秋分の日となりましたね。日本でも少しは秋っぽくなっているのでしょうか?こちらでは、先週の半ばから急に気温が低くなり、北部では雪も舞ったそうですし、レイキャビクでも朝方は五、六度くらいまで下がっています。
シャツはまだ半袖ですが、ジャケットの上に羽織るのはウィンドブレーカーから、ユニクロで買った薄めのダウンに変えました。冬に向けての第一歩です。
さて、今回は、前回途中で終わりになった、ワタシのオフィスの引っ越しの顛末の続きです。しょうもない話しですみません。それでもアイスランドっぽいところがあると思いますので、ご容赦を。
ブレイズホルトゥス教会 森の中のように見えますが実際は繁華地域の一角
私のオフィスの引っ越し案には、受け入れ先のブレイズホルトゥス教会は諸手を挙げて賛成してくれました。入る部屋がない、という現実をどう打開するかという具体案はないままに。
資産のある教会ならともかく、このブレイズホルトゥス教会は借金こそないものの、運営資金不足が慢性化している「金欠」教会です。オフィスの建て増しなどはもってのほか。
しかも、車椅子の利用者用に、上下の階を結ぶリフトを付ける計画がすでに始まっており、これで必要な二百万クローネをカンパしている最中。
それでも私には多少の案がありました。四月に故郷の八王子へ戻った際、知り合いの素敵なご婦人に「コンテナで作ったカフェレストラン」へ連れて行ってもらいました。コンテナベースとは思えない洒落たカフェで「ホホー」と感心させられました。
それが頭の隅にあったので、「コンテナのオフィスをレンタルしては?」と考えたのです。半分冗談で言ったのですが、意外と受けが良く、詳細を詰めることになりました。コンテナ利用のオフィスや簡易住宅は、こちらでも病院や学校など、ある分野ではかなり普及しているようです。
いい線行っていたのですが、思わぬ横槍が入ったのは、思慮深い長老がいる教会役員会から。「トシキ、ここには他に三人牧師がいて、彼らはちゃんと教会内のオフィスに入っている。
そこへ、『移民のための牧師』だけが、建物に並べて置いたコンテナのオフィスに入ったとしたら、周りからどんなに見えるか、心配になるのですよ」
... シーン... なるほど。確かに。周りからは移民牧師を虐げているように見えるでしょうね... 昨今のマスコミは、とにかく教会のすることをすべて悪意に解釈して(というよりは話を捻じ曲げて)報道する「ポリシー」を持っているので、これはあながち理由のないことでもないのです。
十年前なら、私自身小躍りしてそのようなことを取り上げ、「これぞアイスランド社会の中のオブラートに包んだ移民差別!」とか糾弾していたに違いありません。やっぱり、過去に放った矢は向きを変えて自分に向かって飛んできました。まいったな...
加えて、コンテナのリースは、リース料金はそれほどではないものの、運んでくる運賃が非常に高くつくことが判明。撃沈となりました。
内部はこのように木張りの落ち着いた雰囲気
結局、キッチンに隣接する小ホールの一角を、新たに壁を作って区切り、ドアも付けることでオフィスとすることになりました。それだけでもお金はかかるのですが、国民教会全体のシステムの中での援助金に申請を出すことで、一応収まりました。
で、大工さんが教会へ資材を運んできたのが、九月の七日の金曜日の昼前でした。たまたま行き合わせたので、良く覚えています。そういう大工仕事だから、まあ、早くて一ヶ月はかかるでしょうし、だいたい何だかんだで遅れが生じるものだから、「クリスマス前に引っ越すくらいかな?」と算段を立てました。
ところが、翌々日の日曜日の午後、教会へ来てみると、もう壁の大半は出来上がっている。その翌々日には壁のペンキを塗り始め、水曜の夕方にはドアも付き、天井の電灯をホールとは異なる洒落たものに変えていました。早ッ!! 完成目前。
私は慌てて、自分のヒャットラ教会の現オフィスへ戻り、引っ越しの準備を始めました。ラッキーだったのか、日頃の心がけが良かったからか、ヒャットラ教会に来たばかりの新しいオルガニストの女性は、デンマーク暮らしから戻って来たばかりの人で、そのために使った引っ越し用の空き箱がたくさん。
「使ってよろしいか?」と丁寧に頼むと、厄介払いとばかりに喜んで空き箱を提供してくれました。余談ですが、このオルガニストさん、結構カワユイ女性で、行き違いになってしまうのがチョット残念ではあります。
引っ越しといっても、デスクとか本棚のような大きな家具は、そのオフィスの備品だったので、パッキングは一日で終了。それをカッコいい我がマツダCX-3に積んで、三、四回往復して荷物の搬入を完了。
閑静な住宅街にあるヒャットラ教会から、幹線道路を横切り、バスセンターやスーパー、病院等が入っているモールのある区域のブレイズホルトゥス教会へは、車なら五分の距離です。何度でも行ったり来たりができるので、気楽な引っ越しではあります。
ブレイズホルトゥス教会とは?こちらも
これも余談ですが、この引っ越しの「気楽さ」はアイスランドでは非常に一般的です。レイキャビク界隈の引っ越しなど、すべてその「お隣へ引っ越し」の範疇に入りますから。日本でのような「一回ですべて運ばねば」という緊張感がないのが通常です。引っ越し当日に冷蔵庫の中がそのままだったりすることすら。(経験しました)
荷物の搬入はしたものの、新「マイオフィス」にはデスクも本棚もありません。これらの大きな家具は、監督のオフィスがある教会(本部)事務局から払い下げ品をいただくことになっていました。末端牧師はそんなものです。
ところが、やっと届いたデスクが大き過ぎて、また別のデスクをトライしたりと、いろいろ引っ越しに付き物のすったもんだをするはめになり、ようやく先週の金曜日に、一段落しました。正直言って、疲れた。
ですが、まだ終わってはいません。デスク用の椅子が届いてないし、デスクそのものも不安定で質が悪く、また別のものを探さなくてはなりません。装飾品もまだこれからです。それでも「一応、居場所ができた」という点では、安心できました。
実はこのブレイズホルトゥス教会、写真を見ていただければわかるように、西部劇で見るネイティブアメリカンのテントのような、円錐形の建物なのです。あるいは映画の「ジュラシック・ワールド」で出てきたパビリオンかも?
