宮地神仙道

「邪しき道に惑うなく わが墾道を直登双手
または 水位先生の御膝にかけて祈り奉れ。つとめよや。」(清水宗徳)

20世紀の杜子春

2007年08月30日 | Weblog
(写真はクリックされましたら拡大します。)

書籍にはしばしば「タイトル負け」のものが存在する事は
誰でも認める所だと思いますが、写真の一冊も該当するの
ではないかと思われました。

タイトルや目次を見て、真面目な研究書ではない様に
感じましたが、以前は定価(1200円)よりもずっと安い値段で
購入出来たので、とりあえず購入してみた一冊でした。

内容は杜子春を20世紀の東京の疲れた中年サラリーマンに
置き換えた様な読み物であり、東京に住む、仕事も家庭生活も
上手くいっていない一人のサラリーマンが都内のビル街で不思議な
老翁に出会い、それからサラリーマンが仙人研究・修行に打ち込む
という展開の小説になっています。

研究中にサラリーマンによる雨を降らせるための祈雨術を学んで
「促成栽培・人工スキー場の経営」だとか、姿を消す隠形術を
利用しての「ただ食い」だとか、他人の魂を摂魂して「いやな
クライアントをびびらせる」だとかの妙な話しが続き、(個人的に
こうした表現や発想には関心がないので、殆ど読んでいません。)
最後に彼は『誰の言う事にも耳を傾け、正直に生きていくつもり
です。』と語って、研究を後にするという構成になっています。


書題から専門的な道教研究の印象を受ける方がおられるためか
現在高値がつけられていますが、色々な文献から集められた知識が
若干織り交ぜられているものの、娯楽書と呼ぶのが妥当ではないかと
思います。

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