エジプトのオシリス神を殺害し、その息子ホルス神と対立した、エジプトの
「闇の王子」とも称されるセト(画像)は、悪魔・邪神として扱われる一方、
下の画像のように、「光の王子」ホルス神と同体の姿に描かれる事もあります。
(左側の顔がホルス、右側の黒い顔がセトです。)
この神は人間に、砂嵐や災いをもたらすとされる一方、エジプト魔術の
中でも、非常に重要な神とされており、例えば、熟達した魔術師が、自らの
最終的な精神(霊)的統合を目指す時、自らの暗黒面の象徴として、
この神を召喚する、もしくは、「毒をもって毒を制する」という具合に、
この神の力を求めて、物理的・もしくは精神的(あるいは霊的)な敵の攻撃に
打ち勝つといったような目的で祈りが捧げられます。
以下、この「敵の攻撃に打ち勝つ」魔術を、翻訳して抄掲させて頂きます。
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この魔術は朝、太陽が完全に昇ってから、屋外で太陽に面して、
「セトへの祈り」を祈ります。
虚空にして、おぞましく、見えざる者にして全能なる神々の中の神、破壊の分け与えぬし、
荒地となし給う者にてましますおん者よ。
おお、御身は一族郎党より、いとも忌み嫌わるることを確たるものとしたり。
御身がエジプトより追放されし時、御身は<彼はいっさいを打ち壊し、征服し得ざるなり」との
称号をかぶせられたり。
ティフォン・セトよ、われは御身に願い奉る。
言葉におけし御身の力つよきみ名によりて、御身に願い奉らんがため、我は御身に
予言の式を行いたれば、祈りを聞きいれ給わざることなし。
イオ・エルベス イオ・パケルベス イオ・ボルクホセス イオ・パタスナクス
イオ・ソロ イオ・ネボウトソウアレス アクチオフィ エレスキンガル ネボポソアレス
アベラメントゥー レレゼクサナクス エスレルオス ネマレバ アエミナ
こぞりて我がもとに来たり給いて、(あなたに脅威を与えるもの)彼/彼女に近接し、
霜と火とをもて、打ち倒し給え。
彼/彼女は我を悪しざまになしたれば、ティフォンの血を、彼/彼女のかたわらに
放ち給え。
ゆえに我は、かく行いたり。
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