レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

WOWの再生?と武装闘争宣言

2019-04-07 00:00:00 | 日記
先週の月替わり、年度替り(日本の)の頃は、雪がまだ降ったり積もったりしていましたが、ここ数日は雪も消え、気温も七、八度まで上がってきています。この時期は着るものを選ぶのに苦労します。

といっても、上に羽織るコート類のことですが、風が強かったり雪が降りそうな日には迷わずユニクロのダウンのロングを選びます。多少暑かろうが、寒い思いをする危険よりはマシです。

天気が安定している時には、少し薄いそれでも冬用のコートか、あるいはユニクロのウルトラ・ライト・ダウンになります。このウルトラライトが出てくると「春」を実感できます。

あと十日ほどすると、スパイクタイアの使用許可期間が過ぎるのですが、まだ雪が完全に視野から消えていない今の状況では、いつサマータイアに変えるか、まだ迷いますねえ。去年の今頃はもうサマータイアでした。しかも、ワタシは日本にいましたよ。

さらに二週間後の日曜日はPaskarパウスカ、復活祭の日曜日となります。その前の一週間は「聖週間」と呼ばれ、キリスト教文化圏では特別な週です。その週の木曜日 -「洗足木曜日」と呼ばれ、キリストが弟子たちの足を洗ってあげたことを記念する祝日- に、私が企画しているクワイアの音楽会があります。




企画中のクワイヤの「難民を支援する」音楽会


そんなこんなでアタフタとした日が続いています。昨年の夏は、例年に比べて楽なゆとりのある夏だったのですが、秋以降はコンスタントに仕事が流れ込んできていて、なかなかホッとする日が続いてくれないようです。

と、格好のいいことを言いながら、実は暇な日が来ると「何をしたらいいのか?」と悩み、寂しくなる老人のワタシでした。

さて、今回は最近のニュースの中からふたつをピックアップしてご紹介してみようと思います。

まずは、前回のWOWair倒産の続報です。「倒産」というよりは身請け人がなくサービスが100%ストップしてしまったことの方が、問題なのですが、このWOWの最高経営責任者がスクーリ・モーゲンセンさんという男性です。そもそもWOWを立ち上げた人でもあります。

もちろん個人的には会ったこともありませんが、写真を見れば一目で「ヤッピー!」とわかる人物です。これまではずいぶんと羽振りの良い生活をなさっていたようで、レイキャネス(空港のある地域の町)では、一番高価な住宅に住んでいるそうです。屋内600平米だそうで。

会社が倒産したのだから、スクーリさんも地に落ちたのだろう、と下々の私たちは思うでしょうが、必ずしもそうならないのが金持ちの世界のようです。

三日前、木曜日のニュースによると、このスクーリ氏、「WOWを下敷きとした新しい航空会社を作る」との企画書を発表したとか。これもワオ!です。

メディアに送った声明書の中でスクーリさんは「WOWの倒産により、40億クローナを失った」そうです。それでも新会社の基礎資金の51%にあたる4000万米ドルを拠出する用意があるとか。

残りの49%に当たる約4000万米ドルを、投資家などから集める算段なのでしょうが、それも順調にいっているとか。

新会社は航空機5台で運行を開始する予定で、これは2011年にWOWが運行を開始した時と同じ機数だそうです。路線はアイスランドと、ロンドン、パリ、アムステルダム、ベルリンそしてアメリカへ飛んでニューヨークとボストン。

驚くのは、今年の六月から運行を開始できるよう許可申請をしたということです。そんなことが可能なのだったら、なぜWOWの保有機数を減らすとか、採算の悪い路線を放棄するとかして、会社そのものがペシャるのを回避しなかったか、ということでしょう。




スクーリ・モーゲンセン氏
Myndin er ur Visir.is


経営のことなど何もわからないワタシでさえそのくらいのことは頭に浮かびますので、おそらくアイスランド中の人が同じことを考えていることでしょう。まあ、何かカラクリがあるのでしょうが、少なくとも不法、不道徳なものでないことを願います。

今の段階では、真面目に受け取るのかどうか半々くらいの反応なようです。私自身も「ホントかよ?」が正直な気持ち。それでもうまくいけば喜ぶ人は多いでしょうし、できるならそうなってほしいものです。

スクーリ氏自身の「株価」は今はドン底ですが、もしこの「復活」がなせられるならば、おそらくスーパースターに返り咲くことでしょう。どうなりますやら。

次のニュースです。

ヨーロッパにはEuropean Security Academy という、私設の軍事教育機関があるそうです。銃器の使い方や、戦闘訓練等をするところのようです。そのアカデミーがアイスランド分校?を開くらしく、近々レイキャビクでプロモーションのためのイベントを持つそうです。

「誰が行くんかい?」というのがフツーのアイスランド人の感覚でしょうが、喜んで参加する意思を表明している人たちがいます。主にIslenska Thodfylkinnginn イースレンスカ・ショーズフィルキンギン、そしてFrelsisflokkurinn フレルシスフロックリンという政党の人たちです。

前者は「アイスランド愛国党」とでも訳すべきでしょうか?後者は「自由の党」です。両者ともいわゆる「民族主義的」「右翼的」な考えを持つ人たちの集まりです。

さらに言うと、「白人優位主義」「古ヨーロッパ回帰主義」「反イスラム」「反移民」等が彼らの主張のキーワードになるだろうと思います。加えてそこには「武装闘争是認」を匂わせる言質が以前からあったのですが、それがこのESAのプロモーションを機会にグッと前に出てきた感があります。

「自由の党」の役員を務めるマリア・マグヌスドッティールさんと言う女性の弁では、「誰も銃器を好んだりはしません」そうな。「でも、これら(移民のこと)は、こうしてヨーロパ中に広がっている。このまま広がっていくなら、銃器で止めるしかないわ、残念だけど」だそうです。残念がっているようには思えませんが。




「自由の党」の勇士?たち
Myndin er ur Stundin.is


どこの社会にも不平分子はいますし、頭のそれほど良くない人もいます。自分の生活が苦しいのは誰それのせいだ、と考えるのが正しいと思っている人もいます。

そういうのを「移民が悪い。イスラム教徒が悪い」という風に先導して勢力を作りたがる人たちもいます。前述の二つの党はその見本でしょう。

先日のニュージーランドのテロ事件、あるいはそれまでの米国での幾多のシューティング事件等を省みてみると「ねじ曲がった考えの持ち主に銃器」というのが、冗談では済まされない時代を私たちは生きています。

ここではまだ、多数の支持は受けていない両党ですが、支持の有無にかかわらずその動向をきちんと把握してもらいたいと考えます。もし、「邪魔な移民」を「排除」しようとしたら、私は間違いなくリストの上から十人に中に入ることでしょうからね。ある意味名誉なことかも。

ヘイトクライムは、ここアイスランドではまだ表に浮き出てきてはいませんが、これからもそうだという保障はないです。きちんとした意識を持って対応すべきと考えます。

「黙って見てるだけ」はダメですよ、私たちの世の中。かつ私らは銃器で対抗することはできませんからね。言葉とものの考えで対抗することになります。それも牧師の仕事の大切な一部ですし、また、まっとうなものの考え方をする大多数の国民の仕事の一部でもあるでしょう。

*昨日の土曜日にこのプロモーションが開かれるはずだったそうですが、新聞記事が反響を呼び、開催場所だったグランドホテルがこのプロモーション予約をキャンセルしたそうです。ESAの方では「自分たちはどのような政治的団体とも関係はない」と言っているようです。詳細はまだこれから明らかになるでしょう。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

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