映画です この映画では、アルコール依存症から抜け出すための社会貢献活動の一つ「断酒会」のシーンが出てきますが、参加者一人一人が「断酒を始めてから〇日目」と報告すると、他の参加者が拍手で称賛します アルコールやギャンブルの依存症の人たちは、一人で悩んでいないでこういう組織に入って、同じ立場の人たちと悩みを分かち合って困難を乗り越えるのが良い方法だ、ということが示されています ジョンもこの会に参加していなければ、いつまでも孤独に苛まれていたことでしょう

ジョン・キャラハンの風刺漫画は、サンフランシスコ・クロニクル、ニューヨーク・デイリー・ニュース、ロンドン・オブザーバー等50紙以上の紙面を飾ったそうです 上のチラシの上方に書かれているような漫画ですが、親しみを感じます


         

 

「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」はガス・ヴァン・サント監督による1997年アメリカ映画(126分)です

フィールズ賞受賞者でマサチューセッツ工科大学数学科教授のジェラルド・ランボー(ステラン・スカルスガルド)は、数学科の学生たちに代数的グラフ理論の難問を出題する 世界屈指の優秀な学生たちが悪戦苦闘する中、いとも簡単に正解を出す者が現われる それは学生ではなく、大学でアルバイト清掃員として働く孤児の青年ウィル・ハンティング(マット・デイモン)だった ランボーはウィルの非凡な才能に目をつけ、彼の才能を開花させようとするが、ウィルはケンカをしては鑑別所入りを繰り返す素行の悪い青年だった ランボーはウィルを更生させるため様々な心理学者にウィルを診てもらうが、皆ウィルにいいようにあしらわれ、匙を投げ出してしまう ランボーは最後の手段として、学生時代の同級生ショーン・マグワイア(ロビン・ウィリアムズ)にカウンセリングを依頼する。ショーンはバンカーヒル・コミュニティ・カレッジで教壇に立つ心理学の講師で、ランボーとは不仲であったが、ウィルの更生のために協力することになる ショーンは大学講師として表面的には健全な社会生活を送りながらも、最愛の妻を病気で亡くしたことから孤独感に苛まれていた 事情を知らないウィルは当初ショーンをからかっていたが、やがて互いに深い心の傷を負っていることを知り、次第に打ち解けていく さらに、ハーバード大学の女学生スカイラー(ミニー・ドライヴァー)との恋を通して、ウィルは自分の将来を模索する人間へと徐々に成長していく

 

     

 

私はなぜか、工事現場の仕事の最中にウィルの親友チャッキーがウィルに言った言葉が印象に残っています それは「もし、お前が20年後も工事現場なんかで働いていやがったら、俺がぶっ殺してやる」というものです。つまり、チャッキーはウィルが天才であることを知っていて、その才能を活かす仕事に就いていないことに苛立っているのです。本当の親友だからこそ言える台詞だと思います

また、ショーンがウィルに「君は悪くない」「君は悪くない」と繰り返し言うシーンで、ウィルは「解ってるよ」と返しますが、ショーンは同じことを繰り返します すると、ウィルは本当に自分のことを心底理解してくれる人を前にして涙が決壊し、二人は抱き合います ショーンもウィルも家族にまつわる悲しい過去をトラウマとして引きずっていたからです

この映画は、チャッキーのセリフに限らず、気の利いたセリフや皮肉に満ちています いちいち思い出せませんが、人生訓に満ちた作品です この作品は主演のウィルを演じたマット・デイモンが脚本に携わっていますが、ハーバード大学でスカイラーをナンパしようとしていた同大学の学生と論争して、理論ばかりで実践が伴わない頭でっかちのハーバード生を喝破するシーンがありますが、マット・デイモンがハーバード出身(中退)ならではの皮肉でしょう

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新国立劇場(小)避難体験オペラコンサートに参加する ~ 今年も出現した身勝手な大騒ぎオジサン:趣旨が理解できない者は参加すべきではない!

2019年09月19日 07時24分39秒 | 日記

19日(木)。わが家に来てから今日で1691日目を迎え、南米のエクアドル政府は16日、国民ほぼ全員を含む約2000万人分の個人情報が海外に流出したと明らかにした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

    

     日本ではとても考えられない事件だけど  油断は禁物  他山の石とすべきだろうな

 

         

 

昨日、午後3時から新国立劇場(小劇場)で開かれた「第4回避難体験オペラコンサート」に参加しました 私は一昨年の「オペラハウス」、昨年の「中劇場」に次いでこれが3回目です。3回とも運よく抽選に当たりました

新国立劇場1階正面玄関にはオペラ「アイーダ」の大道具、ファラオとスフィンクス等が飾られていました

 

     

 

正面玄関奥の受付で当選ハガキと引き換えに座席指定券をもらいました 自席はB1列16番、前から3列目の右から3つ目です。出演者の顔も良く見える良い席です

最初に支配人の佐藤さんからこの訓練の趣旨と進行について説明があり、プログラムにあった「お恥ずかしい誤植」の訂正の後、演奏に入りました 発表されたプログラム(訂正済み)は以下の通りです

①ベッリーニ「清教徒」より「ああ!永久に私はあなたを失ったのです」:リッカルド=程音聡

②ヴェルディ「椿姫」より「不思議だわ・・・花から花へ」:ヴィオレッタ=平野柚香

③トスティ「Visione」:濱松孝行

④平井康三郎「平城山」:野町知弘

⑤モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」より「可愛いデスピーナちゃん」:ドラベッラ=一條翠葉、フィオルデリージ=斉藤真歩、デスピーナ=原田奈於、フェッランド=鳥尾匠海、グリエルモ=森翔梧、ドン・アルフォンソ=湯浅貴斗

⑥オッフェンバック「ホフマン物語」より「美しき愛の夜よ」:二クラウス=一條翠葉、ジュリエッタ=斉藤真歩

⑦モーツアルト「魔笛」より「パ、パ、パ」:パパゲーナ=原田奈於、パパゲーノ=森翔梧

⑧プッチーニ「ラ・ボエーム」より「もうミミは戻ってこない」:マルチェッロ=野町知弘、ロドルフォ=濱松孝行

ヴェルディ「椿姫」より「不思議だわ・・・花から花へ」:ヴィオレッタ=平野柚香

⑩J.シュトラウス「こうもり」より「シャンパンの歌」:全員

おかしいですね?? ②と⑨がダブっていますね。それには深いわけがあります

 

     

 

2曲目のヴェルディ「椿姫」のヴィオレッタの歌が始まって途中まで進んだところで、突然地震のような大きな音が出て、ソプラノの平野柚香さんがその場に座り込みます 彼女はスタッフの誘導で舞台袖に移動します。それと同時に場内アナウンスが入り、「地震が発生したが、この建物は安全であるから指示があるまでその場で動かないで欲しい」旨を告げました すると、右ブロック最前列に座っていた高齢男性が、いきなり大声で、「みんな、早く逃げろ 本当に地震がきたら待ってなんかいらんないよ。上から物が落ちてきたらどうすんの」と騒ぎ出したのです 聞き覚えのある声だと思ったら、昨年の訓練の時に大声を出していた同一人物であることが分かりました あまりの大きな声に「あの人、主催者側の人なの?」とあちこちで囁かれる中、支配人の佐藤さんがその男の前に行き、「静かにしてください」と注意しますが、「やだね」。「こちらにどうぞ」と促しますが「やだよ」。訓練を進行しなければならない佐藤さんは、説得をあきらめて持ち場に戻りましたが、「係りの者の指示に従って避難を開始してください」というアナウンスが入った後も、男は「ぐずぐずしてたら逃げ遅れちゃうよ。年寄りと子どもが先だよ」と勝手に指示を出していました 年寄りはお前だろ

