一般質問でとりあげた、学校開放有料化問題。トップダウンで政策を推進することは許されません。少し整理して書いておきたいと思います。
(1)この方針はどこで決まったのか
そもそも「学校開放有料化」の方針はどこで決まったのかと言えば、町田市がすすめている「まちだ未来づくりプラン(10年計画)」を具体化した「新・5カ年計画」の「行政経営改革プラン」(95㌻)です。
そこには、「スポーツ広場・学校開放事業の再編成」というタイトルで、「受益者負担の適正化による公平性・公正性の確保」と書かれ、「スポーツ広場や学校の体育館・校庭など開放に供している施設について、抽選による使用と、使用料の有料化を行います」とあります。
(2)何が問題になっているのか
①有料化と予約システム化
これまで、学校開放運営委員会を中心に無料でおこなわれてきた学校開放事業ですが、今回の新しい方針によって予約システム化と使用料の有料化がおこなわれます。
現在、活動している方々からは「冗談じゃない」と批判の声が上がっています。
今議会では、計画に明記されていた2014年4月は延期して、有料化は「2017年度の実績を見て有料化するか否かを決めていきたい」と答弁がありました。また、予約システムについては「2017年4月までに施設開放が可能なすべての学校に導入していきたいと考えている」としています。
しかし、「行政経営改革プランは現在のプランを基本としてすすめていく」と市長が答弁しています。
②地域スポーツクラブ設立とクラブハウス建設
さらに、地域スポーツクラブを設立することが目標とされ、管理・運営体制も大きく変更するとしています。この地域スポーツクラブを設立するためのひとつとして、クラブハウス建設が提案され、今年の第1回定例会で補正予算が日本共産党以外の賛成多数で可決されました。
このクラブハウスは、学校開放を利用している方々が要望していたものではありません。市の判断で一方的につくるものであり、まさにトップダウンです。説明会などでは「必要ない」という声が相次いだといいます。
1施設つくるのに約3500万円、維持管理費が1施設あたり約130万円。地域でスポーツをしている方々からは、「それにお金を使うなら、もう少しここを修繕してほしい」などの声が寄せられています。
また、学校の中にクラブハウスを建設して教育委員会の管轄からスポーツ振興課に委任するというやり方も受け入れられるのでしょうか。
③スポーツ推進につながるのか
今回の有料化、予約システム化がスポーツ推進につながるのかについても疑問が残るところです。市長は、町田市立体育館やサン町田旭町体育館などが予約が取れないことを理由にあげて、学校を開放することが必要だという論理です。
しかし、有料化と予約システム化によって新しい人たちがスポーツをしようとなるのか。もっと違う方法を検討すべきではないかと私は考えています。
また、これまで利用実態の把握がおこなわれてきていません。実態を把握せず、とにかく「こうだろう」ということで方針を策定してすすめるというのはあまりにも現実を見ていないと言わなければなりません。
④地域コミュニティ、地域の絆を壊す
これまでの学校開放事業は、地域コミュニティのなかで重要な役割を果たしてきました。地域によって中身は違いますが、学校行事に協力したり、学校といろいろな連携事業をやったり、清掃活動などに協力したりしています。
町田市も「30年以上の歴史がある。地域スポーツ推進の重要な事業。これまで学校開放運営や各利用団体に多大なるご尽力をいただいた。地域に置けるスポーツ推進に寄与していただいているだけでなく、地域内でのつながり、また地域と学校とのつながりにも貢献していただいている」と、これまでの役割について、非常に評価しています。
今回の新しい方針は、市内どこからでも学校を利用することができるような仕組みであり、地域コミュニティを壊すことにつながりかねません。
⑤「市民協働」といいながら、合意形成がおこなわれず
これまでの学校開放事業の果たしてきた役割を考えれば、事業の開始数カ月前に説明会をおこない「こうなるのでよろしくお願いします」という姿勢は到底受け入れられないということになります。
「市民協働」を掲げながら、合意形成もなしに事業をすすめようとしていたことに問題の本質があります。
今回の問題について、「全体の仕組みが詳細なところまで私どものところで詰まっていなかったこともあるが、十分に地域との話の中で汲み取れなかったということもあった」と市は答弁しています。
他の施設などであれば、数年前から説明するようなことが普通です。今回の事業を拙速にやらなければならない唯一の理由は、計画に書いてあるからだということではないでしょうか。
(3)身近で気軽にスポーツができるために、スポーツ予算を増やすことは大賛成
スポーツ基本法前文には、「スポーツは、世界共通の人類の文化である。…スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利であり、全ての国民がその自発性の下に、各々の関心、適性等に応じて、安全かつ公正な環境の下で日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画することのできる機会が確保されなければならない」と謳われています。
この理念をしっかりと実現していくために、国のスポーツ予算の増額などが求められています。同時に、自治体としてしっかりと実態調査をおこない、ニーズを把握すること、そしてそれに基づいてどのようにスポーツ環境を整備できるかが重要です。
ここでも重要なのは、住民合意の形成、住民のニーズの把握です。今回の学校開放有料化事業にかけているのはこの部分です。
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┏┓池川友一|日本共産党町田市議会議員
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