ジュラシック・ワールドのパビリオン
ですから、内部のオフィスなども、部屋としては当然のように思われている「四角形」のものがありません。なんというか、丸くて芯がないバームクーヘンを八等分して切った時のように、カーブした部分のある部屋が多いのです。
当然、それに合わせてデスクや棚を配置しなくてはいけないので、多少やりにくい点があります。マイ・ニューオフィスもいびつな変な形をしています。それに、荷物を並べて見て実感したのは、やはりヒャットラ教会の前オフィスよりは一回り小さいようです。不必要なものは物置行きにしないと。
一応片付いたニューオフィス
まあ、これから先はのんびりとアレンジしていきます。建物としての教会というのは、デザインがいいとか悪いとか、また管理が行き届いているかどうか等々とは別に、自分にぴったりくるかこないか、なんていう面もあるのです。
その最後の点で、私はこのブレイズホルトゥス教会はお気入りの教会なのでした。ですから、ここにオフィスを持てるのはHappy!ということなのでした。
これが最後のオフィスになる可能性大ですからね。豪華なオフィスではありませんが、お気に入りのところへ来れたのはありがたいことです。これからここをMy Spaceにしていきます。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
シャツはまだ半袖ですが、ジャケットの上に羽織るのはウィンドブレーカーから、ユニクロで買った薄めのダウンに変えました。冬に向けての第一歩です。
さて、今回は、前回途中で終わりになった、ワタシのオフィスの引っ越しの顛末の続きです。しょうもない話しですみません。それでもアイスランドっぽいところがあると思いますので、ご容赦を。
ブレイズホルトゥス教会 森の中のように見えますが実際は繁華地域の一角
私のオフィスの引っ越し案には、受け入れ先のブレイズホルトゥス教会は諸手を挙げて賛成してくれました。入る部屋がない、という現実をどう打開するかという具体案はないままに。
資産のある教会ならともかく、このブレイズホルトゥス教会は借金こそないものの、運営資金不足が慢性化している「金欠」教会です。オフィスの建て増しなどはもってのほか。
しかも、車椅子の利用者用に、上下の階を結ぶリフトを付ける計画がすでに始まっており、これで必要な二百万クローネをカンパしている最中。
それでも私には多少の案がありました。四月に故郷の八王子へ戻った際、知り合いの素敵なご婦人に「コンテナで作ったカフェレストラン」へ連れて行ってもらいました。コンテナベースとは思えない洒落たカフェで「ホホー」と感心させられました。
それが頭の隅にあったので、「コンテナのオフィスをレンタルしては?」と考えたのです。半分冗談で言ったのですが、意外と受けが良く、詳細を詰めることになりました。コンテナ利用のオフィスや簡易住宅は、こちらでも病院や学校など、ある分野ではかなり普及しているようです。
いい線行っていたのですが、思わぬ横槍が入ったのは、思慮深い長老がいる教会役員会から。「トシキ、ここには他に三人牧師がいて、彼らはちゃんと教会内のオフィスに入っている。
そこへ、『移民のための牧師』だけが、建物に並べて置いたコンテナのオフィスに入ったとしたら、周りからどんなに見えるか、心配になるのですよ」
... シーン... なるほど。確かに。周りからは移民牧師を虐げているように見えるでしょうね... 昨今のマスコミは、とにかく教会のすることをすべて悪意に解釈して(というよりは話を捻じ曲げて)報道する「ポリシー」を持っているので、これはあながち理由のないことでもないのです。
十年前なら、私自身小躍りしてそのようなことを取り上げ、「これぞアイスランド社会の中のオブラートに包んだ移民差別!」とか糾弾していたに違いありません。やっぱり、過去に放った矢は向きを変えて自分に向かって飛んできました。まいったな...