このオジサンの言う「本当に地震がきたら(指示があるまで)待ってなんかいらんない」というのはその通りです しかし、この訓練は、趣旨に賛同した者が応募して、抽選に当選した者だけが参加しているはず したがって、参加者は主催者側との約束事を守ったうえで参加しているはずなのです。オジサンは自分は”正論”を吐いているつもりでしょうが、大きな勘違いです ひと言で言えば、オジサンの行為は避難訓練を妨害しているのです。混乱を避けるために支配人がわざわざ説得にいかなければならなかったので、時間が余計にかかってしまったのです その分時間がかかったとしても、今回の佐藤支配人の対応は100%正しかったと思います

私もビル管理の仕事をしている時に、防災の実務責任者として6回ほど避難訓練を実施したことがありますが、主催者側として一番神経を使うのは、訓練中にけが人を出さないことです その上で、いかにスムーズに建物内の人達を安全な場所に移動させるかです 今回のケースで、もし オジサンが主催者側の人間であると勘違いした参加者が、あわてて避難をして階段に躓いて大怪我をしたら、誰が責任をとるのでしょうか 現に、昨日ツイッターでこの件を呟いたら、ある方から「あのオジサンは劇場の人だと思ったのですが、違うんですか? 声が通り過ぎます」という返信が届きました とくに初参加の人の中にはこのように勘違いする人が少なくなかったと思います

自分が口にした言動がどのような影響を及ぼのすかをろくに考えもしないで、いかにも「正論」だと言わんばかりの発言をするのは、無責任極まりない態度と言わざるを得ません 訓練の趣旨が理解できず、あるいは理解しようともせず、勝手な言動で訓練を混乱させる者は参加すべきではないと思います 家で くっだらないワイドショーでも観てればいいのです

さて、肝心のオペラです 出演者は新国立劇場オペラ研修所の第20期から22期までの研修生でしたが、さすがに第20期生の一條翠葉、斉藤真歩、野町知弘、濱松孝行、平野柚香といったメンバーは力を付けて安定感が出てきたと思います とくに、ヴェルディ「椿姫」より「不思議だわ・・・花から花へ」を歌った平野柚香さんは高音部も難なくクリアして魅力のある歌唱力を発揮しました また、「平城山」を歌った野町知弘君は声が良く通り、日本の歌の良さを再認識させてくれました 全体を通して個人的な感想を言うと、出演者がどうのという前に、モーツアルトのオペラはアンサンブルが素晴らしいな、ということです オッフェンバックの二重唱も良かったです

最前列の例のオジサン、最後の「シャンパンの歌」が終わると 盛んに「ブラボー」を連発していました オペラはブラボーだったけど、あんたはベラボー野郎だ  おっと、避難体験コンサートが、非難体験コンサートになっちまった   反省 反省

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マーティン・キャンベル監督、ジャッキー・チェン主演「ザ・フォーリナー/復讐者」、ハンス・ペテル・モランド監督、リーアム・ニーソン主演「スノー・ロワイヤル」を観る ~ ドヴォルザーク「アメリカ」も流れる

2019年09月18日 07時16分56秒 | 日記

18日(水)。わが家に来てから今日で1690日目を迎え、トランプ米大統領は9月上旬に米東部に接近したハリケーン・ドリアンに関して、ツイッターで、上陸が予報されたフロリダ州などに加え、西側に位置するアラバマ州も「直撃して予想以上の被害が出そうだ」と警告したが、当時はアラバマ州で被害が出るとは予想されていなかった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     いつからトランプは気象予報士になったんだ?  天気予報までフェイクを流すとは

 

         

 

昨日、夕食に「ラタトゥイユ」と「ベーコンとキャベツのスープ」を作りました 「ラタトゥイユ」の材料は、トマト、ナス、ズッキーニ、赤パプリカ、黄パプリカ、ピーマン、玉ねぎ、ニンニクです 塩を若干入れ過ぎて失敗した前回の反省に立って作ったので、美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で「ザ・フォーリナー/復讐者」と「スノー・ロワイヤル」の2本立てを観ました

「ザ・フォーリナー/復讐者」はマーティン・キャンベル監督による2017年イギリス・中国・アメリカ合作映画(114分)です

クァン・ノク・ミン(ジャッキー・チェン)は、現在はロンドンでチャイニーズ・レストランのオーナーとしてつつましく暮らしていた そんなある日、高校生の愛娘ファンの送迎中、政治的な無差別テロによる爆発に巻き込まれ、ファンが命を落としてしまう その後、北アイルランド解放を謳う過激派組織が犯行声明を出す。静かな怒りに燃えるクァンは、犯人を探すうちに、かつて過激派組織の活動家で現在 北アイルランド副首相を務めるリーアム・ヘネシー(ピアース・プロスナン)の存在に辿り着く。クァンはリーアムに面会し 誰がテロの実行犯か教えろと執拗に迫るが、リーアムは無関係を主張する   しかし、ベトナム戦争時代にアメリカの特殊部隊に所属していた優秀な工作員だったクァンは簡単には諦めず、リーアムの周囲に爆弾をしかけて脅しをかけ、じわじわと彼を追い込んでいく


     

 

若き日のジャッキー・チェンしか知らないので、この映画を観て、彼も随分 歳をとったものだなあと思いました   しかし、1954年生まれの60代にも関わらず 手に汗握る俊敏なアクションは健在です ヘネシー役のピアース・ブロスナンは5代目ジェームス・ボンドを演じたそうですが、何となくスピルバーグ監督に似ているな、と思いました 

この映画を観終わって、北アイルランドといえば、ブレグジット(英国のECからの離脱問題)の行方はどうなるんだろう、と漠然と思いました


         


「スノー・ロワイヤル」はハンス・ペテル・モランド監督による2019年アメリカ映画(119分)です

雪深い静かな田舎町キーホーで除雪作業員をしているネルズ・コックスマン(リーアム・ニーソン)は模範市民賞を受賞するほど真面目に穏やかな暮らしを送っていた しかし、ネルズの一人息子が麻薬の過剰摂取に偽装され、殺されてしまったことからネルズの態度は一変する 地元の麻薬王バイキング(トム・ベイトマン)の組織に息子が殺されたことを突き止めたネルズは、素手や銃、さらには除雪車で、麻薬組織の人間を一人一人殺していく しかし、ネルズの復讐劇を敵対する麻薬組織によるものと勘違いしたバイキングは敵対組織を襲撃する 相手もその報復に乗り出し、ネルズの復讐劇は2つのマフィア、さらに警察も巻き込んだ戦いへと突入する

 

     

 

面白かったのはバイキングの息子です 強そうな麻薬王の息子なのに、学校でいじめを受けているのです 父親バイキングが「やられたら、やり返せ」とハッパをかけると、「それじゃあ、相手と同じになっちゃうよ」と答えるのです 何なんでしょうか、このガンジー的な無抵抗主義思想は これはまるで、先日読んだ中山七里の「秋山善吉工務店」の善吉じいさんの教えそのものです

