「君が、歯科界・歯科業界で力あるジャーナリストを目指すなら、バックボーンを持ちなよ」
巣鴨の寿司店「蛇の目」で美味しい寿司をご馳走になった時、歯科企業の中で傑出している人物と目されていた村上富治が小峰徹に言った。
その一言が深く心に残った。
ある意味で胸に刺さった刃のようなものであった。
学生時代の彼は、作家の夏目漱石を崇拝し、モラルバックボーンを志向していた。
だが4年間、恋慕っていた女性から「辛辣なことを言うようだけど、あなたは堕落しているようなのね。あなたの詩を読んだ私の姉が言うの。姉は私より詩が分かっているので、姉の指摘を信じるわ」とぐさりと言われてしまった。
彼女の父親の葬儀の時に、彼女以上に美しい彼女の姉が焼香者たちに丁寧に頭を下げていた姿が浮かんできた。
和装の喪服姿のその人は怜悧な目線を真直ぐに徹にも向けた。
太田幸恵は常に寡黙で伏し目がちの人であったが、彼女の姉は凛として気丈夫に応対していた。
母を8歳で亡くした3人姉妹の長女の姿に改めて彼は瞠目した。
<詩が不本意にも、あらぬ誤解を生んでしまった>
詩に託した[心の表現・恋心の表出]
何と理不尽なのか!
徹は詩から決別するとともに、漱石からドストエフスキーへ傾倒していったのだ。
桜の季節は、徹にとって苦い思い出にもつながっていた。




巣鴨の寿司店「蛇の目」で美味しい寿司をご馳走になった時、歯科企業の中で傑出している人物と目されていた村上富治が小峰徹に言った。
その一言が深く心に残った。
ある意味で胸に刺さった刃のようなものであった。
学生時代の彼は、作家の夏目漱石を崇拝し、モラルバックボーンを志向していた。
だが4年間、恋慕っていた女性から「辛辣なことを言うようだけど、あなたは堕落しているようなのね。あなたの詩を読んだ私の姉が言うの。姉は私より詩が分かっているので、姉の指摘を信じるわ」とぐさりと言われてしまった。
彼女の父親の葬儀の時に、彼女以上に美しい彼女の姉が焼香者たちに丁寧に頭を下げていた姿が浮かんできた。
和装の喪服姿のその人は怜悧な目線を真直ぐに徹にも向けた。
太田幸恵は常に寡黙で伏し目がちの人であったが、彼女の姉は凛として気丈夫に応対していた。
母を8歳で亡くした3人姉妹の長女の姿に改めて彼は瞠目した。
<詩が不本意にも、あらぬ誤解を生んでしまった>
詩に託した[心の表現・恋心の表出]
何と理不尽なのか!
徹は詩から決別するとともに、漱石からドストエフスキーへ傾倒していったのだ。
桜の季節は、徹にとって苦い思い出にもつながっていた。





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