加えて、コンテナのリースは、リース料金はそれほどではないものの、運んでくる運賃が非常に高くつくことが判明。撃沈となりました。
内部はこのように木張りの落ち着いた雰囲気
結局、キッチンに隣接する小ホールの一角を、新たに壁を作って区切り、ドアも付けることでオフィスとすることになりました。それだけでもお金はかかるのですが、国民教会全体のシステムの中での援助金に申請を出すことで、一応収まりました。
で、大工さんが教会へ資材を運んできたのが、九月の七日の金曜日の昼前でした。たまたま行き合わせたので、良く覚えています。そういう大工仕事だから、まあ、早くて一ヶ月はかかるでしょうし、だいたい何だかんだで遅れが生じるものだから、「クリスマス前に引っ越すくらいかな?」と算段を立てました。
ところが、翌々日の日曜日の午後、教会へ来てみると、もう壁の大半は出来上がっている。その翌々日には壁のペンキを塗り始め、水曜の夕方にはドアも付き、天井の電灯をホールとは異なる洒落たものに変えていました。早ッ!! 完成目前。
私は慌てて、自分のヒャットラ教会の現オフィスへ戻り、引っ越しの準備を始めました。ラッキーだったのか、日頃の心がけが良かったからか、ヒャットラ教会に来たばかりの新しいオルガニストの女性は、デンマーク暮らしから戻って来たばかりの人で、そのために使った引っ越し用の空き箱がたくさん。
「使ってよろしいか?」と丁寧に頼むと、厄介払いとばかりに喜んで空き箱を提供してくれました。余談ですが、このオルガニストさん、結構カワユイ女性で、行き違いになってしまうのがチョット残念ではあります。
引っ越しといっても、デスクとか本棚のような大きな家具は、そのオフィスの備品だったので、パッキングは一日で終了。それをカッコいい我がマツダCX-3に積んで、三、四回往復して荷物の搬入を完了。
閑静な住宅街にあるヒャットラ教会から、幹線道路を横切り、バスセンターやスーパー、病院等が入っているモールのある区域のブレイズホルトゥス教会へは、車なら五分の距離です。何度でも行ったり来たりができるので、気楽な引っ越しではあります。
ブレイズホルトゥス教会とは?こちらも
これも余談ですが、この引っ越しの「気楽さ」はアイスランドでは非常に一般的です。レイキャビク界隈の引っ越しなど、すべてその「お隣へ引っ越し」の範疇に入りますから。日本でのような「一回ですべて運ばねば」という緊張感がないのが通常です。引っ越し当日に冷蔵庫の中がそのままだったりすることすら。(経験しました)
荷物の搬入はしたものの、新「マイオフィス」にはデスクも本棚もありません。これらの大きな家具は、監督のオフィスがある教会(本部)事務局から払い下げ品をいただくことになっていました。末端牧師はそんなものです。
ところが、やっと届いたデスクが大き過ぎて、また別のデスクをトライしたりと、いろいろ引っ越しに付き物のすったもんだをするはめになり、ようやく先週の金曜日に、一段落しました。正直言って、疲れた。
ですが、まだ終わってはいません。デスク用の椅子が届いてないし、デスクそのものも不安定で質が悪く、また別のものを探さなくてはなりません。装飾品もまだこれからです。それでも「一応、居場所ができた」という点では、安心できました。
実はこのブレイズホルトゥス教会、写真を見ていただければわかるように、西部劇で見るネイティブアメリカンのテントのような、円錐形の建物なのです。あるいは映画の「ジュラシック・ワールド」で出てきたパビリオンかも?
ジュラシック・ワールドのパビリオン
ですから、内部のオフィスなども、部屋としては当然のように思われている「四角形」のものがありません。なんというか、丸くて芯がないバームクーヘンを八等分して切った時のように、カーブした部分のある部屋が多いのです。
当然、それに合わせてデスクや棚を配置しなくてはいけないので、多少やりにくい点があります。マイ・ニューオフィスもいびつな変な形をしています。それに、荷物を並べて見て実感したのは、やはりヒャットラ教会の前オフィスよりは一回り小さいようです。不必要なものは物置行きにしないと。
一応片付いたニューオフィス
まあ、これから先はのんびりとアレンジしていきます。建物としての教会というのは、デザインがいいとか悪いとか、また管理が行き届いているかどうか等々とは別に、自分にぴったりくるかこないか、なんていう面もあるのです。
その最後の点で、私はこのブレイズホルトゥス教会はお気入りの教会なのでした。ですから、ここにオフィスを持てるのはHappy!ということなのでした。
これが最後のオフィスになる可能性大ですからね。豪華なオフィスではありませんが、お気に入りのところへ来れたのはありがたいことです。これからここをMy Spaceにしていきます。
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