また、息子はクラシックが好きで、ラジオから音楽が流れてきた時にバイキングの配下の男が「いい音楽ですね。これモーツアルトですかね?」と訊くと、息子は「数学的な音楽だからバッハだよ」と答えます。実に本質を突いています また、ネルズが”目には目を”ということで、バイキングの息子を誘拐して自宅に拉致するのですが、ラジオからロックが流れてくると「クラシックがいい」と言って、別のチャンネルから流れてくるドヴォルザークの「弦楽四重奏曲第12番”アメリカ”」の第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」に耳を傾けます いかにもアメリカ映画らしいと思います また、別のシーンでは、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第8番”悲愴”」の第2楽章「アダージョ・カンタービレ」がポピュラー風にアレンジされて流れていました 結構、ハンス・ペテル・モランドという監督はクラシックが好きなのかもしれません

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小林正樹監督・仲代達矢主演「切腹」を観る ~ 橋本忍の素晴らしい脚本と「ノヴェンバー・ステップス」につながる武満徹の音楽が冴える

2019年09月16日 21時05分04秒 | 日記

17日(火)。昨日午後、映画を観終わって家に帰ると、モコタロの姿が見えません わが家ではモコタロは放し飼いにしているので、どこに行っても不思議ではないのですが、どこを探しても見つかりません 「モコタロ、どこにいる?」と呼んでも、返事がない 無理もありません、モコタロは日本語が解りません ひょっとして急に具合が悪くなって、娘が動物病院に連れて行ったのかな・・と思いましたが、病院に連れて行く時にモコタロを運ぶキャリーバッグが居間に残されています 不思議なこともあるものだな?? と思って、娘にメールして「モコタロが見あたりません。心当たりはないですか?」と尋ねると、1時間後に返信があり「ベッドの下だと思われます」とのこと   娘のベッドの下のスペースに並べてある4つの収納ボックスを次々とどけていくと、奥からモコタロが「何ごとですか?」という表情で ひょっこり顔を出しました どうやら収納ボックスの狭い隙間から奥に潜り込んで じっとしていたようでした ウサギに限らず小動物って狭い所が好きですね ベッドの下がフンだらけだったので(フンガイしました!)掃除機できれいにして、収納ボックスとペットボトルで隙間が出来ないように塞いでおきました これで二度と捜索願いを出すことはないと思いますが、それにつけても人騒がせなモコタロです

ということで、わが家に来てから今日で1689日目を迎え、18金で作られた「黄金のトイレ」が14日未明、英国の世界遺産でチャーチル元首相の生家のブレナム宮殿から盗まれ、犯人は逮捕されたが トイレはまだ見つかっていない というニュースを見て 当事者に成り代わってセリフを語るモコタロです

 

     

      逮捕された男:ウンが悪かった。宮殿責任者:とても水に流せない話だ  金は重いし

 

         

 

昨日、夕食に「ポーク クリーム シチュー」と「生野菜サラダ」を作りました 最近、朝夕涼しくなってきたのでシチューにしましたが、美味しさにお代わりしたので 汗をかきました

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で小林正樹監督・橋本忍脚本による1962年松竹映画「切腹」(白黒・131分)を観ました

時は寛永7年10月、井伊家上屋敷に津雲半四郎(仲代達矢)と名乗る浪人が訪れた 「切腹のためお庭を拝借したい」という申し出に、家老・斎藤勘解由(三國連太郎)は、春先に同じ要件で来た千々岩求女(石濱朗)と名乗る男の話をするーー窮迫した浪人者が切腹すると称して何がしかの金品を得て帰る最近の流行を苦々しく思っていた勘解由が、切腹の場をしつらえてやると、求女は「一両日待ってくれ」と狼狽したうえ、竹光の刀で腹を斬り 悶えながら、舌を噛み切って無残な最期を遂げたーーと 静かに聞き終わった半四郎は語り出すーー求女は半四郎の娘・美保(岩下志麻)の婿で、主君に殉死した親友の忘れ形見でもあった。孫も生まれてささやかながらも幸せな日々を送っていた矢先、美保が胸を病み、孫が高熱を出した 赤貧洗うが如き浪人生活で、薬を買う金もなく、武士の魂でもある刀まで手放して生活費に充てたが、それも底をつき、思い余った求女が窮余の行動に出たのだ そんな求女にせめて待たねばならぬ理由くらい聞いてやるいたわりの心が家老にはなかったのか。武士の面目などとは表面だけを飾るものではないかー半四郎はそう言って勘解由に詰め寄った。そして、井伊家の剣客揃いの家風を誇る居丈高の勘解由に、半四郎はやおら懐中から髷(まげ)を3つ取り出した 髪に付けられた名の3人は求女に切腹を強要した者たちで、先ほど半四郎が介錯を頼んだ際、病気と称して現れなかった井伊家きっての剣客たちだった 半四郎は井伊家に来る前に3人を一人一人斬りつけ、2人は生かして髷だけを斬り落とし、神道無念一流の達人・沢潟彦九郎(丹波哲郎)は決闘の末、自害したのだった それを聞いた家老は逆上し、家臣に半四郎を斬るよう命じた。大立ち回りの上、半四郎は4人を死に至らしめ、8人に大怪我を負わせたうえ、鉄砲で撃ち取られた 勘解由は幕府に対しては事実を隠し、「半四郎は切腹、他の者はいずれも病死したこととする」という処置をとり、何事もなかったように振る舞った これにより、金品目当てに切腹を申し出ても、金品は与えず実際に切腹させるという井伊家の武勇は、武家の手本として江戸中に響き渡り、老中からも賞賛の言葉が贈られたのだった

 

     

 

この映画を観て、まず最初に素晴らしいと思ったのは橋本忍の脚本です 津雲半四郎が井伊家の庭で切腹に及ぶまで、どこまで話を引っ張るのか、と思うほどこれまでの経緯を語らせます 現在と過去を織り交ぜながらストーリーを展開していく手法は、橋本忍も関わった黒澤明監督「羅生門」に通じるところがあります 先日観た 勝新太郎の「座頭市」では戦国時代、行き場を失った武士たちが路頭に迷い、用心棒として雇われることで生き残りを図る姿が描かれていましたが、この映画では、浪人となった武士が切腹を材料にして金品を稼いで生き残りを図る姿が描かれています どちらもそのような時代背景があってこそ成り立つストーリーです

時代劇なので、刀を持っての立ち回りが見られますが、半四郎と彦九郎の決闘シーンは、竹光ではなく真剣で対峙したそうです 文字通り”真剣勝負”です。「座頭市」のリハーサル中に真剣による死亡事故が起こったことを思い出すと、”あの時代”だからできたのであって、今の時代では あり得ないだろうと思います

半四郎の言う「武士の面目などとは表面だけを飾るものではないか」というのがこの映画のテーマです 要は”お家大事”であり”藩の存続が第一”であって、武士道などは建前に過ぎないお飾りなのです。半四郎から見れば、切腹など ちゃんちゃらおかしい制度 なのだと思います

ところで、この映画の音楽を担当しているのは武満徹です 武満らしい 琵琶と尺八を使った独特の表現で武士の世界を彩っていますが、この音楽は武満が映画で初めて邦楽を扱った作品です その後、彼は1967年に琵琶と尺八とオーケストラのための『ノヴェンバー・ステップス』を作曲し、同年11月9日、小澤征爾指揮ニューヨーク・フィルによって初演され、武満徹の名前を世界に轟かせることになります

この映画で、千々岩求女が真剣でなく竹光で切腹したことから、「切腹も竹光、音楽も武満」というジョークが流行ったそうです 竹光は切れが良くありませんが、武満は切れの良い音楽を書いています

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パーヴォ・ヤルヴィ ✕ ジョシュア・ベル ✕ NHK交響楽団でヴィエニャフスキ「ヴァイオリン協奏曲第2番」、ルトスワフスキ「管弦楽のための協奏曲」他を聴く ~ N響9月A定期

2019年09月16日 07時10分03秒 | 日記

16日(月)。わが家に来てから今日で1688日目を迎え、愛知県内の東名高速道路を走行中の乗用車が後続のワゴン車にあおられ エアガンで撃たれた事件で、愛知県警は14日、無職のS容疑者を器物損壊の疑いで逮捕したが、容疑を認め、「前の車がどいてくれず、ブレーキを踏まれて腹が立って撃った」と供述しているというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     エアガンをいつも携帯している事実が判明してしまった 心象悪いことこの上なし

 

         

 

昨日、NHKホールでNHK交響楽団第1918回定期演奏会(A定期・2日目)を聴きました    2019‐2020シーズン第1回目のコンサートです 自席は前シーズンの1階右サイドから今シーズンの2階センター後方に移りました

この日のプログラムは日本・ポーランド国交樹立100周年記念事業として組まれたポーランド音楽特集です 曲目は①バツェヴィチ「弦楽オーケストラのための協奏曲」、②ヴィエニャフスキ「ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ短調 作品22」、③ルトスワフスキ「小組曲」、④同「管弦楽のための協奏曲」です 演奏は②のヴァイオリン独奏はジョシュア・ベル、指揮はパーヴォ・ヤルヴィです

 

     

 

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置。コンマスは”マロ”こと篠崎史紀氏です

1曲目はバツェヴィチ「弦楽オーケストラのための協奏曲」です この曲はポーランドの女性作曲家でヴァイオリニストのグラジナ・バツェビチ(1909-1969)が1948年に作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ヴィーヴォ」の3楽章から成ります 

この作品は独奏楽器群(ヴァイオリンとチェロ)と合奏群が対置される合奏協奏曲(コチェルト・グロッソ)の様式をとります 約15分ほどの小曲ですが、全体的な印象は、作曲者がヴァイオリニストだったことからか、非常に親しみやすいメロディーに溢れた音楽でした

2曲目はヴィエニャフスキ「ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ短調 作品22」です この曲はポーランドのヘンリク・ヴィエニャフスキ(1835-1880)が1856年から1862年にかけて作曲、1862年11月に作曲者自身のヴァイオリン独奏により初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アレグロ・コン・フォーコ~アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります

全体的に超絶技巧を要する難曲ですが、ジョシュア・ベルは苦も無く美しい音でクリアしていきます とくに良かったのは第2楽章「アンダンテ・ノン・トロッポ」です チェロのピツィカートに乗せて穏やかな旋律を奏でる独奏ヴァイオリンの演奏は、副題の「ロマンス」そのものです この曲を聴いて、曲想としてはサン=サーンスの「ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調」の第2楽章「アンダンティーノ・クァジ・アレグレット」によく似ているな、と思いました 第3楽章の速いパッセージの躍動感あふれる演奏を含め、ベルの演奏は鮮やかでした ソリスト・アンコールはありませんでした。見識です


     


プログラム後半の1曲目はルトスワフスキ「小組曲」です この曲はポーランドのヴィトルト・ルトスワフスキ(1913-1994)が1950年に作曲(1951年オーケストラ用に編曲)した作品です 依頼主の放送局が作曲者に求めたのは「ポーランドのフォークロアを用いた軽音楽的な作品」ということだったことから、全体的に軽快な音楽に仕上がっています 第1曲「笛」、第2曲「万歳ポルカ」、第3曲「歌」、第4曲「踊り」の4曲から成ります 第1曲「笛」では冒頭のピッコロが軽快そのものの演奏を展開 そうかと思ったら、直後にストラヴィンスキーの「春の祭典」ばりの強いリズムの音楽が出てきたりしてビックリさせます 全体的にはユーモアに溢れた軽い曲想で、楽しく聴けました

プログラム最後の曲はルトスワフスキ「管弦楽のための協奏曲」です この曲はルトスワフスキが、ワルシャワ・フィルの音楽監督・ロヴィツキの委嘱に基づき1950年から54年にかけて作曲、1954年11月にロヴィツキ指揮ワルシャワ・フィルにより初演されました 第1楽章「序奏」、第2楽章「夜の奇想曲とアリオーソ」、第3楽章「パッサカリア、トッカータとコラール」の3楽章から成りますが、コンチェルト・グロッソの様式が取り入れられています

第1楽章は冒頭、ティンパニの連打に乗って演奏されるチェロの主要旋律が印象的です 第2楽章、第3楽章とも最弱音と最強音との開きが大きいのが特徴で、第3楽章のフィナーレは圧巻でした 木管では池田昭子のコーラングレがしみじみ良い演奏を展開していました

「プーチンさん、北方領土をよろしく」と言いたくなるのを我慢して、パーヴォ・ヤルヴィに大きな拍手を送りました

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バッティストー二 ✕ 清水和音 ✕ 東京フィルでショパン「ピアノ協奏曲第1番」、ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」、ヴェルディ「運命の力」序曲を聴く

2019年09月15日 07時20分51秒 | 日記

15日(日)。昨日の朝日夕刊によると、ミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で、名古屋市出身の佐藤晴真さん(21)が優勝したとのことです 同コンクールは数あるコンクールの中でも最難関として知られており、チェロ部門での日本人の優勝は初めてのこと 佐藤さんは東京藝大付属高校2年で日本音楽コンクールのチェロ部門で1位を獲得 現在、ベルリン芸術大学で学んでいます。今年12月にデビューリサイタルを東京、名古屋などで開くそうですが、12月6日(金)午後7時から紀尾井ホールで開かれるリサイタルのチケットは残席僅少、すでにソルドアウトかも知れません

ということで、わが家に来てから今日で1687日目を迎え、韓国検察は14日チョ・グク法相の家族の不透明な資金運用疑惑が浮上している私募ファンドに絡み、チョ氏の遠い親戚にあたる30代の男を横領の容疑で逮捕した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     次々と外堀を埋められて 玉ねぎ男の正体が月明りの元に照らし出されると思うよ

 

         

 

昨日午後、文京シビックホールで「響きの森クラシック・シリーズ 第69回コンサート」を聴きました   プログラムは①ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲、②ショパン「ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11」、③ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」です ②のピアノ独奏=清水和音、管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団、指揮=アンドレア・バッティスト―二です

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東フィルの並び。コンマスは依田真宣。向かい側のヴィオラのトップは須田祥子です

1曲目はヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲です 「運命の力」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)がマリインスキー劇場の依頼で作曲し、1862年にペテルブルクの同劇場で初演された4幕8場からなる歌劇です オペラのストーリーは「スペインのカストラーヴァ侯爵の娘レオノーラはアルヴァ―ロと駆け落ちする寸前に父に見つかるが、ピストルが暴発して侯爵は死ぬ 仇を探す兄ドン・カルロはアルヴァ―ロとの決闘に倒れ、アルヴァ―ロはレオノーラも殺し、自らも命を絶つ」という内容です

バッティスト―二の指揮で演奏に入りますが、冒頭のブラスの引き締まった響きがこのオペラの悲劇性を暗示します バッティスト―二 ✕ 東京フィルは劇的な表現力で悲劇のオペラのエッセンスを歌い上げました

2曲目はショパン「ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11」です この曲はフレデリック・ショパン(1810-1849)が1830年に作曲し、ポーランドを去りウィーンに出発する同年の告別演奏会で 作曲者自身のピアノ独奏により初演されました 「ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調」より早くパリで出版されたため第1番と呼ばれています

第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「ロマンス:ラルゲット」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

清水和音がバッティスト―二とともに登場し、さっそく第1楽章に入ります ソリストの演奏は技巧的には優れているものの平面的なもので、物足りなさを感じます 第1楽章終盤における速いパッセージでは指のもつれか、演奏が乱れていました 第2楽章の緩徐楽章に入って清水らしい抒情的な演奏が聴かれましたが、第3楽章に入ると 特段 感慨の湧かない演奏に戻ってしまいました

ソリスト・アンコールはラフマニノフ作曲アール・ワイルド編曲「ヴォカリーズ」でした


     


プログラム後半はムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」です この曲はモデスト・ペトロヴィチ・ムソルグスキー(1839-1881)が1874年に、友人の画家ガルトマンの追悼展覧会で観た絵の印象をもとに書いたピアノ曲を、モーリス・ラヴェル(1875-1937)が1922年に管弦楽曲用に編曲したものです

「プロムナード」「第1曲:小人」「プロムナード」「第2曲:古城」「第3曲:テュイルリーの庭」「第4曲:ビドロ(牛車)」「プロムナード」「第5曲:卵の殻をつけた雛どりのバレエ」「第6曲:サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」「第7曲:リモージェの市場」「第8曲:カタコンベ」「第9曲:鶏の足の上に建つ小屋(バーバ・ヤガ-)」「第10曲:キエフの大門」から成ります

バッティスト―二の指揮で演奏に入ります   冒頭、トランペット独奏により「プロムナード」のテーマが演奏されますが、これが素晴らしかった 「第1曲:小人」ではグロテスクな雰囲気が良く出ていました 「第2曲:古城」ではサクソフォンが良い味を出していました 「第3曲:テュイルリーの庭」ではクラリネットとフルートが印象的な演奏を展開していました 「第4曲:ビドロ(牛車)」では、ユーフォニアムと低弦とのコラボが素晴らしかった 「第5曲:卵の殻をつけた雛どりの踊り」では弦のピッツィカートと管楽器とのアンサンブルが見事でした

「第6曲:サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」は、尊大な金持ち(弦楽器)と、彼にお金を求める貧しい人(ミュートを付けたトランペット)の様子を描いていますが、私には、代官「年貢はまだか!」、小作人「お代官様、勘弁してくだせえ。今しばらくお待ちくだせえ」と言っているように聴こえました 特にトランペットの悲痛な叫びが出色でした 「第7曲:リモージェの市場」は色彩感豊かな楽しい演奏でした 「第8曲:カタコンベ」ではブラスの厚い響きが印象に残りました 「第9曲:鶏の足の上に建つ小屋(バーバ・ヤガ-)」と「第10曲:キエフの大門」は、東京フィルの総力を結集した渾身のパフォーマンスで、文京シビックホールを揺るがす圧巻の演奏でした 特に「キエフの大門」における鐘の音は迫力満点で、耳をつんざく強力な音響でした

カーテンコールが繰り返され、バッティスト―二 ✕ 東京フィルはアンコールに応え、アブレウ「ティコ・ティコ・ノ・フバ」をノリノリで演奏、終盤ではバッティスト―二が聴衆に手拍子を求め、会場は にわかに視聴者参加型のコンサートに変貌を遂げました バッティスト―二も こういうパフォーマンスをやるんだな!と新鮮な驚きを感じながら帰宅の途につきました   なお「ティコ・ティコ・ノ・フバ」は、ブラジルのポピュラー音楽「ショーロ」のヒット曲で、「トウモロコシの粉をついばむ雀」という意味です いかにもそんな感じの軽快で踊りたくなるような曲です

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

武蔵野市民文化会館が低料金で海外オケを聴ける理由&チラシの効用 / 相場英雄著「トップリーグ」を読む ~ ロッキード事件をモデルにした新聞記者の苦悩の選択を描いた作品

2019年09月14日 07時18分49秒 | 日記

14日(土)。千葉県各地で台風15号の被害が報道されている中、千葉県勝浦市に住んでいる大学時代の友人S君のことが心配になり、一昨日の昼ごろメールで安否を尋ねたのですが、返信がありませんでした ひょっとして、電気がまだ復旧しておらず、スマホの充電さえもできないのではないか、と心配しました すると、昨日朝に返信が届き、S君の家と奧さんの実家には被害がなかったものの、市内の各地で大小の被害が出ていることが分かりました S君のメールによると、海岸線の住宅、倉庫、道路は大被害で、親類宅、友人宅、仕事でお世話になった家などで瓦が飛び、壁に穴が空き、窓ガラスが割れるなどの被害を被り、送電線が切れている所もあるとのことでした そうした中、東京電力のほか、東北電力、中部電力の車も駆けつけ復旧作業に尽力しているようです S君は地域の生活部長も担っていることから、独居生活者などの家を回って、買い物はないかなど、生活に不安がないように声掛けをしているそうです

私からは「思っていたよりも大変な状況に驚いている。つくづく自然災害は怖いと思う。地域のために頑張っているS君を誇らしく思う。こちらからは何もできないが、応援している」と応援メッセージを送っておきました 一日も早い全面復旧を祈るばかりです S君、頑張れ

ということで、わが家に来てから今日で1686日目を迎え、環境省と東京都は13日までに、東京湾・青海ふ頭(江東区)のコンテナヤード舗装の接ぎ目にたまった土中で、強い毒を持つ南米原産のヒアリの巣を発見し、約500匹を駆除したと発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       最初の発見者はヒヤリとしてハッとしただろうな これをヒアリハット認知という

 

         

 

昨日、約2週間ぶりに「鶏の唐揚げ」を作りました いつもの栗原はるみ先生のレシピです。ニンニクと削り節を醤油に漬け込んで冷蔵庫で冷やした「旨味醤油」で味付けしています あとは「卵スープ」と「冷奴」を作りました。どれもとても美味しかったです

 

     

     

 

         

 

12日(木)の朝日夕刊 社会面の「マダニャイ  とことこ散歩旅」が「三鷹通り① 武蔵野市民文化会館」を取り上げていました 見出しは「有名楽団  低料金で楽しめる」です 記事を超訳すると

「武蔵野市民文化会館は、自治体も運営に携わるホールだが、クラシックを中心に開かれるコンサートはファン垂涎の海外音楽家、有名楽団、しかも低料金という知る人ぞ知る施設だ 1984年開館で、地上5階 地下1階。客席は大ホールが1255席、小ホールが425席。年間70~80回の公演がある チケットは毎回、ほぼ完売 ホールの運営は武蔵野文化事業団。チケットの割引サービスがある『友の会』会員は6700人 有名楽団のチケットは都心のホールより2~3割安い ファンの間で『価格破壊』と呼ばれている なぜこんな料金設定ができるのか。海外の音楽家を招く時、施設は多くの場合、日本の音楽事務所を通じて打診するが、この事業団は1990年代から、海外事務所との直接交渉を始めた。事業課長の和田能さんによると、『日本に興味がある音楽家は多く、これから伸びるという若手を推薦してくれた 一度来れば、また来てくれる。蓄積が好循環を呼び、海外のネットワークが広がり、”武蔵野”が認知されるようになった』とのこと。楽団なら、平日の開催を依頼する。ほかのホールは休日中心のスケジュールを組む。ただ楽団側は平日を開けておくのは惜しい。『少し安いですが、うちでどうですか』と打診する。結果、公演料を低く出来るという仕組み。コンサートPRのチラシはすべて手作り

武蔵野の低料金の秘密が良く分かりますね。私も2度ほど海外オペラの来日公演を観に行ったことがあります R.シュトラウス「サロメ」とベッリーニ「ノルマ」です そのうちの一つ、ドイツ・ザクセン=アンハルト歌劇場による「サロメ」の来日公演(2001年11月3日・武蔵野市民文化会館)は、朝日新聞の「音楽評」はもちろんのこと、週刊新潮にも記事が載った珍しい公演でした。なぜか

 

     

 

サロメを歌ったのはカナダ生まれのフィンランド人で元ミス・カリフォルニアという異色の経歴の持ち主のエイラーナ・ラッパライネンです

2001年11月14日付の朝日新聞「音楽評」で、音楽評論家・白石深雪さんは次のように書いています

「ハイライトは、青白い月明かりを背中に浴びて、一糸まとわぬサロメが熱にうかされたように歌うラスト・シーンだろう。裸体で生首をかかえ、情欲に身を焦がす女の姿はさすがに不気味 やがて興奮が極まって接吻すると、月が赤く染まり、演出家はその瞬間にサロメのディオニソス的な開放を託す。しかし、大胆なヌードに目を凝らす観客にもたらす効果は弱い 人間的開放を目指すサロメ像を軸にした展開は不完全燃焼に終わった

一方、週刊新潮の2001年11月22日号「Arts」欄は、この公演を3回観たという音楽評論家・許光俊氏の次のようなコメントを載せています

「音楽はもちろん演劇的要素を重視するドイツ音楽劇の流れを汲んだバランスのよい演出でした 日本だと平気で手を抜く欧米の出演者もいるのですが、この主役は毎回熱演 ここまでやる必要があるのかと言われるかも知れませんが、終わりがないのが芸術でしょ

この2つの評からお分かりの通り、エイラーナ・ラッパライネンは一糸まとわぬ姿で「7つのヴェールの踊り」を踊ったのです 舞台上で演じられているサロメの踊りを観て、最初は「まさか」と思いましたが、どうも間違いなく何も着けていないので 文字通り身体を張った演技に度肝を抜かれると同時に、「オペラでそこまでやるか」というのが正直な感想でした


     


さて、話を戻します 武蔵野がどれほど安いか、一例を挙げてみましょう。10月~11月に来日する「トリエステ・ヴェルディ歌劇場」の来日公演「椿姫」の場合、11月2日(土)と4日(月・休)の公演(東京文化会館)はS席=29,000円、A席=24,000円ですが、10月28日(月)の武蔵野市民文化会館の公演はS席=16,000円、A席=13,000円となっており、45%も割安になっています

ただし、ここで注意する必要があります オペラの場合、会場によって出演者が異なる場合があるということです 上記の「椿姫」のケースでは、東京文化会館で歌う歌手は、ヴィオレッタ=マリナ・レべカ、アルフレッド=ラモン・ヴァルガス、ジェルモン=アルベルト・ガザーレといった有名な歌手陣ですが、武蔵野市民文化会館で歌うのは、ヴィオレッタ=ジェシカ・ヌッチオ、アルフレッド=ジュリオ・ペッリグラ、ジェルモン=イタロ・プロフェリーシェといった歌手陣です したがって、どうしてもマリナ・レべカのヴィオレッタや ラモン・ヴァルガスのアルフレッドが聴きたいという人は高くても東京文化会館の公演を選ぶべきでしょうし、「椿姫」が生で聴ければ歌手は誰でもよいという人は格安の武蔵野を選んだ方が良いでしょう

ところで、記事にもあるコンサートPRチラシは独特です よく見かけるキャッチフレーズは「サントリーホールなら30,000円、武蔵野なら24,000円!」という典型的な「比較広告」で、コンサートゴア―の間では有名です ざら紙のようなペラ1枚の白紙に激しいセールストークが躍っています 下の写真は手許に残しておいた7月の公演のチラシです。事業課長の和田さんも制作に関わっていると思われます

 

     

 

ところで、上に 武蔵野のチラシを「手元に残しておいた」と書きましたが、これには理由があります 私が武蔵野のチラシが好きな理由は、「ロマン、爆発、憂愁、爽快が凝縮‼」といった檄文的セールストークはもちろんのこと、裏に何も書かれていないところです 私はこれをパソコン用の「裏紙」として利用しています チラシの効用ですね したがって、光沢紙でなく コピー用紙のような白系のA4サイズで 裏が白紙のチラシであれば、武蔵野に限らず家に持ち帰ることにしています この種のチラシでは、読響が多いように思います

 

     

 

         

 

相場英雄著「トップリーグ」(ハルキ文庫)を読み終わりました 相場英雄は1967年新潟県生まれ。1989年に時事通信社に入社。2005年「デフォルト 債務不履行」で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー 2012年、BSE問題を題材にした「震える牛」がベストセラーとなる

 

     

 

「トップリーグ」とは、総理大臣や官房長官、与党幹部などに食い込んでディープな取材を続けるごく一部の記者を指す 中堅在京紙「大和新聞」の松岡直樹は、入社15年目にして経済部から政治部へ異動を命じられた。異動早々の記者会見で、想定問答にない質問を阪義家官房長官に浴びせたことをきっかけに、彼はあっという間にトップリーグ入りを果たす 一方、松岡と同期入社だった酒井祐治はある事情で大和新聞を辞め「週刊新時代」のエース記者として活躍している 酒井は、東京湾縁の埋立地で発見された金庫に入っていた1億5千万円の旧紙幣の出所を探るうち、1970年代に起きた昭和史に残る一大疑獄事件「クラスター事件」の闇献金に関連しているのではないか、と疑問を持つ 酒井は今も生きている議員の秘書を中心に取材を進め、この金の真相を究明していく。一方、トップリーグ入りを果たし阪官房長官と親しくなった松岡は、ライバルであり親友でもある酒井からのアドヴァイスをもとに真相を探っていく ついに松岡は1億5千万円の真相を突き止めるが、それを公表すると政権がひっくり返ることから、芦原首相と阪官房長官から、「公表するか、公表しない代わりに別の大スクープ・ネタをもらいトップリーグとして居続けるか」の選択を迫られる。松岡の結論はいかに

この小説の中で「クラスター事件」と呼ばれているのは、言うまでもなく「ロッキード事件」のことを指しています そして、芦原首相は安倍首相、阪官房長官は菅官房長官がモデルになっています

この小説を読んで、斬新だな と思ったのは松岡の家庭内の立ち位置です 彼にはフリーの編集者兼ライターの妻・藍子と2歳の娘・沙希がいます。娘が熱を出せば、松岡か藍子が病院に連れて行かなければならないし、長引けば仕事を休まなければならないという状況下にあります 松岡は政治部記者ということで、いつ何が起こるか分からないし、藍子も締め切りを抱えて仕事をしているので、二人とも沙希が病気になった時の状況に応じてどちらが面倒を看るかを決めることになります これまで私が読んできた新聞記者が登場する小説の主人公は、たいてい独身だったり、妻子がいても仕事に専念できる立場だったりで、育児を分担しながら記者を務めるというパターンの小説は読んだことがありません その意味では、「働き方改革」が喧伝される昨今の社会情勢を反映した斬新な小説だと思います

エピローグは、阪官房長官が、大和新聞の阿久津政治部長から芦原首相の元にもたらされた「松岡が出した結論」を聞きに行くシーンで終わっています したがって、松岡がどんな結論を出したのか、読者には分からないように書かれています 政権を転覆させる覚悟で「1億5千万円の真相」の記事を書くのか、あるいは事件は「なかったことにして」トップリーグの立場を続けるのか、読者は松岡の立場に立って考えを巡らせることになります。この辺の技法も巧みだと思います

とにかく読み始めたら止まらない面白さです。お薦めします

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フォン・シャオガン監督「芳華ーYouth」を観る ~ 文化大革命など激動の1970年代に生きた歌劇団・文工団の若者たちの物語:早稲田松竹

2019年09月13日 08時03分22秒 | 日記

13日(金)。昨日、内幸町のNPCビルで元の職場のOB会があり、出席しました 会の前に9階のNKC事務局を訪ね、久しぶりに当ブログの読者ゆえさんにお会いしました。最近体調を崩されて「コンサートで咳が出ないようにするのが大変」とのことでした。ゆえさん、お大事にしてください

OB会では冒頭、今年急逝されたKさんに黙とうを捧げました。Kさんは経理一筋で定年を迎えられ悠々自適の生活を送られていました。1年前のOB会でお会いしたときは、「先週ね、いつもの仲間と徹夜マージャンをやったのよ」と語り、とても90歳を迎えた人には見えない元気な姿を見せていたので、信じられない思いです  マージャンを覚えたての頃、よくご一緒させていただきました。Kさんはテンパるとすぐにそわそわして顔や態度に出るタイプなので分かり易い人でした 典型的なジャイアンツ・ファンで、巨人が勝った翌日はニコニコしていました タイガース・ファンの私が、阪神巨人戦で巨人が負けた時に、「巨人完封負け」など大きな見出しのスポーツ紙を、わざわざ買ってきて朝 Kさんの卓上に置いておくと、私の席にきて「これ、置いたのあなたでしょ」と新聞を突き付けました。私がニヤニヤしていると、「ホントに、あなたって性格悪いんだから、もう」と言って去っていきました。性格の悪さは今でも変わりませんが、あの時、Kさんはクレームを付けながらも嬉しそうに見えました というのは自己弁護ですが 何よりビックリしたのは、Kさんはいつもの仲間とマージャンをやっている最中に急死したということです 大三元をつもって興奮したのか、原因はわかりません。言い方は変かも知れませんが、理想的な死に方だと思います Kさんは今ごろあちらの世界で雀卓を囲んでいることでしょう。また振り込みましたね Kさん、やすらかにお休みください

会の冒頭のあいさつで新聞協会のN専務理事から新聞業界の現況について説明がありましたが、新聞発行部数が減少の一途をたどり、協会の会費分担金収入の元になる新聞社の一大収入源である販売収入が激減している一方で、販売収入と並ぶ2大収入源の一つだった広告収入も落ち込み、いまや「その他収入」を下回っているとのことでした これにはショックでした N専務をはじめ協会の職員の皆さんには頑張っていただきたいと思います。OBとしては何もできませんが、応援したいと思います

続く懇親会では1時間半飲んで、M氏、秋田から上京したS氏と3人でビルの地下1階の焼き鳥Oで二次会をやりました 途中で女性OBのMさんとSさんが加わり一緒に飲みました 烏龍ハイをしこたま飲みましたが、何の話をしたのか覚えていません その後、男3人で新橋駅ビル地下で烏龍ハイをしこたま飲みましたが、これまた何の話をしたのか覚えていません 今も頭がボーッとしています

 ということで、わが家に来てから今日で1685日目を迎え、英北部スコットランドの上級裁判所は11日、ジョンソン首相が10月から1か月にわたる議会閉鎖をきめたことについて「違法」との判断をくだした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                これで先行きはますます見通しが難しくなった  かつての大英帝国はどこへ行く?

 

         

 

昨日、夕食に「トマトと豚肉の重ね蒸し」を作りました 河野雅子先生のレシピですが、材料はトマト、豚ロース、エノキダケ、大葉で、味付けは塩コショウ、白ワイン、コンソメです 昨日は私が外食だったので娘のために作りました

 

     

 

         

 

早稲田松竹でフォン・シャオガン監督による2017年中国映画「芳華ーYouth」(135分)を観ました

舞台は文化大革命、毛沢東の死、中越戦争という激動の時代に揺れる1970年代の中国。17歳のシャオピン(ミャオ・ミャオ)は、ダンスの才能を認められ、歌や踊りで兵士たちを慰労し鼓舞する歌劇団・文工団に入団する 周囲と馴染めずにいる彼女の唯一の支えは模範兵のリウ・フォン(ホアン・シュエン)だった しかし、彼は別の女性・ディンディン(カン・ツァイニー)が好きだった 時代が大きく動く中、リウ・フォンは戦地に赴き片腕を無くし、シャオピンは野戦病院の看護婦となり 爆撃に会って精神の異常をきたす それから数年後、二人は再会を果たし戦友たちの墓参りをする

 

     

 

この映画では、毛沢東の大きな顔写真を背景に、文工団による「革命バレエ」とでもいうべきバレエが踊られますが、70年代の中国を良く表しています

リウ・フォンは カセットテープから流れるテレサ・テンの歌を聴いて、「この曲は僕の気持ちを表している」と言って、ディンディンに「好きだ」と告白するシーンがあります 曲名は分かりませんが、すごく良い曲だと思いました テレサ・テンは若者たちの微妙な心情を捉えた歌を数多く歌っています テレサ・テンは1953年1月29日台湾に生まれ 1995年5月8日に死去しています したがって彼女自身は台湾出身ですが、父母ともに中国の生まれです。私は彼女が死去した時に発売された追悼盤(CD2枚組)を持っていますが、「別れの予感」「時の流れに身をまかせ」「空港」「つぐない」などは聴いていると切なくなってきます

 もしも あなたと逢えずにいたら

 わたしは何を してたでしょうか

 平凡だけど 誰かを愛し

 普通の暮らし してたでしょうか

 時の流れに 身をまかせ

 あなた色に 染められ

 一度の人生それさえ 捨てることもかまわない

 だから お願い そばに置いてね

 いまはあなたしか 愛せない

(荒木とよひさ作詞・三木たかし作曲「時の流れに身をまかせ」より)

この映画は、テレサ・テンの歌う数々の名曲とともに思い出すのかも知れません

 

     

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チャン・イーモウ監督「初恋のきた道」 ~ チャン・ツィイーの可憐な表情を映像に残したくて撮ったのではないかと思われる映画:早稲田松竹 / ベストセラーの映画化~「蜜蜂と遠雷」

2019年09月12日 07時20分47秒 | 日記

12日(木)。わが家に来てから今日で1684日目を迎え、トランプ米大統領は10日、ジョン・ボルトン大統領補佐官(安全保障担当)を更迭したとツイッターで明らかにした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     そもそも誰が任命したのかを考えると トランプに人を見る目がないということだ

 

  昨日は娘も私も外食だったので、夕食作りはお休みしました  

 

         

 

昨日の朝日新聞夕刊「時代の栞」コーナーで「ベストセラーの映画化」を取り上げていました おもに石坂洋次郎著「青い山脈」を中心にベストセラー小説を映画化した作品を紹介していますが、「映画会社の都合だけでなく、作家の精神をリスペクトするようになった」作品として、2016年に刊行されて直木賞と本屋大賞を受賞し、今年10月に映画が公開予定の「蜜蜂と遠雷」を取り上げています この作品は、国際ピアノコンクールに挑む4人の若きピアノストの葛藤や成長を描いた恩田陸さんの青春群像小説です 担当プロデューサーの佐藤善宏氏は、恩田さんの意向をくみ、音楽をきちんと映像化するため、キャスティングや脚本づくり、カメラワークにこだわったとのことで、「時間をかけても原作とかけ離れたものにしたくなかった ベストセラーは周知されている分だけ、イメージと違うと失望されるリスクもある リスクを乗り越えて、作家も観客も満足できる作品を作り上げるのが作者の醍醐味」と語っています

「蜜蜂と遠雷」の出演者は松岡菜優、松坂桃季、森崎ウィン、鈴鹿央士 実際のピアノ演奏は河村尚子、福間洸太朗、金子三勇士、藤田真央 バックを務めるのは圓光寺雅彦指揮東京フィルです 10月4日の公開(東宝系)が楽しみです

 

     

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でチャン・イーモウ監督による2000年アメリカ・中国合作映画(89分)「初恋のきた道」を観ました

中国の美しい村。都会で働く青年は、父の訃報を聞いてこの村に戻って来た 母親は棺を車で運ぶのではなく 人々が担いで運ぶという伝統的な葬儀をしたいと言って周囲を困らせる あくまでも頑なな母親を見ながら、息子は村で初めての自由恋愛だったという父母のなれそめを回想する・・・都会からやってきた若い教師に恋をして、18歳の少女は想いを伝えようと手作り料理に恋心を込める しかし、時代の波が押し寄せ、教師は町に戻ってしまう。少女は町へと続く一本道で、彼が再び村に戻ると語っていた約束の日から、来る日も来る日も愛する人を待ち続ける その一途な想いは彼に通じ、やがて二人は結ばれる。母がこだわった葬儀の日、雪の舞う中、父親の多くの教え子たちが駆けつけ、代わる代わる棺を担いで一本道を歩くのだった


     

 

この映画は、最初から最後まで少女を演じたチャン・ツィイーの可憐な笑顔がアップで現れます 巨匠チャン・イーモウ監督は彼女の可憐な表情を映像に残したくてこの映画を撮ったのではないかとさえ思えます 教師が馬車で町に帰ると聞いた少女は手作りの餃子を食べてもらおうと、馬車を追って走りに走る。しかし途中で彼女は転び餃子は散乱し、馬車は行ってしまう。その時の悲しい顔 そして、彼からもらった「髪留め」をどこかで落としたことに気が付く。その時のガッカリした顔 彼を追いかけた道を何日も辿って探す。それを発見した時の喜びの顔 そのすべてが、魅力に満ちています この映画はチャン・ツィイーの映画デビュー作品ですが、第50回ベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いています

冒頭は 息子が故郷に帰るシーンですが、年老いた母はモノクロ映像で撮られています これが、息子の回想シーンになると一転 カラー映像になり18歳の時の母親が現われます    普通の監督なら、過去のシーンをモノクロで、現代のシーンをカラーで表現するところでしょう   この辺の手法はさすがは世界の巨匠チャン・イーモウだと思います

この映画を観終わって思ったのは、これほどの純愛は SNSが当たり前の現代の中国、あるいは日本にあるのだろうか? ということ そして、誰にも若く輝いていた青春時代はあったし、誰もが平等に歳をとっていく、という当たり前の事実でした

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

喜劇役者ローレル&ハーディを描いた「僕たちのラストステージ」、ピエール・ルメートル原作「天国でまた会おう」を観る~ギンレイホール

2019年09月11日 07時17分48秒 | 日記

11日(水)。わが家に来てから今日で1683日目を迎え、英国の欧州連合(EU)からの離脱を巡り、10月末の離脱強行を辞さないジョンソン政権から 閣外相の実弟に続きラッド労働・年金相も辞任するなど離反者が相次ぐ中、英国の議会下院は10日未明、ジョンソン政権が提出した解散総選挙を求める動議を、4日に続いて再び否決した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     英国がEUを離脱する前に ジョンソン政権から閣僚が全員離脱しちゃうんじゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「筑前煮」「生野菜サラダ」「冷奴」を作りました 筑前煮はキヌサヤが売り切れだったので省略しました フライパンで作りましたが、とても美味しかったです 冷奴にはミョウガ、めかぶ、オクラ、削り節が載っています

     

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで「僕たちのラストステージ」と「天国でまた会おう」の2本立てを観ました

「僕たちのラストステージ」はジョン・S・ベアード監督による2018年イギリス・カナダ・アメリカ合作映画(98分)です

スタン・ローレル(スティーヴ・クーガン)とオリヴァー・ハーディ(ジョン・C・ライリー)は、「ローレル&ハーディ」というお笑いコンビ 1920年代後半から1930年代にかけて、2人はハリウッドのサイレントからトーキーの時代にかけて黄金時代を築き上げたが、ハル・ローチと決裂してから徐々に落ち目になっていった 1953年、イギリスでライブツアーを行うことになった2人にとって、ツアーは復活を賭けた最後の大勝負だった 2人は経済的にも苦しい状態にあったが、芸の腕前はまったく衰えておらず、ツアーはイギリス各地で大成功を収め かつての人気を取り戻せるかに見えたが、その矢先 オリヴァーに病魔が襲いかかった   それでも、オリヴァーは病を押して出演し、二人は最後のステージを飾る


     

 

「人を泣かせるのは簡単だが、笑わせるのは難しい」とはよく言われる言葉ですが、この映画は、表で人を笑わせるために裏でどんな苦労を抱え、努力をしているかが描かれています いつも二人で行動しているので、お互いの性格は良く分かっているとは言え、うまくいく時ばかりではないし、お互いに罵り合うこともある それでも様々な困難をユーモアをもって乗り越えていく二人に「笑いのプロフェッショナル」を感じます

本編上映後に、「ローレル&ハーディ特選ギャグ集」(モノクロ・約4分)が上映されましたが、ハーディを演じたジョン・C・ライリーが本人とそっくりだったのには驚きました 彼らの笑いの本質はチャーリー・チャップリンに近いのかな、と思いました

そういえば、前日 新文芸坐で観たベルトルッチ監督「暗殺の森」の中で、ダンス会場となる建物のガラス戸に「ローレル&ハーディ」の顔写真入りポスターが貼られていたのを思い出しました 2つの映画は同じ時代を扱っていることが分かります


     


         


「天国でまた会おう」はアルベール・デュポンデル監督・出演による2017年フランス映画(117分)です

第一次世界大戦の終結目前の頃、仏軍のブラデル中尉からの不条理な攻撃命令に従ったエドゥアール(ナウエル・ぺレーズ・ビスカヤ―ト)は、小心者の簿記係アルベール(アルベール・デュポンデル)の命を助け、顔に重傷を負ってしまう 良家の御曹司で絵の才能のあるエドゥアールは父親には会いたくないと言い、戦死したこととして別の名前を名乗ることにする。そんな彼をアルベールは助ける 戦後、パリに戻った二人は貧しい共同生活を始めるが、そんな折、かつて彼らの上官だったブラデルがエドゥアールの姉と結婚したうえ財を築いていたことを知る。2人は、不公正な世間に抗議するためある壮大な詐欺計画を立てて実行に移す

 

     

 

「天国でまた会おう」は3月17日に日比谷のTOHOシネマズ・シャンテで観て以来2度目です

アルベールを演じたアルベール・デュポンデル監督がピエール・ルメートルの原作との違いを際立たせたのは、冒頭とラストのシーンです 映画ではアルベールがどこかの国の警察署のような所で尋問を受け、過去に起こったことを回想するという形でストーリーが展開します

ピエール・ルメートルの原作(ハヤカワ文庫、上・下巻)については、2015年12月22日のtoraブログでご紹介しています また、原作と映画の違いの詳細については今年3月18日のtoraブログに書きましたので、ご覧いただければと思います

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする